イサクパシャ宮殿 崩れゆく宮殿の柱に西日があたり、墓標のような 文様が冷たい影を落とす。 儚い有限の時間の営みは、瓦礫の中に幽閉され、 崩壊した無限の時間にその魂を委ね、静寂の鎮魂歌 が永遠の虚無を奏でる。 訪れるものが、肉体を失った亡霊のような瓦礫に躓 けば、崩れ落ちる瓦礫の音と、封印された霊の叫び が沈黙を破り、宮殿の中で共鳴する。 しかしその叫びも、閃光のように瞬く間に消滅し、 廃墟の宮殿は再び虚無に支配される。