ベッドでゴロゴロ -7ページ目
『本朝文鑑』の「枕記」には、敷妙の枕は老少男女の居を安からしめ、労を助け閑をそえる宝器なれど、人は常に目馴れてこの徳を知らずと蔽蓄を傾け、わが枕は二つ愛用すると打明ける。

一つは桑の木で作った円枕なれば、その形に寄せて"お玉"と名付け、いま一つは滑かなる方石で作った石枕なれば"お岩"とよぶ。

これは昔、近く召使わした少女の名を借りたもの。

お玉ちゃんはむっちり肥えて色白く、肌はすべすべ、新手枕も忘れがたし。

お岩ちゃんはかかとが荒れていて、あかぎれで手もザラザラしていたっけと、思い出にふけりながら座の左右に二つの枕を愛しているというのは冗談。

桑は中風を防ぎ、石は頭熱をさますから用いているのだとある。

その日の状態によって枕を使い分けることも必要だが、それにしても昔の枕は堅かったが、こんな冗談を書けるほど、頭はやわらかだった。