歩けメロス 5 メロス山賊と遭遇 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい




「 あぁぁ ~ かぁぁ ~ たぁるぅぅう ~ 」


  ぞろぞろと 大人数を背後に連ねて

  けだるく メロスは歩きます。



「 そろそろ 山道だなぁ 足が重いなぁ ~

  山賊とか 出ちゃうかもぉ ~ 」


  嫌な予感を感じ ため息をつきながら 

  山中に入ると、お約束のように

  大勢の山賊が出ました。 


  近頃 役人や王室関係者、王室御用達業者を 

  好んで 襲うと言われていました。


「 ひぃぃぃ ~ 」


  メロスは 怖気づきました、

  ぶるぶると 足が震えます。


  お金の持ち合わせもありません、

  どんな残虐な目に合わされるかわかりません。


  はりつけの処刑も 嫌ですが、

  こんな山の中で殺されてしまうのはたまりません。


「 おい ヤバいから とまってくれよ ~! 」

  歩くのを やめようと思いましたが、 

  後ろから 押されるので立ち止まれず、

  歩かざるを得ませんでした。


「 えぇ いったい この騒ぎは何だい ? 

  そこのマヌケ面の お兄ちゃんよぅ ? 」

  手に槍や剣を持った山賊たちがメロスに聞きました。


「 マヌケ面って オイラのことですかぃ ? 」

  顔のことを言われて、メロスはムっとしました。


「 そんな マヌケ面 他にいるのかい ? 」

「 う~ん そう言われると 、、、 」


  具体的な人物名を あげられないので

  メロスは、口ごもりました。


「 おそれ多いぞ、山賊風情が ~! 

  このブサイクな御方は 

  間違った王の治世を 正すべく立ち上がった、

  我々の リーダー なのだ。 

  頭が高~い! 下がりおろう ~! 」

  メロスの背後に隠れ 妹の婿が叫びます。


「 おいおい マジかよ ~ 

  オイラ そんな気はないのにぃ ~
 
  事を荒立ってないでほしいなぁ ~ 

  それにブサイクだなんてぇ 、、、 」

  メロスは ぼやきました。


「 マヌケ面は失礼よ !

  本人も気にしているのにぃ ~

  いちおう わたしと 遺伝子は共通なのよぅ、

  ぷり ぷり ぷり ! 」

  と 妹。

「 そうだ そうだ ! 」


「 マヌケ面は仕方ない、生まれつきなんだろうし 

  本当のことを言ったら可哀想だろう 」


「 この時代 整形手術も出来ないんだぞ、

  イエス・タカ▽クリニック、とはいかない 」


「 この御方はこんな顔ぶら下げて かわいそうだが、

  ブサイクは 一生 ブサイクなんだ ~! 」


「 デリカシーのない 山賊は引っ込め ~ ! 」

  後方からも たくさんの声が飛びます。


「 応援のつもりかもしれないけど

  そんな風に言われると

  非常に傷つくんですけど オイラ ~ 」

  メロスは 傷口に塩を

  グリグリと塗りこまれているような

  切ない気持ちで くやし涙が出そうになりました。



「 なんだとう てめえら !

  命が惜しくないらしいなぁああ ! 」

  山賊達は いきり立ちます。

「 切り刻んで、シチューの具にしてやる、

  それともミンチにしてハンバーグにされたいか !
  
  希望を聞いて 好きな方にしてやるぞ !

  ソースの味は 何がいい ? 」



                いらすとや



                  いらすとや




  山賊達が振りかざした 槍や 剣は、

  ギラリと 血に飢えたように鈍く光ります。


  メロスは 食べるのは好きですが 

  自分が料理され食べられるのは素直に喜べません。


「 覚悟しろ、シチューか ハンバーグか !

  今すぐ 決めな !

  シラクス市の 王室御用達の有名料理店より

  美味しく上手く料理してやるぜ !  

  美味しく食われるのは幸せだろう ?

  鋭く光る剣の切っ先がメロスに向けられました。
    
  メロスの身体は恐怖で硬直し凍りついたようでした、 

  逃げようにも 全く動けませんでした。


「 シラクス市で 処刑される前に

  こんな山中で 命を落とすことになるとは、

  とほほのほ ~ 」









「 おい ! 前を開けろ ! 」


  後ろから 若い衆を押しのけて 

  山賊の親分が出てきました。


  威風堂々とした大男で威厳があります、

  太い腕には 無数の古傷があり、

  明らかに歴戦の強者という風情でした。


  飢えた野獣のような ギラギラした

  眼光鋭い眼が メロスを捕らえました。


「 ぁぁあ 今日がオイラの命日かぁ ~

  とほほ、迎え酒なんかしないで

  大人しく 二日酔いで寝てればよかったぁぁ ~ 」


  声にならない声でメロスは呻きました、

  恐怖のあまり、ちびりそうになり顔は引きつりました。



  嗚呼 メロスは シラクス市に辿り着く前に 

  ハンバーグか シチューの具にされ 

  美味しく山賊に調理されてしまうのでしょうか ?



         続 く