、
「 あぁぁ ~ かぁぁ ~ たぁるぅぅう ~ 」
ぞろぞろと 大人数を背後に連ねて
けだるく メロスは歩きます。
「 そろそろ 山道だなぁ 足が重いなぁ ~
山賊とか 出ちゃうかもぉ ~ 」
嫌な予感を感じ ため息をつきながら
山中に入ると、お約束のように
大勢の山賊が出ました。
近頃 役人や王室関係者、王室御用達業者を
好んで 襲うと言われていました。
「 ひぃぃぃ ~ 」
メロスは 怖気づきました、
ぶるぶると 足が震えます。
お金の持ち合わせもありません、
どんな残虐な目に合わされるかわかりません。
はりつけの処刑も 嫌ですが、
こんな山の中で殺されてしまうのはたまりません。
「 おい ヤバいから とまってくれよ ~! 」
歩くのを やめようと思いましたが、
後ろから 押されるので立ち止まれず、
歩かざるを得ませんでした。
「 えぇ いったい この騒ぎは何だい ?
そこのマヌケ面の お兄ちゃんよぅ ? 」
手に槍や剣を持った山賊たちがメロスに聞きました。
「 マヌケ面って オイラのことですかぃ ? 」
顔のことを言われて、メロスはムっとしました。
「 そんな マヌケ面 他にいるのかい ? 」
「 う~ん そう言われると 、、、 」
具体的な人物名を あげられないので
メロスは、口ごもりました。
「 おそれ多いぞ、山賊風情が ~!
このブサイクな御方は
間違った王の治世を 正すべく立ち上がった、
我々の リーダー なのだ。
頭が高~い! 下がりおろう ~! 」
メロスの背後に隠れ 妹の婿が叫びます。
「 おいおい マジかよ ~
オイラ そんな気はないのにぃ ~
事を荒立ってないでほしいなぁ ~
それにブサイクだなんてぇ 、、、 」
メロスは ぼやきました。
「 マヌケ面は失礼よ !
本人も気にしているのにぃ ~
いちおう わたしと 遺伝子は共通なのよぅ、
ぷり ぷり ぷり ! 」
と 妹。
「 そうだ そうだ ! 」
「 マヌケ面は仕方ない、生まれつきなんだろうし
本当のことを言ったら可哀想だろう 」
「 この時代 整形手術も出来ないんだぞ、
イエス・タカ▽クリニック、とはいかない 」
「 この御方はこんな顔ぶら下げて かわいそうだが、
ブサイクは 一生 ブサイクなんだ ~! 」
「 デリカシーのない 山賊は引っ込め ~ ! 」
後方からも たくさんの声が飛びます。
「 応援のつもりかもしれないけど
そんな風に言われると
非常に傷つくんですけど オイラ ~ 」
メロスは 傷口に塩を
グリグリと塗りこまれているような
切ない気持ちで くやし涙が出そうになりました。
「 なんだとう てめえら !
命が惜しくないらしいなぁああ ! 」
山賊達は いきり立ちます。
「 切り刻んで、シチューの具にしてやる、
それともミンチにしてハンバーグにされたいか !
希望を聞いて 好きな方にしてやるぞ !
ソースの味は 何がいい ? 」
いらすとや
いらすとや
山賊達が振りかざした 槍や 剣は、
ギラリと 血に飢えたように鈍く光ります。
メロスは 食べるのは好きですが
自分が料理され食べられるのは素直に喜べません。
「 覚悟しろ、シチューか ハンバーグか !
今すぐ 決めな !
シラクス市の 王室御用達の有名料理店より
美味しく上手く料理してやるぜ !
美味しく食われるのは幸せだろう ?
鋭く光る剣の切っ先がメロスに向けられました。
メロスの身体は恐怖で硬直し凍りついたようでした、
逃げようにも 全く動けませんでした。
「 シラクス市で 処刑される前に
こんな山中で 命を落とすことになるとは、
とほほのほ ~ 」
「 おい ! 前を開けろ ! 」
後ろから 若い衆を押しのけて
山賊の親分が出てきました。
威風堂々とした大男で威厳があります、
太い腕には 無数の古傷があり、
明らかに歴戦の強者という風情でした。
飢えた野獣のような ギラギラした
眼光鋭い眼が メロスを捕らえました。
「 ぁぁあ 今日がオイラの命日かぁ ~
とほほ、迎え酒なんかしないで
大人しく 二日酔いで寝てればよかったぁぁ ~ 」
声にならない声でメロスは呻きました、
恐怖のあまり、ちびりそうになり顔は引きつりました。
嗚呼 メロスは シラクス市に辿り着く前に
ハンバーグか シチューの具にされ
美味しく山賊に調理されてしまうのでしょうか ?
続 く