、
「 やばいよ やばいよ !
とにかく このシラクス市から
一刻でも早く出なくっちゃ。
くわばら くわばら 」
しかし たちまちメロスは、
パトロール中の警吏に 職務質問されました。
「 おい、こら ! そこの不審者 とまれ ! 」
「 え~っと オイラのことですかい ? 」
「 お前以外に 誰もいないだろう
もう日も暮れておる、
大きな荷物を背負って 何をしているんだ ? 」
「 オイラは ただの羊飼いですぅぅ 」
「 嘘をつけ 背中に荷物を担いで
口の周りには 無精髭
古典的な 前世紀の
ベタなコントの泥棒にしか見えないぞ、
百歩譲って 羊飼いとしても
夜に何の目的で お城に向かっているのだ ? 」
「 しまった 道を間違えちゃった
オイラ おうちに帰りたいだけなんですよぅ 」
メロスは 広く歩きやすい道を歩き、
城に通じる方向に向かってしまったのです。
花嫁衣裳などの持ち物を調べられました。
「 なんだぁ こりゃぁ ?
ウエディングドレス ?
お前は 変態コスプレイヤーか !? 」
「 いえ 妹の衣装です ~ 」
「 妹 ? やっぱり おまえに似て
ブサイクな コスプレーヤーなのか ? 」
「 失礼な オイラに似て
それは もう かわいいんですよ、
これは 結婚衣装 !
妹の結婚式のために、
色々と買い物をしていたんですよぅ、
まだネットでショッピングという時代じゃないんでね 」
「 嘘 つ け !
おまえに そっくりだったら もはや
その容貌は 人間の範疇を超えるだろう。
嫁にもらうような そんな奇特な馬鹿な奴が
いるわきゃないだろう ! 」
「 失礼な ! オイラも妹も 人間ですよだ ! 」
「 いや その顔じゃ 人間失格だな 」
「 ひ ど い ! 」
「 おまえは ブサイクな顔なので
きっと 恥の多い生涯を送って来たのです。
自分には、おまえの 人間の生活というものが、
見当つかないのです 」
「 こらぁああ ~!
他の話の変なパロディは
太宰ファンが怒るぞ ! 」
「 ふ ん ! 知ったこっちゃないね !
こちとら公権力だ、怖いものなど無い、
犯罪を犯しそうなやつは 因縁をつけて捕まえるのだ 」
「 なんて 横暴な 権力の乱用だ ! 」
「 おやぁ ? おい ! これはなんだ ! 」
メロスの懐中から 短剣が出て来ました、
警吏は 騒ぎ立てます。
「 やっぱり、お前は 変態コスプレイヤーで
おまけに テロリストなのだな !
不細工な顔で女に縁がなく 人生を悲観した挙句、
金満太りのプロデューサーや
事務所に搾取されている
顔も 歌も 踊りも 中途半端な
自己顕示欲むき出しの 少しイタイ女の子たちへの
無差別襲撃でも起こそうと思っていたんだろう
この変態ヤロウ ~! 逮捕する ~! 」
けれど 田舎の村に住む 羊飼いの彼が
色々な用途のために 短刀を持っていても
なんら不思議ではありません。
「 オイラ 人を切りつけたり
ブサイクなのに 強烈な 上昇志向に取り憑かれた
一山幾らの女の子たちを 襲ったりしないよ、
フェミニストで 平和主義者 人権主義者だよぉ。
職業柄、いつも短刀を もっているんだよ、
木を削ったり、ロープを切ったり、
ランチの時 パンや チーズや
ハムを切ったりするのさ。
オオカミだって 出るかも知れないし、
お願~い 見逃してちょうだ~い 」
「 ダメだ ダメだ !!
言い訳は 王様の前でするんだな
けっけっけ ~♪ 」
警吏は 犯罪者摘発のノルマがあるために、
これ幸いと メロスをテロリスト予備罪で
緊急逮捕しました。
「 誰か たすけて ~!
物凄~く 悪い予感が するんですけど ~! 」
「 うん その予感は 当たってると思うぞ
けけけけけ ♪ 」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
メロスは 残虐な王の前に 突き出されました。
その王の眉間のシワは 刻み込まれたように深く、
険しい陰鬱な顔は 病的に蒼白でした。
「 ひぇぇぇええ ~ !
おっかねぇ顔 ちびりそぅ ~ 」
狂気と言われる王を 目の前にして、
これから 我が身に振りかかるであろう
恐ろしい事態を想像して メロスは戦慄しました。
嗚呼 メロスの運命は
どうなってしまうんでしょうか ?
続 く