作品展望より№3(解説~長田直美) ※ 各結社の短歌作品を解説省略して掲載 【一粒】 睡蓮の葉付きの茎を得意げに冠(に)ほが引きくる春はトレモロ 小島美智子 朝々に呑む一杯の水にふとおもふそのみなもとの豊平川を 佐川節子 ええ、昭和の家刀自でしたいのちあかく厨歌こそ頌歌(ほめうた)として 田中 綾 ふることば ぎゅっと掴めばすかすかで珈琲の粉ふくらむを見ゆ 中瀬サチ子 いくつもの夢くぐりぬけ郭公の鳴くところまで遊びに来たり 林 多美子 道草に拾ふ松笠幼年の記憶のやうで少しさびしい 〃