偽作 ガリバー旅行記 1 | 藤花のブログ 詩と

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  昔、昔、あるところに、ガリバーという

  間抜け顔の 胴長で短躯の 男がいました。

                  
  ガリバーは 海が好きで、あちらこちらと

  船乗りとして、旅を続けています。


「 海は広いな 大きいなぁ 

  行ってみたいな 他所の国ぃい ♪

  あぁ いい天気だぁ 」


  ところが 怪しい雲が にょきにょきと立ち上がりました。


「 おゃぁ ? なんだか雲行きが あやしいぞ 」
  
  
  たちまち 暴風雨に巻き込まれて、

  ガリバーの乗る船は あえなく沈んでしまいました。


「 やばいよ やばいよ ~! 」


  ガリバーと船員たちは 命からがら 

  救命ボートに乗り込みましたが、

  荒波に揉まれ、海に飲み込まれていきました。


  ガリバーは 巨大な波に飲まれ、

  もはや これまでと覚悟しました。

  海中に投げ出され、しこたま海水を飲み、

  意識が遠ざかりました。


「 あぁぁ もう これまでかぁぁぁぁあ 

  ぶくぶくぶく 。。。。。。 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


  さて、どれくらいたったのでしょう。
                            
  海に投げ出されたガリバーが ふと気がつくと、
 
  体を鎖で縛られて 地面に寝かさせていました。


  あたりを見回すと、数え切れないほどの

  小人たちが集まっているのです。


「 おゃああぁぁぁ ?

  オイラの頭は 変になってしまったのか ? 

  それとも、ここは地獄なのか ? 

  少なくとも、天国ではなさそうだなぁ  」


「 お~い 巨人よ、目が覚めたか ~? 」

  耳元で小人が呼びかけました。


「 なんだ やけに小さい人間がいるぞ

  変なの ? 妖精か ?  

  あぁ そうか、これは 夢なんだ、

  うん とっても 合理的な結論だ、

  オイラ 頭が イイね !

  じゃあ もう一眠りしよう 、、、っと 」


「 こらこら 寝るな ~! 巨人よぉぉお ~! 」


「 騒がしい夢だなぁ やれやれ 」


「 現実逃避をするな ~! 

  紛れもなく、これは現実だ ! 」


「 えぇぇ ? うそぉぉおお ? 」


「 しっかりと現実を 見据えたらどうだ ! 」


「 何ということだ、海水で 俺の短い身体は

  ふやけて、膨らんでしまったのかぁ ? 」


「 それ 違うと思うぞ、 

  あんたは 小山くらいの大きさだ、

  明らかに 我々とはサイズが違い過ぎる 」

  
「 ということは、知らないうちに、なぜか 

  オイラは、小人の国へ 流れついたというわけか 」


「 お前が 巨人なのだろう ? 」


「 俺の国じゃぁ 小さめな身長だよ 」


「 では、巨人国から来たのだな 」


  小人たちは、ガリバーを逃がさないよう

  鎖で地面に固定しています。

  細い鎖なので、普段なら簡単に抜け出せたでしょう、

  しかし、疲労困憊して空腹のガリバーは動けませんでした。


「 腹減った ~! 飯 ~! 水 ~! 」


  うるさく騒ぐので 小人たちは

  バケツリレーで水を飲ませ、

  自分達の貴重な食料を与えました。


  報告を受けた小人の国の 王様や宰相や大臣たちが、

  ガリバーを検分にやって来ました。


「 こちらに おわすは 我が国の王様なるぞ、

  頭が高い ~! 」


「 寝転がっているんだよ ~ 

  これ以上、頭は低くできましぇ~ん 」


「 まぁよい 楽にせい 」


「 王さま ~! 」


  ガリバーは、王様に言いました。


「 暴れたりはしませんから、

  どうか 鎖をはずしてくださ~い 」



「 ふ~む、体は大きいが、間抜け顔で、

  侵略者ではなさそうだ。

  ワシに忠誠を誓えば 望みをかなえてやるとしょう 」


「 ありがとうございます ~♪

  それと、もっと食物をくださ~い 」


  食事を与えられ 体力も回復したガリバーは、

  お城の人と 町の見物に出かけました。


 < どし~ん >

 < どし~ん >


「 これこれ もちっと 静かに 歩かんか !

  地響きが するではないか ! 」


「 へ~い 」

 < そろり そろり >


  小人の町の建物は とても小さいものばかりですが

  清潔で整然とした町並みで、

  ジオラマを眺めているようです、

  通りには 商店が並び 

  果物、野菜、パン、肉、魚、ミルク、チーズ、

  たくさんの食料が 溢れるように売られていて、

  人々は 平和に 穏やかに 

  何不自由なく 暮らしているようでした。


  ガリバーは 建物や人を踏潰さないよう

  注意深く歩きます。

  人々は驚き、彼の姿を見上げます。


「 あぁぁあああ あれはなんだ ? 」


「 化け物か ? 」


「 人の姿をしているぞ ! 」


「 進撃の大巨人だ ~! 」


「 うわぁ なんと 巨大な 間抜けな顔なのだ ! 」


「 あぁ 恐ろしや ! 

  この世の終わりじゃぁぁああ ! 」


「 きゃぁああ !

  口を開けたぁぁ 喰われる ~! 」


  恐怖のあまり 泣き出す人、腰を抜かす人、

  失禁してしまう人、拝みだす人もいます。


「 失礼な !

  おいら 人など 食べないよ ~! 

  まぁ 人を喰ったような顔とは 言われるけどね 」

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


  ある晩 お城が火事になりました。 

  乾燥した気候と 折からの風で、

  瞬く間に 炎は広がり 延焼しました。


「 火事だぁぁぁぁあああ ~! 」

「 早く 消せ ~!  」

「 あぁぁあ 火の回りが 速すぎるぅぅぅ 」

「 どうすればいいんだ お城が焼け落ちてしまう ! 」


  焦げ臭い匂いをかぎ ガリバーは言いました。


「 おや ? 今日は バーベキューですか ? 」


「 違う違う 火事 火事 ! 」

 
「 えぇぇ ! これは大変、消火を急がなければ。

  しかし 消火用の水が 見当たらないぞ、

  どうしたらいいんだろう ? うぅ~ん   

  ☆ おぉ そうだ !☆ 」   
    
             
  消火のアイディアを思いついたガリバーは 

  やおら 自分のズボンを下げると、

  お城の上へ、< じゃ~ ! > と放水しました。


< ジョンジョロリン ♪ >

< ジュ~~ウ ! >


  あたり一面 水蒸気が立ち上がりました。

「 すご~い、あっという間に火を消してしまったぞ 」

「 でも、凄~く 臭い 」

「 ぺっ! ぺっ ! きたなぁ~い ! 」

「 うわぁぁあ~ !

  白亜のお城が 黄色くなった~ぞ ! 」


  消火活動中だった お城の人たちは大騒ぎです。


       続 く