僕は死んでしまった。


・・・夢の中で。



小さな女の子が僕の後ついてきていた。

なぜか僕は逃げ出した。

どうやら僕は高いところを逃げていたようで、行き止まりに遭遇した。

どうしよう・・・と、しゃがんだらその子は勢いあまって転落してしまった。


下を覗き込む。。。


血溜まり、と、女の子。


瞬間的にもう動かないことがわかった。



   が、



起き上がり、笑顔で壁をのぼってくる。


なぜか怖くはなく、助けなきゃ!と手を差し出す。

その瞬間僕は下へ―――


気がつくと地面に横たわっていた。でもなぜかぴんぴんしてる。

起き上がろうとすると僕のうえに女の子が。

満面の笑み。


ああ、僕は死ぬ―。


素直に死を認めた。


女の子の手が伸びてくる。

でも抵抗せず迎える。

のどに手がかかる。

静かに女の子を見つめる。


フッ―――と暗くなる。

まるでテレビの電源を消したかのように。

白いノイズの線が1本、見えた。








将来現実に自分が死ぬとき、あんなにあっけなく逝ってしまうのだろうか・・・。







哀しくなって泣くことがある。


悔しくなって泣くことがある。


怒りを抑えきれず、泣くことがある。


たまに感動して泣くことがある。


どうしようもなく不安になって泣くことがある。


抱えきれないものが涙になって流れてしまうことがある。


自分でも分からず泣いてしまうことがある。


ひっそり涙。時々、嗚咽。




ずっと、ずっと・・・

泣くって、涙が出るって

そういうときだけだと思っていた。








初めて、嬉しくて―――泣いた。








外を見るとちらちらと雪が舞い始めた。

西の空がほんのり明るい。


そわそわしながら僕は髪を撫でる。


暖かかった空気が一瞬で冷たくなった。

息が白い。


早足で向かったさきに、君がいた。

久しぶりに会った君は頬と鼻を赤くしていた。

指先も。


どれくらい待っていてくれたのだろう。

嬉しく想いつつも、もっと早く来ればよかったかな?と後悔。


特に何をするわけでもなく歩き出した。

途中コンビニの自動ドアをくぐり、温まっている缶とあんまんを買う。


ちょっと熱いかな、と思ったが君は両手で缶を持ち

にこにこしている。


つられてニヤける。


突然、”おみくじ引きたい。”と聞こえた。

目をきらきらさせながら返事をまつ君に負けた。


だいぶ時間もたったし、開いているのだろうか。

とりあえず近くの神社へいってみる。


薄暗い。


なんか雰囲気怖いね。と、笑顔の君。

本気で怖いと思う僕。


早く去りたくて先に歩き出した。

不服そうに後から歩いてくるものだから、

僕もちょっとむきになってどこにあったか考える。


2件回った。

けれど収穫0。


思いつく最後の神社に着いた。

人がいない。今年初めての挫折。と一人でコメント。

・・・笑えない。


でも、なんだか明るい表情の君。


赤くなった指の指す方をみると

―――あった。


こんな真っ暗な誰一人いないところでおみくじなんて・・・

初めての体験だ。


中吉だぁ。とちょっと残念そうに言うから、自慢してみた。


だ い き ち 。


そんなに嫌なのかと思うほど

君はふてくされていて、かと思うとにこにこしながら

僕のを読んでいる。


”朝陽が昇るような運勢で――”


そんなに良い年なのか。

願わくば陽が沈むのは深い深い眠りにつく、そのときでありますように。


効果があるかは分からないが、交換した。

余程嬉しかったのか階段で転びそうになる君を支える。


何お願いした?


・・・言えない。


まさか君の前で、ずっと一緒に居ることができますように。

なんて言えない。


いつの間にか星が見えるほど晴れている。


冷たい手を握り、歩き出した。


僕はよく、ノー天気だね。とか、マイペースだね。とか、気楽で良いね。

なんて、何ものにも縛られない自由な人間な風に言われる。


ま、当たってるかな?

この世は少数より多数のほうが正解りなりうる。

団結したら怖いものなどない、と言わんばかりに。


浅はかな団結をしてしまったが為に後々後悔する者もいるくせに。

裏切りだとかなんだとか。どろどろな人間関係の出来上がり、なんてね。


数多くを慕わせ得意がってるヒトもいる。でもその中にどれだけ信じれるヒトがいるんだろう。

とか、こんなことを思ってしまうが。余計なお世話ってな。


実際僕も楽しければいいかな、って思うし。


誰かにこぼすような愚痴を持っていなければ

誰かに話せるような悩みも持っていない。

誰かに同情してもらいたい悲しみもなければ

誰かに語るような人生論も持ってはいない。


すべて自分のものだから、他人には理解できないだろう。


話せるヒトがいない?語れるヒトがいない?心配してくれるヒトがいない?

いや。大抵のヒトは聞いてくれるし心配もするよ。

ただ単に話さないだけ。語らないだけ。素振りを見せないだけ。


そんな僕を見て自由で掴めないやつだ、なんて言ってるヒト達。

一緒にいて楽しいよ。もちろん。家族だったり友達だったり恋人だったり・・・

そう、思ってもらっていられればそれでいい。


だけどもし1人、この世にたった1人でも

僕を理解してくれる人がいるのなら・・・

それだけで僕は幸せだ。





此処はどこだろう・・・


何も見えない。

体も動かない。


手は何処にある?

足は?指は?・・・


黒の絵の具をこぼしたかのような暗闇。

自分が存在しているのか、だんだん解らなくなってきた。


座っているのか立っているのか、

寝ているのか浮いているのか。


恐怖と静寂が入り混じる。


・・・無音が耳につく。うるさい。

耳は機能しているのか、付いているのか?



どのくらいの時間が経った?

数分のようで 数年のようで 数百年のようで 何千年ようで 刹那なような―


此処には何もない。

あるのは絶望。・・・それすらないのかも知れない。


夜なら早く明けてほしい。

闇なら光で照らしてほしい。

夢なら覚めて―――









東から上った陽がカーテンの隙間からのぞく。

まぶしくて目を細める。