セロニアス・モンク - ラウンド・アバウト・ミッドナイト (Blue Note, 1947) | 人生は野菜スープ~アエリエルのブログ、または午前0時&午後3時毎日更新の男

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元職・雑誌フリーライター。バツイチ独身。午前0時か午後3時に定期更新。主な内容は軽音楽(ジャズ、ロック)、文学(現代詩)の紹介・感想文です。ブロガーならぬ一介の閑人にて無内容・無知ご容赦ください。

セロニアス・モンク - ラウンド・アバウト・ミッドナイト (Blue Note, 1947)
セロニアス・モンク・クインテット The Thelonious Monk Quintet - ラウンド・アバウト・ミッドナイト 'Round About Midnight (Thelonious Monk, Cootie Williams, Bernie Hanighen) (Blue Note, 1947) - 3:10 :  

Recorded in New York City, November 21, 1947
Released by Blue Note Records as Shellac 10-inch 78prm SP "'Round About Midnight b/w Well You Needn't", Blue Note ‎543, 1948, and the album "Genius of Modern Music: Volume 1", BNLP 5002(10-inch album), 1951 and BLP-1510(12-inch album), 1956
[ The Thelonious Monk Quintet ]
Thelonious Monk - piano, George Taitt - trumpet, Edmund Gregory - alto saxophone, Robert Paige - bass, Art Blakey - drums
 
 オリジナル曲を多く持つジャズマンには畢生の名曲、人気曲があるもので、ディジー・ガレスピーなら「チュニジアの夜 (A Night in Tunisia)」、バド・パウエルなら「クレオパトラの夢 (Cleopatra's Dream)」、J・J・ジョンソンなら「ラメント (Lament)」、チャールズ・ミンガスなら「グッドバイ・ポークパイ・ハット (Goodbye Poke Pie Hut)」、ケニー・ドーハムなら「ブルー・ボッサ (Blue Bossa)」と上げればきりがありませんが、短調の曲かバラード、ラテンリズムの曲が多いのも特徴で、もっとも「クレオパトラの夢」が人気曲なのは日本だけで国際的にはパウエルの曲は「テンパス・フュージット (Tempus Fugit)」や「ウン・ポコ・ロコ (Un Poco Loco)」の方がよっぽど人気があるようです。日本でジャズの名曲の人気投票企画などがあるとずらりと短調の曲ばかりが上がるのは壮観ですが、セロニアス・モンクには50曲近いオリジナル曲がある割に短調の曲は「ラウンド・ミッドナイト」と「イン・ウォークド・バド (In Walked Bud)」くらいしかなく、ほとんど短調の曲をやらないチャーリー・パーカー好きのジャズ・リスナーが案外少なく、パーカー直系のジャッキー・マクリーン、反パーカー派のアート・ペッパーの人気の方がパーカーより高いのも、マクリーンやペッパーは短調の曲の演奏が多いからでしょう。

 モンクの場合「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」はニューヨークのジャズマン内ではジャズとしては異色の曲想でビ・バップ時代から注目されていましたが、リスナーの間でもずば抜けた人気曲になったのはマイルス・デイヴィスのコロンビア移籍第1弾アルバム『'Round About Midnight』'57のタイトル曲にカヴァーされたからで、アルバム・タイトルではモンクの原曲通り「'Round About Midnight」なのに収録曲としては「'Round Midnight」とされ、そのうちダッシュも取れて単に「Round Midnight」とされる場合も多くなりました。今ではダッシュも「About」も略す方が通りが良くなっています。この曲は無数のカヴァーがあるので曲についてのご案内はその折にし(モンク以外に2人の共作者名があるのは、モンク本人以前にこの曲を録音したバンドリーダーとアレンジャーが共作登録したからです)、モンク自身による初録音が1947年録音のブルー・ノート盤、ソロ・ピアノによる再演が1954年録音のヴォーグ盤で、ブルー・ノート後プレスティッジに移籍し、さらにリヴァーサイド社に移籍したモンクは再びソロ・ピアノによる1957年版と、同年ジェリー・マリガンと共演したカルテット版、リヴァーサイドへの最終録音となった1960年のサンフランシスコのジャズクラブでのクインテット編成のライヴ版があり、ソロ・ピアノ版は'57版は'54年版より各段に迫力を増し、マリガンとの共演(黒地がモノラル盤、写真入りがステレオ盤です)は発売当初から評判高かった緊張感の高い演奏で、ここには引きませんでしたが'60年のライヴ版はくつろいだ好演です。実は本命はモンク沒後の1984年にリヴァーサイド社の後身マイルストーン社から出た未発表テイク集『Blues Five Spot』収録(現在ではリヴァーサイド社のライヴ盤『Mirterioso』の1989年のCDリイシューにボーナス収録)の、ライヴ盤『Mirterioso』'58収録時のテスト録音でアルバム本編には収録されなかったジョニー・グリフィン在籍時のカルテット編成ライヴ版「ラウンド・ミッドナイト」なのですが、これはグリフィン最高のバラード演奏がモンクのバンドで聴ける超目玉なのはお聴きの方は皆さんがご存知でしょう。末尾には1966年3月~4月のヨーロッパ・ツアー中のセロニアス・モンク・カルテット(テナーサックスはコロンビア移籍後不動のメンバーだったチャーリー・ラウズ)のテレビ出演の「ラウンド・ミッドナイト」演奏映像を載せました。コロンビア移籍後モンクは同社にこの曲の公式録音を再録しておらず、コロンビアの看板アーティストのマイルスとかぶるからという配慮があったと思われるので、この時期の同曲の演奏は貴重です。
Thelonious Monk - 'Round About Midnight (Vogue Disque, 1954) - 5:17 :  

Released by Disque Vogue as the 10-inch album "Piano Solo" Disque Vogue M. 33.342, 1954
[ Personnel ]
Thelonious Monk - unaccompanied solo piano
Thelonious Monk - 'Round Midnight (Riverside, 1957) - 6:39 :  

Released by Riverside Records as the album "Thelonious Himself", RLP 12-235, 1957
[ Personnel ]
Thelonious Monk - unaccompanied solo piano

Gerry Mulligan and Thelonious Monk Quartet - 'Round Midnight (Riverside, 1957) - 8:29 :  

Released by Riverside Records as the album "Mulligan Meets Monk", RLP 12-247, 1957
[ Personnel ]
Gerry Mulligan - tenor saxophone, Thelonious Monk - piano, Wilbur Ware - bass, Shadow Wilson - drums
Thelonious Monk Quartet - 'Round Midnight (Norwegian TV Broadcast, 1966) - 6:54 :  

Released by TDK Co. Ltd. as the DVD "Live in '66", TDK DVWW-JITM, 2006
[ Thelonious Monk Quartet ]
Thelonious Monk - piano, Charlie Rouse - tenor saxophone, Larry Gales - bass, Ben Riley - drums