薬のネット販売解禁と、形骸化した対面販売 | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。


副作用の危険性が高い医薬品のネット販売を禁じた厚生労働省令は違法だとして、ネット販売を求めていた裁判で、最高裁が、国の上告を棄却し、ネット販売業者が勝訴した。

これで、薬局が無い過疎地域や離島でも、風邪薬等のネット購入ができることとなった。

都会に住んでいても、遅くまで仕事をして、ドラッグストアの開いている時間に帰れ無いと言う人も多いはず。私も、昨年末、久しぶりにひどい風邪を引いた。病院に行くのもだるく、布団の中でネットで買えたらと思ったものだ。

対する、厚生労働省のいい分は、市販薬による副作用防止のために、薬剤師らによる対面販売が必要。ネットでは対面販売ができない、と言うのが理由だ。

以前、NHKクローズアップ現代で、市販の風邪薬の副作用で失明した人を採り上げていた。番組によると、数は少ないが市販薬の副作用でなくなる方も居るとのこと。昔と比べると、様々なアレルギー症状を持つ人も増えており、利便性ばかりも考えて居られないと言う気にもなった。

しかし、この「対面販売」って機能しているのだろうか?

この対面販売、誰でも言い訳ではなく、薬剤師でなくてはいけない。日本のドラッグストアは、全国で1万6000店以上、薬剤師は高給とされているので、必ず配置できるとは限らない。営業時間を考えれば、1店舗、3、4人は最低でも必要だろう。
ドンキホーテが、厚生労働省の指導に対し、深夜時間帯は、薬剤師がTV電話で対応、と言うニュースもあった。

「薬剤師の確保」と言う問題の他に、「対面販売の実質」と言う問題もある。

ドラッグストアは、薬以外に何でもある。洗剤、洗髪、化粧品、健康食品、ジュース、お菓子・・・なんでもござれだ。得体の知れないサプリメントだっていくらでもある。買い物客も多く、いつも、レジ待ちの列ができ、購入する薬の説明なんかする暇がない。
薬だけ悠長に売っていても商売はできない、取り扱う商品は今後も増えるだろう。薬剤師は、きゃりーぱみゅぱみゅのつけまつげの商品知識も必要だ。
もちろん、「風邪ですか?」と聞き、症状と薬を紹介してくれる人も居る、高額な商品を勧められても、結局は、TVでCMやってる商品に落ち着く。

もし、市販薬の副作用が出た場合、製薬会社が責任を問われるのか?それとも、ドラッグストアの説明が不十分と問われるのだろうか?市販薬は散々治験を繰り返し世に出ているのだから、後者が問われるかも。少なくともアレルギーの有無は、確認しないといけないかも。又、アレルギーがあるからと言って、販売を拒むことはできるのだろうか?

ネット販売の解禁が、今回のマスコミの焦点になっているけど、この「対面販売」そのものが形骸化しているんじゃないだろうか?