作品展望 №20(岡 美紗緒) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

令和5年度短歌年鑑より (※ 解釈文省き、各結社短歌を10首前後紹介)

 

【一粒】平成29年創刊、編集・発行人は林多美子氏。

 

ゆっくりと月が離れてゆく宇宙 どうして誰も淋しがらない   下沢風子

 

し忘れし抱擁をしに雪道をあゆみかへさむ父のもとへと   阿部久美

 

水の皮と書かるる波の底に棲むまなこつむらむ魚のいとしさ   大家 勤

 

朝空に白きからだを張りつめてカモメ過ぎたりまぼろしのごと   林 多美子

 

 

【コスモス札幌】昭和44年創立、発行人は新保弥代枝氏

 

深碧の葉に青白き花待ちて月待ちてゐる庭のどくだみ   大桃小やゑ

 

除雪されし道は街灯に照らされて今日の舞台の開けたるごとし   金子幸子

 

永らへてあれば逢ひたしベニヤ板の素描の未完の「馬」の後姿(うしろで)   久保啓子

 

医師とわれアクリル板にしきられて病名のメモ板の下より   久保田静子

 

したたかに人は生きゆくリネン、シルク、レース飾りのマスク選びて   後藤美子

 

高き音低き音あり家々の軒から落つるしづくの音は   吉田真弓