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人魚姫は 見よう見まねで 馬車を操り
見覚えのある 王室専用の船着場につきました
「 港に 、、、 着いた 、、 んだね 、、 」
王子は 荒い息遣いで ひどく辛そうで
「 何か 、、 使える 、、 船を 、 探そう 、、 」
王室専用船着場は 普段は使用されません
特別の 王室関係の船のために使われるだけです
見張りの者も いませんでした
もちろん 本来は 係員がいるのですが
前回の 王子の歓迎会の余興のマジックで
係員が大怪我をし 入院してしまっていたのでした
しかし王室は 経費節欲のため
代わりの者を 雇っていなかったのです
見渡すと 数隻の小型の帆船が停泊していました
それらの中に これ見よがしに
拉致に使われた 工作高速艇が停泊していました
拉致工作の後 慌てて そのままにしておいたのでしょう
もともとは 敵船の爆破などの秘密工作のための
非公式な存在だったのです
「 あっ あれに 、、、 乗ろう 、、、 」
人魚姫は 腹部を撃たれた王子に肩を貸し
桟橋の工作高速艇に乗り込みました
「 、、、 うぅぅっ 、、、 」
王子は激しく出血をしている腹部を押さえ
苦しんでいます
どうすればいいのか 人魚姫は困惑しました
今や人間の姿になった人魚姫は 王子を連れて
海底に治療に向かうことができません
このままでは 王子は 死んでしまうでしょう
一刻も早く 王子を連れ帰らなくてはなりません
とにかく 王子の祖国に向け
工作高速艇を 発進させなければいけないのです
艇の前方中央に 丸い舵が付いています
幾つもの 操作用のスイッチやレバーがありました
” どうすればいいのかしら ? "
人魚姫は 動かし方がわかりません
王子は 一つのスイッチを指さしました
「 、、 それを 、、、 」
人魚姫は 「 START 」
と 書かれたスイッチを押しました
工作高速艇は 科学薬品の燃焼を
推進力としていました
燃焼室に薬品が噴射し 気化混合され着火
後部の噴出口から勢い良く炎が噴出しました
「 サファイア 舵を 回して 方向転換を 」
人魚姫は舵を回して 外海に向きを変えました
高速艇は船着場から 外海に出ました
「 その ACCELERATOR ( 加速装置 )の
レバーを 引いて 、、 」
人魚姫は レバーを押し下げました
徐々に高速艇は 加速していきます
やがて帆船を 遥かに上回る速度で
海面を 滑るように進みました
「 さすがに 、、 大国というだけあって 、、、
我が国では まだ 、、 実験段階の 、、、
高速船を 、、 完成させていたんだな 、、、 」
王子は 弱々しい声で つぶやきました
人魚姫は 自分の着ていた服を裂き
王子の止血のために 患部を強く押さえました
しかし 血は止まりません
<< あぁぁ 誰か 王子様を 助けて >>
人魚姫は 王子には聞こえない声で泣き叫びました
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「 げほげほっ !
プリンセス様 ~
ときに これから わたくしめ達は
どうしたらいいんでしょうかねぇ ? 」
「 チッ !
息を吹き返しやがったか
そうだぁねぇ 大事になったら
どこかに トンズラでもしょうかねぇ 」
「 げほほほっ
そういえば どっかの国で
王妃が亡くなったとか 亡くならないとか
後妻を さがしているとか いないとか
その国へ 行ってみましょうか ?
この お話は 誰~も 読んでいないから
一から やり直しもできますよ うひひひっ ♪ 」
「 いざとなったら 行くしか無いかねぇ
う~ん なんとなく違う 波乱の予感がするねぇ
まぁ 私は転んでも ただじゃ起きない女だけどね
お~ほっほほほっ ♪ 」
「 一人 子どもが いるそうですよ 」
「 ふ~ん
その子は かわいい 男の子なのかしら ?
お~ほっほほほっ ♪ 」
「 いいえ 『 白 雪 』 のような肌で
評判の 美人の お姫様だとか 、、 」
「 なぁにぃぃい 肌が 『 白 雪 』 のような
評判の 美人だとぉぉおお ~? 」
「 そういう噂ですよ 『 白 雪 』 のような柔肌を
一度 見たいものですなぁ うひひひっ ♪ 」
「 それは 看過できないねぇ
私は 私より美人は認めない
私に迫ろうとするレベルの 美人も許さないよ
何としても 排除するよ !
なにせ 私が 美女の最高峰なんだからねぇ
もし その国に行ったら
その 『 白 雪 』 のような肌の娘を
早々に処分しないといけないねぇ
どんな 残酷な目にあわせてやろうかねぇ
楽しみだねぇ
お~ほっほほっ ~ ♪ 」
「 また 可憐な可愛い少女を
ヒドイ目にあわせるつもりなんですね
しかし その あさましく厚かましい自己認識は
どこからくるのでしょうかねぇ ?
わたくしめには とっても 不思議ですねぇ 」
< ぼ こ っ ! >
「 あぁ ! おばあちゃんにも
殴られたことが無いのにぃ ~ 」
< ぼこ ぼこ ぼこぼこぼこぼこ 、、、、>
( 二人の暗躍は 偽童話 『 白雪姫 』 に続く )
続 く