昔、昔、あるところに、ガリバーという
間抜け顔の 胴長で短躯の 男がいました。
ガリバーは 海が好きで、あちらこちらと
船乗りとして、旅を続けています。
「 海は広いな 大きいなぁ
行ってみたいな 他所の国ぃい ♪
あぁ いい天気だぁ 」
ところが 怪しい雲が にょきにょきと立ち上がりました。
「 おゃぁ ? なんだか雲行きが あやしいぞ 」
たちまち 暴風雨に巻き込まれて、
ガリバーの乗る船は あえなく沈んでしまいました。
「 やばいよ やばいよ ~! 」
ガリバーと船員たちは 命からがら
救命ボートに乗り込みましたが、
荒波に揉まれ、海に飲み込まれていきました。
ガリバーは 巨大な波に飲まれ、
もはや これまでと覚悟しました。
海中に投げ出され、しこたま海水を飲み、
意識が遠ざかりました。
「 あぁぁ もう これまでかぁぁぁぁあ
ぶくぶくぶく 。。。。。。 」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
さて、どれくらいたったのでしょう。
海に投げ出されたガリバーが ふと気がつくと、
体を鎖で縛られて 地面に寝かさせていました。
あたりを見回すと、数え切れないほどの
小人たちが集まっているのです。
「 おゃああぁぁぁ ?
オイラの頭は 変になってしまったのか ?
それとも、ここは地獄なのか ?
少なくとも、天国ではなさそうだなぁ 」
「 お~い 巨人よ、目が覚めたか ~? 」
耳元で小人が呼びかけました。
「 なんだ やけに小さい人間がいるぞ
変なの ? 妖精か ?
あぁ そうか、これは 夢なんだ、
うん とっても 合理的な結論だ、
オイラ 頭が イイね !
じゃあ もう一眠りしよう 、、、っと 」
「 こらこら 寝るな ~! 巨人よぉぉお ~! 」
「 騒がしい夢だなぁ やれやれ 」
「 現実逃避をするな ~!
紛れもなく、これは現実だ ! 」
「 えぇぇ ? うそぉぉおお ? 」
「 しっかりと現実を 見据えたらどうだ ! 」
「 何ということだ、海水で 俺の短い身体は
ふやけて、膨らんでしまったのかぁ ? 」
「 それ 違うと思うぞ、
あんたは 小山くらいの大きさだ、
明らかに 我々とはサイズが違い過ぎる 」
「 ということは、知らないうちに、なぜか
オイラは、小人の国へ 流れついたというわけか 」
「 お前が 巨人なのだろう ? 」
「 俺の国じゃぁ 小さめな身長だよ 」
「 では、巨人国から来たのだな 」
小人たちは、ガリバーを逃がさないよう
鎖で地面に固定しています。
細い鎖なので、普段なら簡単に抜け出せたでしょう、
しかし、疲労困憊して空腹のガリバーは動けませんでした。
「 腹減った ~! 飯 ~! 水 ~! 」
うるさく騒ぐので 小人たちは
バケツリレーで水を飲ませ、
自分達の貴重な食料を与えました。
報告を受けた小人の国の 王様や宰相や大臣たちが、
ガリバーを検分にやって来ました。
「 こちらに おわすは 我が国の王様なるぞ、
頭が高い ~! 」
「 寝転がっているんだよ ~
これ以上、頭は低くできましぇ~ん 」
「 まぁよい 楽にせい 」
「 王さま ~! 」
ガリバーは、王様に言いました。
「 暴れたりはしませんから、
どうか 鎖をはずしてくださ~い 」
「 ふ~む、体は大きいが、間抜け顔で、
侵略者ではなさそうだ。
ワシに忠誠を誓えば 望みをかなえてやるとしょう 」
「 ありがとうございます ~♪
それと、もっと食物をくださ~い 」
食事を与えられ 体力も回復したガリバーは、
お城の人と 町の見物に出かけました。
< どし~ん >
< どし~ん >
「 これこれ もちっと 静かに 歩かんか !
地響きが するではないか ! 」
「 へ~い 」
< そろり そろり >
小人の町の建物は とても小さいものばかりですが
清潔で整然とした町並みで、
ジオラマを眺めているようです、
通りには 商店が並び
果物、野菜、パン、肉、魚、ミルク、チーズ、
たくさんの食料が 溢れるように売られていて、
人々は 平和に 穏やかに
何不自由なく 暮らしているようでした。
ガリバーは 建物や人を踏潰さないよう
注意深く歩きます。
人々は驚き、彼の姿を見上げます。
「 あぁぁあああ あれはなんだ ? 」
「 化け物か ? 」
「 人の姿をしているぞ ! 」
「 進撃の大巨人だ ~! 」
「 うわぁ なんと 巨大な 間抜けな顔なのだ ! 」
「 あぁ 恐ろしや !
この世の終わりじゃぁぁああ ! 」
「 きゃぁああ !
口を開けたぁぁ 喰われる ~! 」
恐怖のあまり 泣き出す人、腰を抜かす人、
失禁してしまう人、拝みだす人もいます。
「 失礼な !
おいら 人など 食べないよ ~!
まぁ 人を喰ったような顔とは 言われるけどね 」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
ある晩 お城が火事になりました。
乾燥した気候と 折からの風で、
瞬く間に 炎は広がり 延焼しました。
「 火事だぁぁぁぁあああ ~! 」
「 早く 消せ ~! 」
「 あぁぁあ 火の回りが 速すぎるぅぅぅ 」
「 どうすればいいんだ お城が焼け落ちてしまう ! 」
焦げ臭い匂いをかぎ ガリバーは言いました。
「 おや ? 今日は バーベキューですか ? 」
「 違う違う 火事 火事 ! 」
「 えぇぇ ! これは大変、消火を急がなければ。
しかし 消火用の水が 見当たらないぞ、
どうしたらいいんだろう ? うぅ~ん
☆ おぉ そうだ !☆ 」
消火のアイディアを思いついたガリバーは
やおら 自分のズボンを下げると、
お城の上へ、< じゃ~ ! > と放水しました。
< ジョンジョロリン ♪ >
< ジュ~~ウ ! >
あたり一面 水蒸気が立ち上がりました。
「 すご~い、あっという間に火を消してしまったぞ 」
「 でも、凄~く 臭い 」
「 ぺっ! ぺっ ! きたなぁ~い ! 」
「 うわぁぁあ~ !
白亜のお城が 黄色くなった~ぞ ! 」
消火活動中だった お城の人たちは大騒ぎです。
続 く