歌壇展望より(2) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

北へ伸びる鉄路の先に広がるは掛替へのなき昭和の時代  中田慧子

 

地下鉄の電車に乗りこむ人のむれ磁石に寄りゆく砂鉄のごとし  伊藤郁子

 

裸木にも霧氷きらめく朝がある黙するのみの日々にあらざる  和田愛加

 

ジーンズのダメージの先六月のしっとりとした歩道は続く  ささきあゆみ

 

桜降る土手に花摘む娘と孫とわが前過ぎるよき夢のごと  福原美知子

 

蔓という針路探しに支えられ悩みなきまま朝顔が咲く  古屋 稔

 

ぬばたまの夜の床にてこんとんの脳そのまま眠り落ちむ  足立敏彦

 

暮れ空の雲の切れ間に点となるドクターヘリは夕鶴のごと  簑島知恵子

 

台本のない人生をまだ生きる残生のペダルゆつくり漕いで  福島明美

 

歯車を回す歯車の底力見てをり拳握り締めつつ  時田則雄