月夜にまわる風車小屋を逸れ、ほか二つ | 人生は野菜スープ~アエリエルのブログ、または午前0時&午後3時毎日更新の男

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元職・雑誌フリーライター。バツイチ独身。午前0時か午後3時に定期更新。主な内容は軽音楽(ジャズ、ロック)、文学(現代詩)の紹介・感想文です。ブロガーならぬ一介の閑人にて無内容・無知ご容赦ください。

Piet Mondrian, "De Broekzijdse Molen aan het Gein (The Mill on the Gein in Moonlight Night)", 1905
月夜にまわる風車小屋を逸れ*
その一

つ みはいつしか 
きの うのように
よ あけと とけ
るに おいにきえ
ま のときもまた
わる だくみする

ふう けいはもう
し ごにとおのく
やご がとんぼに
や となつてふか
を いそぎまたお
それ まいとして

き たい またき
りが けしき を
ふ うじこめ ふ
かく よりふかく
そ のいろ をそ
めて ひそやかに

かぜ のいきおい
は こばみながら
しず しずとふき
か すかに うず
にふ きあげ る
く らいつきよに

月の夜に廻る風車小屋を逸れ*
霧が深く染めて風は静かに吹く

罪はいつしか昨日のように夜明けと融ける 匂いに消え 魔の時もまた悪だくみする

風景はもう死後に遠のく 野子が蜻蛉に 矢となって孵化を急ぎ また恐れまいとして

期待 また霧が景色を封じこめ 深く より深く その色を染めて 秘やかに

風の勢いは 拒みながらしずしずと吹き かすかに渦に吹き上げる 暗い月夜に


きみの悪徳はきみだけのものだ
その二

きみのあくとくは
きみだけのものだ
たとえきみじしん
がそこからのがれ
ようとしてもそれ
はおそらくきみに

ついてまわるだろ
うそしてそれでも
きみはこばむだろ
うだがきみがおと
こまたはおんない
ずれにせよひとで

あるかぎりのがれ
られないつみとが
があるそれがきみ
をひとであるげん
かいでもありまた
かのうせいのりん
かいてんでもある

きみのあくとくは
きみだけのものだ
たとえきみじしん
がそこからのがれ
ようとしてもそれ
はのがれられない

きみの悪徳はきみだけのものだ たとえきみ自身がそこから逃れようとしても それはおそらくきみに

ついてまわるだろう そしてそれでもきみは拒むだろう だがきみが男または女 いずれにせよ人で

ある限り逃れられない罪咎がある それがきみを人である限界でもあり また可能性の臨界点でもある

きみの悪徳はきみだけのものだ たとえきみ自身がそこから逃れようとしても それは逃れられない


八文字・八行・三連の無題詞
その三

あらゆるけしきを
けつしてゆるすな
たとえそれがきみ
をゆるしたとして
もきみはけつして
きみじしんをゆる
すことはできない
さもないときみは

あらゆるなみだが
きみにおそいかか
るきみのかたくな
をかいじゆうしよ
うとするかべはい
つきにくずれおち
るはしはかわへと
ほうらくしていく

きみのないめんの
やみよにはいつも
きみをてきびしく
りつするほのおが
あるさもなければ
きみのちよくめん
するけしきはいつ
もひからびたちの

いろのままでいる

あらゆる景色を決して許すな たとえそれがきみを許したとしても きみは決してきみ自身を許すことができない さもないときみは

あらゆる涙がきみに襲いかかる きみの頑なを懐柔しようとする 壁は一気に崩れ落ちる 橋は川へと崩落していく

きみの内面の闇夜には いつもきみを手厳しく律する焔がある さもなければきみの直面する景色は いつもひからびた血の

色のままでいる

(昔の習作より。)