企業の第一の機能としてのマーケティングは、今日あまりにも多くの企業で行われていない。
言葉だけに終わっている。
消費者運動がこのことを示している。
消費者運動が企業に要求しているものこそ、まさにマーケティングである。
それは企業に対して、顧客の欲求、現実、価値からスタートせよと要求する。
企業の目的は欲求の満足であると定義せよと要求する。
収入の基盤を顧客への貢献に置けと要求する。
マーケティングが長い間説かれてきたにもかかわらず、消費者運動が強力な大衆運動として出てきたということは、結局のところ、マーケティングが実践されてこなかったということである。
消費者運動はマーケティングにとって恥である。
だが消費者運動こそ、企業にとって機会である。
消費者運動によって、企業はマーケティングを企業活動の中心に置かざるをえなくなる。
これまでのマーケティングは、販売に関係する全職能に遂行を意味するにすぎなかった。
それではまだ販売である。
我々の製品からスタートしている。
我々の市場をさがしている。
これに対して、真のマーケティングは顧客からスタートする。
すなわち現実、欲求、価値からスタートする。
「我々は何を売りたいか」ではなく「顧客は何を買いたいか」を問う。
「我々の製品やサービスにできることはこれである」ではなく「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」という。
実のところ、販売とマーケティングは逆である。
同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。
もちろん何らかの販売は必要である。
だがマーケティングの理想は、販売を不要にすることである。
マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。