令和5年度会員自選作品集(96) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

      ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

をりをり 三浦公佐子

 

だまし絵のやうに繋がる窓あらば奥へ奥へと身を乗り出さむ

 

をりをりに見あぐる空には鳥のゐて持てる翼を羨む我ゐる

 

藍液の中に白布染まる間を夕べの空の変化に重ねる

 

草の間に祈るごとくのネジバナの咲くを見てをり今日終戦の日

 

筆文字の掠れ具合の良き払ひそんな雲あり秋めく朝(あした)

 

 

 

 

霜 月 三上糸志

 

純白をこころの襞にをりこみて罰してをりぬ差別意識よ

 

シューベルト死したる霜月十九日薔薇株の茎ばつさりと剪る

 

霜柱あうらに崩るこの大地つづく地平を乱は勢ふ

 

生むことも生まざることも罪のやう八十億人種子かわく世に

 

のこりたる沙羅の緋の葉がおちてゆく昨夜蝕月のひかりに触るる