人魚姫 ブルー・マーメイド 18 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

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  人魚姫は 見よう見まねで 馬車を操り 
   
  見覚えのある 王室専用の船着場につきました

「 港に 、、、 着いた 、、 んだね 、、 」

  王子は 荒い息遣いで ひどく辛そうで

「 何か 、、 使える 、、 船を 、 探そう 、、 」
 

  王室専用船着場は 普段は使用されません 

  特別の 王室関係の船のために使われるだけです

  見張りの者も いませんでした

   
  もちろん 本来は 係員がいるのですが 

  前回の 王子の歓迎会の余興のマジックで

  係員が大怪我をし 入院してしまっていたのでした
   
  しかし王室は 経費節欲のため 

  代わりの者を 雇っていなかったのです
 

  見渡すと 数隻の小型の帆船が停泊していました 

  それらの中に これ見よがしに 

  拉致に使われた 工作高速艇が停泊していました
 

  拉致工作の後 慌てて そのままにしておいたのでしょう 

  もともとは 敵船の爆破などの秘密工作のための 

  非公式な存在だったのです

 
「 あっ あれに 、、、 乗ろう 、、、 」


  人魚姫は 腹部を撃たれた王子に肩を貸し 

  桟橋の工作高速艇に乗り込みました

  
「 、、、 うぅぅっ 、、、 」
      

  王子は激しく出血をしている腹部を押さえ 

  苦しんでいます

  どうすればいいのか 人魚姫は困惑しました 


  今や人間の姿になった人魚姫は 王子を連れて

  海底に治療に向かうことができません


  このままでは 王子は 死んでしまうでしょう

  一刻も早く 王子を連れ帰らなくてはなりません


  とにかく 王子の祖国に向け

  工作高速艇を 発進させなければいけないのです


  艇の前方中央に 丸い舵が付いています
                               
  幾つもの 操作用のスイッチやレバーがありました


 ” どうすればいいのかしら ? "


 人魚姫は 動かし方がわかりません

   王子は 一つのスイッチを指さしました


 「 、、 それを 、、、 」


   人魚姫は 「 START 」

   と 書かれたスイッチを押しました


   工作高速艇は 科学薬品の燃焼を 

   推進力としていました

   燃焼室に薬品が噴射し 気化混合され着火 

   後部の噴出口から勢い良く炎が噴出しました


「 サファイア 舵を 回して 方向転換を 」

  人魚姫は舵を回して 外海に向きを変えました

  高速艇は船着場から 外海に出ました


「 その ACCELERATOR ( 加速装置 )の

  レバーを 引いて 、、 」
 
  人魚姫は レバーを押し下げました 

  徐々に高速艇は 加速していきます


  やがて帆船を 遥かに上回る速度で

 海面を 滑るように進みました
   

「 さすがに 、、 大国というだけあって 、、、

  我が国では まだ 、、 実験段階の 、、、 

  高速船を 、、 完成させていたんだな 、、、 」

  王子は 弱々しい声で つぶやきました

    
  人魚姫は 自分の着ていた服を裂き

  王子の止血のために 患部を強く押さえました

  しかし 血は止まりません


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   人魚姫は 王子には聞こえない声で泣き叫びました



。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「 げほげほっ !

  プリンセス様 ~ 

  ときに これから わたくしめ達は 

  どうしたらいいんでしょうかねぇ ? 」


「 チッ ! 

  息を吹き返しやがったか

  そうだぁねぇ 大事になったら 

  どこかに トンズラでもしょうかねぇ 」


「 げほほほっ 

  そういえば どっかの国で

  王妃が亡くなったとか 亡くならないとか

  後妻を さがしているとか いないとか 

  その国へ 行ってみましょうか ?

  この お話は 誰~も 読んでいないから

  一から やり直しもできますよ うひひひっ ♪ 」


「 いざとなったら 行くしか無いかねぇ

  う~ん なんとなく違う 波乱の予感がするねぇ 

  まぁ 私は転んでも ただじゃ起きない女だけどね

  お~ほっほほほっ ♪ 」


「 一人 子どもが いるそうですよ 」


「 ふ~ん 

  その子は かわいい 男の子なのかしら ?

  お~ほっほほほっ ♪ 」

     
「 いいえ 『 白 雪 』 のような肌で

  評判の 美人の お姫様だとか 、、 」


「 なぁにぃぃい 肌が 『 白 雪 』 のような

  評判の 美人だとぉぉおお ~? 」

「 そういう噂ですよ 『 白 雪 』 のような柔肌を 

  一度 見たいものですなぁ うひひひっ ♪ 」


「 それは 看過できないねぇ 

  私は 私より美人は認めない
 
  私に迫ろうとするレベルの 美人も許さないよ 

  何としても 排除するよ !

  なにせ 私が 美女の最高峰なんだからねぇ

  もし その国に行ったら
     
  その 『 白 雪 』 のような肌の娘を 

  早々に処分しないといけないねぇ

  どんな 残酷な目にあわせてやろうかねぇ

  楽しみだねぇ 

  お~ほっほほっ ~ ♪ 」


「 また 可憐な可愛い少女を

  ヒドイ目にあわせるつもりなんですね

  しかし その あさましく厚かましい自己認識は 

  どこからくるのでしょうかねぇ ?

  わたくしめには とっても 不思議ですねぇ 」





< ぼ こ っ ! >

「 あぁ ! おばあちゃんにも

  殴られたことが無いのにぃ ~ 」





< ぼこ ぼこ ぼこぼこぼこぼこ 、、、、>


( 二人の暗躍は 偽童話 『 白雪姫 』 に続く )


      続 く