軍事的危機を脱した この国ですが、
全て丸く収まるわけでもありません。
戦争もなく ガリバーも お気楽ですが、
やがて この国では食糧問題が深刻化してきました。
何万人分もの食料を必要とするガリバーを養うために
想定外の 未曽有の 慢性的食糧難になりました。
国民は常に飢餓状態となり政情も不安定になります。
やがて国民の不満は ガリバーに向けられました。
「 大飯食らいめ ! 」
「 ぶくぶくと太りやがって ! 」
「 少しは遠慮しろよ、平気でおかわりするし ! 」
「 アイツさえいなければ こんなに、
我々庶民が 困窮することもないのにぃい ~ 」
「 そうだ いいこと考えた
ガリバーを食料に すればいいんじゃねぇ ? 」
「 おぉ 焼肉 食いほうだい ♪ 」
「 ユッケ レバ刺し ♪ 」
「 生では だめだぞ、良く焼いてな 」
「 干し肉にでもすれば 長期間保存できて
食糧問題も解決だ 」
「 それがいい それがいい 」
いつの間にか 飢えた国民に 軍事力から、
食料と見なされるようなガリバーです。
王室も この問題を話しあっています。
今でも お城の周りを耕したり、
山間部を新たに開拓して食糧増産に励みましたが、
収穫までには たいぶ時間がかかります、
それまでに 大勢の餓死者が出るかも知れません。
やがて、一つの結論が出ました。
それは、
他国への 『 侵 略 』 です。
食糧確保のため、敵国を
支配下に置こうと考えたのです。
王室からの使者が来ました。
「 王様から 勅諭が下された、
正式にガリバーを 国軍の特命兵士に任命する、
大変 名誉なことである、
敵連合国を 侵略して 食料を確保せよ ! 」
「 え ぇ ~?
オイラ 抑止力として本土防衛はしてもいいけど、
侵略は 嫌だなぁ ~
人が死んじゃうかもしんないじゃん 」
「 我が国の存亡の危機なのだ、
国民が飢え死にしてしまう 」
「 ど~して ?
もともと この国は
食料豊富で 豊かな国じゃないのぉ ? 」
「 お前の食事のため、食料が不足している、
急激な人口爆発と同じ状況になってしまい、
城の周囲でさえ開墾をして野菜、穀物を栽培している、
近海の魚は取り尽くして
戦艦は遠洋漁業に出かけて まだまだ帰ってこない、
現在は 王室でさえも満足な食事を摂れないのだ
王様も一日一食で やせ細っておられる 」
「 あぁぁ なんて不条理 !
なんて矛盾した存在になっているんだ
オイラ ~! 」
「 まぁ 背に腹は変えられない、
ワシは ニ日に一食なのだ 頼む このとおり 」
使者は 頭を下げました。
「 しょうがないなぁ
ところで どうやって敵国へ行くの ?
泳ぐの ? 」
「 心配はない、流れ着いた巨大なボートがある、
それで攻め行って欲しい 」
「 それ きっとオイラが乗ってきた救命ボートだな 」
「 敵国に 降伏を促す 勧告書を突きつけるのだ、
従わなければ 手当たりしだい ぶっ壊して、
食い物も 全て食べてかまわない 」
「 えぇ ~? 」
「 侵略したら、食い放題だぞ 」
< ぐ ~ ! >
ガリバーの腹が鳴りました 。
「 う~ん オイラも ひもじいし、
しょ~がない 行くとするかぁ 、、、 」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「 がんばれ ~! 」
「 御武運を 祈ります 」
「 やっちまえ ~! 」
ガリバーは 国旗を振る飢えた国民の声援に送られ
えっちらおっちらとボートを漕ぎ出しました。
「 戦争って やだよね ~
敵国に攻め入ったら きっと死人も出ちゃうよね、
それってどうなのぉ ?
ちっちゃくても 人間だもの、
兵士だけじゃなくて 老人も女性も子供もいる、
みんな幸せな普通の生活してるだろうし、
気が重いよなぁ ~
それにしても 腹 減ったなぁあ ~ 」
色々ぼやき 逡巡しながら ガリバーは
ボートのオールを操ります。
ガリバーの顔に 水滴が当たりました。
「 おやぁ ? 雨かぁ ? 」
にわかに、天候が荒れてきました、
身に覚えのある、明らかに やばい展開です。
「 まさか ? もしかして ? また ? 」
強風が吹き、大波が立ちました、
予想のとおり ボートから放り出され、
ガリバーは 波に揉まれました。
「 うわぁぁあ 溺れるぅぅぅ
あっぷ あっぷ うげげげぼぼ ぶくぶく 。。 」
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20200617/14/ff22302370/43/8d/j/o0600050014775480407.jpg?caw=800)
さて、どれくらいたったのでしょう。
海に投げ出されたガリバーが ふと気がつくと、
地面に寝かさせていました。
「 なんだぁ コイツ 」
「 これでも 人間か ? 」
「 えらく 小さいぞ 」
「 人形じゃね ? 」
「 おやぁ 動いたぞ 」
「 これが 妖精と言うものか ? 」
「 いや こんな汚らしいのは妖精では無いだろう 」
「 じゃぁ 小人か 」
「 いゃ~ん ♪
変な顔でブサかわいい 手乗りにできそう ♪ 」
「 おいおい 手荒にあつかうと潰れちゃうぜ 」
「 ミニトマト潰すみたいに プチっとな 」、
「 そうしたら これは 生ごみで出せるのか ~? 」
「 ぎゃぁぁ ~!オイラを つまみ上げないで ~~!
ひゃぁぁぁ ~~! 高いよ ~! 怖いよ ~!
ちびっちゃうよ ~~! 」
「 あら ポケットにも 入りそうねぇ
ペットに しようかしら うふふふ ♪ 」
あたりには数え切れないほどの巨人たちがいました、
そして、子猫のように つまみ上げられたガリバーを
皆が 不思議そうに見つめているのでした。
「 うそぉぉぉ ~! 誰かぁぁぁあ ~!
今度こそ これは 夢だと言ってくれ ~ ! 」
偽作ガリバー旅行記 小人の国篇 おしまい