令和5年度会員自選作品集(115) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

      ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

 

ゆれやまぬ 渡辺静子

 

風雪のやまず 堆(うずたか)き雪の山いつもの冬と思えどきびし

 

ふるさとゆ移しし凌霄花(のうぜんかずら)枯れし春弟逝くと突如知らさる

 

弟に次ぎ姉逝きてゆれやまぬ如月の日々雪重く降る

 

明日は父、弟、明後日は子の命日や供花の庭の水仙を剪る

 

一人(いちにん)の死ありし後にあばかるるカルトと結ぶ政界の闇

 

 

 

 

 

雪に埋もれて 渡辺敏子

 

満天星のからくれなゐに燃ゆる昼を人に逸れてさ迷ひゐたり

 

少しだけ賑はう酒房の年の暮れ刹那主義が根付きはじめむ

 

大雪の合間を走る列車の窓に日本海が大きく揺れる

 

ふる里は化石の貝など抱くまま眠れるならむ雪に埋もれて

 

昼の雨波瑠窓を流る忘却とふことばは不意にやさしき響き