『沈黙のファイル 「瀬島竜三」とは何だったのか』 | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

『沈黙のファイル 「瀬島竜三」とは何だったのか』 共同通信社社会部 新潮文庫を読んでる。


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この秋、瀬島竜三をモデルにした山崎豊子の、『不毛地帯』が、TVドラマ化する。あわせて、日本航空をモデルにしたベストセラー『沈まぬ太陽』も映画化される。


『沈まぬ太陽』は、ナショナルフラッグを背負いながら、戦後の複雑な航空行政、反共産主義の下、圧迫され続ける労働者、おろそかにされる現場がやがて御巣鷹山航空機事故の大惨事につながる道程を一人の不屈の男を通して描いた作品。

主人公のような人の努力にもかかわらず、今の日本航空は、会社存続の曲がりかど。数々の福利厚生、賃金増を獲得して来た組合活動の恩恵も現在では、既得権益化し、秋になると、上海蟹を食べるためだけに、社内の無料運賃制度で中国に行く、なんてゴシップが流れる始末。日航はどこへ行くのか、あまりにもタイムリーな映画化・・・・。


あわせて、『沈黙のファイル 「瀬島竜三」とは何だったのか』と『不毛地帯』もタイムリー。

陸軍参謀、シベリアでの過酷な抑留生活を経て、戦後派伊藤忠商事で、活躍。晩年は中曽根政権のブレーンとして土光臨調に参加。しかし、数行で書ききれないミステリアスで、数奇な人生は、今でも賛否両論あるらしい。

『沈黙のファイル 「瀬島竜三」とは何だったのか』ではまず、瀬島が道を作った、インドネシアと、韓国での『戦後賠償ビジネス』に触れる。


『戦後賠償ビジネス』は、第2次世界大戦で日本が侵略した国々に有償、無償の賠償を円借款や、現物といったいろいろな形でする巨額な賠償金の、投入先を選定し、発電所や工業プラントをつくり、手数料を取るというビジネス。

日本国が支払い相手という取りっぱぐれの無い安定したビジネス。しかし、現地政権の政治家からは政治献金の名の多額のリベートを要求されるし、決定する日本の政治家にもお金をつぎ込む。また、口利きのために右翼、やくざも堂々と登場している。

本当は国民から集めた税金で、戦争の惨禍に見舞われた人々に行くべき『賠償金』であるべきなのに、『産業発展』の名の下に、商社、ゼネコン、メーカーと、政治家、アウトローの懐に転がり込んで行っただけだった。


ここには中曽根康弘、河野一郎、中川一郎、鈴木宗男、児玉誉志雄、渡辺恒雄、全斗煥、盧泰愚・・・・・・といった戦後の主要登場人物が多く出る。その息子たちが、先週、自民党総裁選で落選し、一人は、人生の幕を閉じた。戦争が終わって60年が過ぎ、2世代が終わっている。民主党の政権の誕生も含め2009年が、「時代の転換点になりそうな気配はある。民主党も十分昭和っぽいけど。


えらそうなことを書いたけど、映画化、ドラマ化の策略にはまって、こんな本を読んでいる私。では読みかけの本に戻ります。