ドラマ『名もなき毒』 | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

ドラマ『半沢直樹』が好評という記事を読んだ。


だけど、見ていない。それより、『名もなき毒』がいい。

宮部みゆきさんの小説のほうがよかったので、ドラマでも見てみようと、録画。すでに放送した5話までまとめて見た。


実は、この小説は杉村三郎シリーズという、同じ主人公の小説、『誰か・・・SOMEBODY』と『名もなき毒』を足してドラマにしたもの。どおりで、話がわからない。

小説を映像にすると、途端に魅力がなくなってしまうというケースがあるが、今回のドラマは、結構頑張っていると思う。


小説は場所も時間も、いくらでも行ったり来たりできる。実際にはいかなくても記憶の中の場所なんかも織り交ぜれる。これを映像でやる場合、撮影シーンを増やしたり、登場人物を時間軸に沿って若くしたり老いさせたりさせなくてはいけない。ドラマの場合、ロケ場所を増やしたり、メイクや、代役の俳優を起用していると金銭的理由から大変なことになるが、フラッシュバックや回想シーンをたくさん使って、また原作にあるであろう、印象的なせりふを繰り返し使うことで、宮部ワールドが十分表現されていたんじゃないだろうか?


そして、姉妹役の深田恭子と南沢奈央がよかった。主人公の小泉さんは、最初から最後まで善人なんで、これは好演という表現があっているが、深田、南沢姉妹の方は、最初の印象とどんどん変わり、5話では、その本当の姿が暴かれ、圧倒的な不快感を視聴者に与える。

この真実がわかるにつれて生まれる、言い知れぬ、心の重たさこそ、宮部みゆきさんの真骨頂なのだろう。それを二人は、演じきり、ドラマ以上の、原作者も喜ぶ演技をしたのではないだろうか?


さらにはフカキョンってこんなに、いい女優さんだったなんて再発見した感じです。最後に滂沱のように流れる涙。小説やドラマだと、不幸にあってもそれでも明るく前向きに生きる、という終わり方で、読者視聴者に救いを与えるが、そういった描写とは無縁の、ただ、淡々と姉妹の日常の描写。原作のラストがどうなのかわからないけど、そこに存在する、人間の傲慢までのタフさ、心の傷にできるかさぶたというものでも、見た思いがした。フカキョンすごい。


原作と違うのかどうかわからないけど、ドラマ『名もなき毒』の前半は、久しぶりのいいドラマでした。



ちなみに『半沢直樹』、マンガ家の話かと思ったぜ。