偽作 ガリバー旅行記 4 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

  ガリバーという究極の軍事兵器を手にして、

  軍事的危機を脱した この国ですが、

  全て丸く収まるわけでもありません。

  戦争もなく ガリバーも お気楽ですが、

  やがて この国では食糧問題が深刻化してきました。

  何万人分もの食料を必要とするガリバーを養うために

  想定外の 未曽有の 慢性的食糧難になりました。

  国民は常に飢餓状態となり政情も不安定になります。

  やがて国民の不満は ガリバーに向けられました。


 「 大飯食らいめ ! 」

 「 ぶくぶくと太りやがって ! 」

 「 少しは遠慮しろよ、平気でおかわりするし ! 」

 「 アイツさえいなければ こんなに、

   我々庶民が 困窮することもないのにぃい ~ 」

 「 そうだ いいこと考えた 

   ガリバーを食料に すればいいんじゃねぇ ? 」

 「 おぉ 焼肉 食いほうだい ♪ 」

 「 ユッケ レバ刺し ♪ 」

 「 生では だめだぞ、良く焼いてな 」

 「 干し肉にでもすれば 長期間保存できて

   食糧問題も解決だ 」

 「 それがいい それがいい 」

   いつの間にか 飢えた国民に 軍事力から、

   食料と見なされるようなガリバーです。


   王室も この問題を話しあっています。

   今でも お城の周りを耕したり、

   山間部を新たに開拓して食糧増産に励みましたが、

   収穫までには たいぶ時間がかかります、

   それまでに 大勢の餓死者が出るかも知れません。


   やがて、一つの結論が出ました。

   それは、






   他国への 『 侵 略 』 です。

   食糧確保のため、敵国を

   支配下に置こうと考えたのです。

   王室からの使者が来ました。

 「 王様から 勅諭が下された、

   正式にガリバーを 国軍の特命兵士に任命する、

   大変 名誉なことである、

   敵連合国を 侵略して 食料を確保せよ ! 」

 「 え ぇ ~? 

   オイラ 抑止力として本土防衛はしてもいいけど、

   侵略は 嫌だなぁ ~

   人が死んじゃうかもしんないじゃん 」


「 我が国の存亡の危機なのだ、

  国民が飢え死にしてしまう 」


「 ど~して ? 

  もともと この国は

  食料豊富で 豊かな国じゃないのぉ ? 」

「 お前の食事のため、食料が不足している、

  急激な人口爆発と同じ状況になってしまい、

  城の周囲でさえ開墾をして野菜、穀物を栽培している、

  近海の魚は取り尽くして 

  戦艦は遠洋漁業に出かけて まだまだ帰ってこない、

  現在は 王室でさえも満足な食事を摂れないのだ 

  王様も一日一食で やせ細っておられる 」

「 あぁぁ なんて不条理 !

  なんて矛盾した存在になっているんだ

  オイラ ~! 」

「 まぁ 背に腹は変えられない、

  ワシは ニ日に一食なのだ 頼む このとおり 」

  使者は 頭を下げました。 

「 しょうがないなぁ 

  ところで どうやって敵国へ行くの ?

  泳ぐの ? 」

「 心配はない、流れ着いた巨大なボートがある、

  それで攻め行って欲しい 」

「 それ きっとオイラが乗ってきた救命ボートだな 」


「 敵国に 降伏を促す 勧告書を突きつけるのだ、

  従わなければ 手当たりしだい ぶっ壊して、

  食い物も 全て食べてかまわない 」

「 えぇ ~? 」

「 侵略したら、食い放題だぞ 」

< ぐ ~ ! >

  ガリバーの腹が鳴りました 。

「 う~ん オイラも ひもじいし、

  しょ~がない 行くとするかぁ 、、、 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「 がんばれ ~! 」

「 御武運を 祈ります 」

「 やっちまえ ~! 」

  ガリバーは 国旗を振る飢えた国民の声援に送られ

  えっちらおっちらとボートを漕ぎ出しました。
  
「 戦争って やだよね ~ 

  敵国に攻め入ったら きっと死人も出ちゃうよね、

  それってどうなのぉ ? 

  ちっちゃくても 人間だもの、

  兵士だけじゃなくて 老人も女性も子供もいる、

  みんな幸せな普通の生活してるだろうし、

  気が重いよなぁ ~

  それにしても 腹 減ったなぁあ ~ 」

  色々ぼやき 逡巡しながら ガリバーは

  ボートのオールを操ります。


  ガリバーの顔に 水滴が当たりました。

「 おやぁ ? 雨かぁ ? 」

  にわかに、天候が荒れてきました、

  身に覚えのある、明らかに やばい展開です。

「 まさか ? もしかして ? また ? 」

  強風が吹き、大波が立ちました、

  予想のとおり ボートから放り出され、

  ガリバーは 波に揉まれました。

「 うわぁぁあ 溺れるぅぅぅ 

  あっぷ あっぷ うげげげぼぼ ぶくぶく 。。 」






  さて、どれくらいたったのでしょう。
                             
  海に投げ出されたガリバーが ふと気がつくと、
 
  地面に寝かさせていました。

















「 なんだぁ コイツ 」

「 これでも 人間か ? 」

「 えらく 小さいぞ 」

「 人形じゃね ? 」

「 おやぁ 動いたぞ 」

「 これが 妖精と言うものか ? 」

「 いや こんな汚らしいのは妖精では無いだろう 」

「 じゃぁ 小人か 」

「 いゃ~ん ♪ 

  変な顔でブサかわいい 手乗りにできそう ♪ 」

「 おいおい 手荒にあつかうと潰れちゃうぜ 」

「 ミニトマト潰すみたいに プチっとな 」、

「 そうしたら これは 生ごみで出せるのか ~? 」

「 ぎゃぁぁ ~!オイラを つまみ上げないで ~~!

  ひゃぁぁぁ ~~! 高いよ ~! 怖いよ ~!

  ちびっちゃうよ ~~! 」

「 あら ポケットにも 入りそうねぇ

  ペットに しようかしら うふふふ ♪ 」


  あたりには数え切れないほどの巨人たちがいました、

  そして、子猫のように つまみ上げられたガリバーを

  皆が 不思議そうに見つめているのでした。


「 うそぉぉぉ ~! 誰かぁぁぁあ ~!

  今度こそ これは 夢だと言ってくれ ~ ! 」



  偽作ガリバー旅行記 小人の国篇 おしまい


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