作品展望 №6(矢島満子) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

令和5年度短歌年鑑より (※ 解釈文を省き、各結社短歌を10首前後紹介)

 

【荒潮】昭和二十三年創刊。札幌の新墾社に所属する釧路支社の機関紙七十三号。

 

まぼろしのオオカミの声雲に乗り湿原白く秋を終わりぬ   一戸陽子

 

封筒に宛名氏名を書き終えて会えぬ友へと運べよ元気   今井洋一

 

狂いたつコロナに五輪、さるすべり、沈黙の宴虚しくないか   斎藤泰子

 

処暑の日に過去も未来も手離して君は去りゆく 遠雷光る     〃

 

空中にくるくるくるりとどまりて降り来る若者ボードを滑らす   田中悦子

 

名を呼べば我を見返す目は虚ろ元気な姿に戻れぬか 友よ   塚本恭子

 

帰るなき娘ぞと思ふに玄関にこもごもと置くひひなの遊び   前川桂子

 

ゆふぐれはバイオレット ひそやかに過去を脱ぎゆくもの等を包む   〃

 

魅せられて読みすすみゆくゆふぐれの歌集にともる初めての古語   三上糸志

 

ゆく秋の息の温もりここちよく密にならずもマスク外さず   簑島智恵子

 

ミシン踏みアベノマスクをリメイクすほどよい形わたしのマスク   森 由美子