令和5年度会員自選作品集(113) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

      ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

 

鳴き桃 和嶋忠治

 

黒飯にひたと乗りゐる紅生姜剥ぎ捨てにけるひとのしずけさ

 

物を嚥むひとの仄白き喉もとの波うつさまを盗み見にけり

 

水羊羹音なく口にはこびゐる三たり女の下肢ゆるやかに

 

桃を裂く爪のつめたき 裂かれつつ桃は鳴きけり幻ならず

 

殴らるる毎に固くなる烏賊よなと共に笑へる女人が大好き

 

 

 

 

 

我が家 渡辺恵美子

 

娘は悔やむ銀杏落葉に足取られ眼窩底骨折ジョギングの油断

 

目の手術終へたと娘よりライン届く腫れたる頬に「ぴえん」のスタンプ

 

誕生日にママへ贈ると孫の来て「雑巾縫ふのを教えて下さい」

 

中年の息子が作る六人前トンカツ餃子ハンバーグ旨し

 

冬支度の作業の夫も嬉しさう鰈の似付が庭まで匂ふと