『ウォーターシップダウンのウサギたち』 | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

年末、TVでタレントの優香さんが、2007年ベスト1の本に『川の光』 松浦寿輝著 をあげていた。


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棲みかを追われたネズミ一家が、新天地を求めて旅をする物語。昔、アニメであった『ガンバの冒険』や、同じようにウサギが、新天地を求める『ウォーターシップダウンのウサギたち』のような話のよう。

と言う前に、『ウォーターシップダウンのウサギたち』は、昔、途中まで読んでそのままにしている。


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この正月休みに実家に行くと、『指輪物語』を出している評論社という出版社から上下巻の文庫があった。以前買ったとき既に古本。奥付けは、昭和55年。四半世紀以上前になる。字は小さく、児童文学であるため、漢字が少ない。非常に読みにくく、以前は途中でギブアップ。しかし、今回は一気に読んだ。


予知能力に優れたウサギ、ファイバー。そのファイバーの不吉な予感を信じ、仲間たちと新天地を目指して旅立つヘイズル。犬、きつね、野ねずみ、人間といった障害を乗り越え、約束の地、ウォーターシップダウンにたどり着くウサギたち。さらに友好的な関係を築こうとしていたが交戦状態となった別のコミュニティ、そのコミュニティの独裁者を出し抜く作戦と更なる復讐劇と、ハラハラしっぱなしの物語。ウサギを完全に擬人化せずに、ストレスに弱いこと、サーン状態、巣穴の構造等ウサギ特有の生態などもしっかり描き出され、暗い巣穴の中の息詰まる緊迫感なんかも伝わってくる。

そして、カミツレ、ノコギリソウ、ヨモギギク、オランダガラシ、ニワトコ、キンポウゲ・・・・・イギリスの野山に生える植物の名が数限りなく出てくる。ためしに舞台となった、イギリス南部のハンプシャー州のキングスクレア周辺の航空写真をグーグルアースで探してみると、今もたくさんの緑が残っている。本が書かれたのが1972年。ヘイズルたちが最初に居たという設定になっているサンドルフォード繁殖地は、宅地になっているけど、ウォーターシップダウン周辺は、35年もたっているけど今でも緑が濃い。ウサギたちが戦ったテスト川も今も残っている。グーグルの性能がアップすれば、ヘイズルの子孫が走っている姿も見れるかも。


日本も、郊外にある住宅団地ができる前の、3、40年前には、にウサギが見られた。小学生のとき学校で見た教育テレビのおとぎ話に、団地のある不思議な転校生とその一家の住んでる部屋、その部屋の扉を開けると、そこが野原になっていて、居なくなってしまったウサギがのどかに暮らしている、なんて話があった記憶がある。


居なくなってしまったウサギが、今も静かに暮らしている部屋。あるといいな。