令和5年度会員自選作品集(112) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

       ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

 

蕗の薹咲く 吉田理恵

 

春浅き青い海に浮かびたる二隻のヨットの帆はまぶしき

 

勢いを増して流れる雪解けの川のほとりに蕗の薹咲く

 

スカーフをほどいて歩く春の朝川のほとりに水仙の咲く

 

花の名はわからぬままに春風が小窓に運ぶ香りありたり

 

憂鬱な雨降る朝は日めくりの今日の言葉をもらいましょうか

 

 

 

 

 

どこまでも空 米田浩美

 

退屈な猫背の冬に終わりを告げ伸ばす指先春のひかりに

 

土の上尖った身をつき出して春の囁きを待つチューリップ

 

潮香る故郷の花火はこの夏もしだれ柳のふりそそぐ空

 

修復の技術で時をまきもどしフェルメールの絵は別物となる

 

ダンサーの音符をはじく指先を追いかけてゆくどこまでも空