歌壇展望より(1) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

葬儀終へ部屋着に着替へた母がまた喪服着てゐる無限ループか  磯石万里

 

姿現す同調圧力あなたならきつと心にマスクはかけぬ  那須愛子

 

横向きのひまはりばかり見つづけて一夏とろとろ闌けてゆきたり  入舟嘉子

 

ざぶざぶと五臓六腑を洗いたしなんともかぐろき老いの気だるさ  山川有吉

 

短歌(うた)ありてどうにか狂はず今がありわがひとり娘(こ)の逝きたる後も  湯本恵美子

 

瀬戸物は星のかけらの芸術かコーヒー飲めば思ふことのひとつ  黒沼友一

 

温暖化とれる魚も変わるらし食わねばならぬとれる魚を  勝俣征也

 

冬休み終へて金魚も登校する小学教師の嫁と一緒に  四家不二夫

 

狂ひ咲きの浜昼顔の一輪の花のさかづき秋風に震ふ  佐藤綾華

 

返事なく独り言めく言の葉が老いの二人の間さまよう  村沢寿美子