人魚姫 ブルー・マーメイド 4 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい




 王子の船の一件で 国王は激しく怒りました

 漂流物 証拠品の検証をして

 爆破工作の確証を得た国王は

 可愛い王子や たくさんの負傷者の報いをするべく

 犯行を行った紛争国の別の船に 

 報復の戦艦を送りました





 威嚇を繰り返していくうちに やがて犠牲者もでました

 報復は報復を呼び 悲劇は繰り返され

 拡大再生産されるのでした

 悲しみに嘆く人達は

 はたして報復によって救われるのでしょうか


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 ある日 人魚姫は王子に 筆談で尋ねました


ー 何故 人は互いに争い

  傷つけあうのですか ? ー


「 難しい問題だが 人間の性(さが)として

  争わずにはいられないのかもしれない

  人間の歴史は 闘いの歴史とも言えるのさ 

  どこかで進化の仕方を

  間違えてしまったかもしれないね 」


  王子は寂しそうに言いました

  彼は好戦的な性格ではないのです


「 サファイアも 争い事は 嫌いなんだね ? 」

  人魚姫は うなずき ペンを紙に走らせます
 
ー 皆が助け合って 共存することは

  できないのでしょうか ? ー

 
「 今 国内は まとまっているけれど

  それは 外に敵が いればこそなのかも知れない

  現在も 他国との紛争が続いている

  僕たちは 危ういバランスの中で生きている

  油断すると やられてしまうと 皆 考えている 

  疑心暗鬼と 言うことだろう
 
  悲しい事では あるのだが 、、、、 」


ー 先日 嵐の中 船で

  沢山の人が 生命の危機に襲われました ー


「 そうだ 僕は 命を落とすところだった 

  ほとんどの 乗客が 海に放り出された

  しかし救命ボートを たくさん用意してあったし

  優秀な乗組員のおかげで 不幸中の幸い

  怪我人は出たが 死者はでなかった 」


  人魚姫は その時

  たくさんの人の悲鳴を聞いていました


「 今も負傷した友人たちの

  お見舞いに行っているんだ 」


人魚姫は 王子の心痛を 察しました


「 あの時 僕は 奇跡的に助かった 

  まだ 誰にも話してはいないのだが

  海に投げ出された僕は

  下半身が魚の女性に抱かれて 

  海の底に行ったような気がする 

  幻を見ていたのだろうか ?  」





” あぁ 王子様は 覚えてくれていたのだわ ” 

  人魚姫は思いました


「 そして不思議なことに 

  今はすっかり傷跡が消えてしまったが

  浜辺に打ち上げられたときには

  大きな怪我の手当がしてあったのだ 

  それは 僕を発見した

  漁師がしてくれたのだろうか ? 」





  それは 王子の命に関わるような大怪我でした 

  治療の時 祈りを捧げたことを 

  人魚姫は 昨日のことのように思い出しました



「 いいや 素人ができるような処置ではなかったのだ
 
  それどころか この国の医師にも出来ない

  高度な 治療だったのだ 」


  人魚姫は 自分が助けたとは

  打ち明けられませんでした

  海中の人魚族のことは

  秘密にしておかねばなりません

  もどかしい思いに 目を伏せるだけでした



” もし また 危険な事があったとしたら 

  もう私は 人魚族の助けを求めることができない

  その時は どうしたらいいのだろう 、、、、 ”




 
  
  行く手には 暗雲が立ち込めて来ている 

  そんな気持ちになる 人魚姫でした


        続 く