黒田選手の男気と、言霊の国 | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

プロ野球 オールスター戦。


子どもの頃は、夏休みが始まる週末に3試合行われていた。TVで見ることのないパリーグの珍しいユニフォーム(夜遅いスポーツニュースは見ない子ども時代)と、いつもは敵味方のセリーグ選手が一致団結して戦う姿にわくわくしていたプロ野球。オールスター戦は、長い夏休みを告げる、子どもの頃の一大イベントとだった。


今年は、2試合。セリーグが2勝。ダルビッシュVS小笠原。阪神の藤川VSパの打線。高卒ルーキー田中将弘VSセの打線。といくつか見所があったが、投手のがんばりで、静かな印象の今年のオールスター戦(2試合目は仕事で見れず)、ちびっ子たちは楽しんでくれたカナ。いつの時代であってもオールスター戦を楽しんでくれればそれで充分。


我らがカープも、黒田の好投。前田、新井のホームラン。と、最悪の前半戦の気持ちを切り替える活躍に少しほっとする。後半戦期待しています。


さて、好投した黒田投手。野球中継のアナウンサーは、どの局も『男気のある選手』と形容する。解説の山本浩二さんも、だれもかれも、『男気のある』と表現する。

これは、昨年フリーエージェントの権利を得た黒田選手が、ファンの、「広島に残って欲しい」という声に応えて、残留を決めたことによる。ファンの思いに応えたから『男気がある』と。

いろんなところで、引っ張り出されるこのエピソード。だけど、『男気のある』と言う言葉を聴くたびに違和感の感じるのはなぜなんだろう


辞書を引くと、「男気」とは、①男らしい性質・心の持ちよう。②自身の損得は省みず弱き者を助けようとする心情。③義侠心・・・と言った言葉が出てきます。


広島に残ったことを、男らしいというと、今の時代、男だけじゃない、女だって持ってるわって聞こえてきそう。自身の損得は省みず弱き者を助けようとする心情。確かにカープは、貧乏&弱小球団だ。義侠心とは正義の心。この意味で使っていたら巨人や阪神は、正義の逆の球団と言うことになるし、FAで移籍する選手は、不義の人と言うことになる。昔の野球を知っている人は、まだまだFAに抵抗を感じるかもしれない、少なからず、この意味で使っているのかも。


三つの意味では、②が妥当かもしれないけど、貧乏&弱小球団に居残りさせたファンとしては、自分を犠牲にさせたようで、黒田選手に心苦しい。新しい仲間、新しい練習法、新しい指導者との出会いのチャンス等、金銭面以外で、黒田選手の人生を豊かにするものがあったかもしれない。


人を形容する言葉、人の行いを形容する言葉は多い。しかし、具体的に、人の行為を言葉で表現するとなると難しい。逆に形容する言葉だけ知っていて、これに当てはまる行為をする人が少ないという言葉もある。とりわけ、いい加減な政治家や、不祥事を起こしても、悪びれもしない経営者など、ネガティブな形容詞を使う場面には事欠かないけど、良いほうの形容詞は、スポーツ選手以外にはめったに無い。所さんの『笑って許して』にでてくる、熱い日本人くらいか。


日本語が乱れる、言葉の使い方が間違っているって言うのは、とりもなおさず、日本人の行いが乱れているから。いい日本語が使われなくなるのは、いい行いや、いい日本人が少なくなっているから。言葉が力を失うのは、約束を守らないから。


日本は『言霊の国』、自分たちの行いを改めないと、日本語、そして日本もなくなるかもしれない。

(というまえに、自分の日本語も大丈夫か怪しい今日この頃)