歩けメロス 6 山賊の親分 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



  「 おい ! 前を開けろ ! 」

    後ろから 若い衆を押しのけて 

    山賊の親分が出てきました。


    飢えた野獣のような

    キラギラした眼光鋭い眼に射すくめられ

    メロスは 生きた心地がしませんでした。


  「 オイラは ワキガで 水虫で インキンで

    体脂肪率が高すぎて、煮ても焼いても

    脂ぎって 美味しくないですよぉぉぉ ~~! 」


    メロスは 蛇に睨まれたカエルのように金縛り状態で、

    突っ立ったまま ひきつり顔、かすれ声で呻きました。



   「 お ぉ ぉ お お ~~ ! 」

     山賊の親分が叫びました。



   「 ひ ぃ ぃ い ぃ ぃ ~ 」

     メロスは 死を覚悟しました。





























  「 貴公たちは 間違った王の治世を 正すべく

    立ち上がった、と申されるのか。
  
    それは それは 知らぬこととはいえ ご無礼つかまつった。

    なんとも勇ましい義侠心をもつ 見上げた方々であろうか。

    特に このマヌケ面の先頭の御仁は

    剣を付きつけられ 命の危機に向き合いながら

    微動だもせず 微笑みながら平然としている
    
    今までに会ったことのない 

    なんとも雄々しい 立派な御方だ、  

    まことに 感服つかまつった。 」


    メロスが 恐怖で縮み上がって 動けずにいたのも、

    死ぬほど引きつった表情さえも 

    規格外のマヌケ面のお陰で 薄笑いを浮かべ 

    悠然としているように 誤解されたのです。


  「 我々は 今は山賊に身を落としていますが、

    不正のまかり通っていた腐敗政治、

    その後の ディオニオス王の 

    恐怖政治に 嫌気がさしてやめた、

    王室の 元兵士達なのです。

    共謀罪 という

    どうとでも理由をつけられ 処罰できる悪法で

    理不尽な理由をでっち上げられ 仲間が処刑されました、

    ぜひ我々も 参加させてください ! 」 


  「 えぇぇ ~? 」


  「 シチューや ハンバーグにするというのは 

    単なる脅し文句なので 本気にしないでいただきたい、

    我々は カニバリズムは否定しています わっははは ♪ 」



    どうやらメロスの命は助かったようなのでした。


         続 く