狼のブルース 4 | 藤花のブログ 詩と

藤花のブログ 詩と

この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



            Gabriel Garcia Marengo


  村の とある家のことです

  母親は 少女に言いました 

「 お婆さんが 体調を崩しているから 

  お見舞いに 行っておくれ 

  ケーキと葡萄酒をもって 元気づけてあげなさい 」


「 え~えっ おばあさんの家は 森の中でしょう 

  お母さんが 行けばいいのにぃぃ~~~~ぃ 」

  少女は ぐずりました


「 お母さんと お婆さんが 

  折り合いが悪いのは 知っているでしょう ? 」

「 だからぁ ~ ? 」

「 血圧でも上げられて 長患いになったら困るのよ

  あたしは 面倒見る気はないんだよ 

  お父さんは 狩りに出掛けていないし

  あんたは可愛がられているんだから 行っといで

  派手な赤いずきんも 買ってもらったでしょう 」

「 そんなぁ めんどくさいなぁ~~ぁ 」

「 あたしは他人

  あんたは 血がつながってんだよ

  早く とっとと 行っといで !

  ご近所の手前 顔だけでも出さないと

  何を言われるかわからないからね 

  アリバイ作りだから すぐ もどってくるのよ 」


「 頭巾くらいで 恩着せがましくされても困るわ 

  女の子だから 真っ赤だなんて

  ジェンダーフリーの精神に反するわ 

  サンタクロースでもあるまいしいし

  もっと シックなカラーの

  ゴ~ジャスな 毛皮の頭巾が 

  よかったのになぁ~~ぁぁあ 」        
     

「 ほんとに 減らず口の お前は

  殴りたくなるほど カワイイこと ! 」

  母は 切れかかっていました

  怒気が 身体中から吹き出しているようです

  指の骨を ボキボキと 鳴らしました


「 こらっ 早く行かないと かわいがるわよ ! 」


『 かわいがる 』 とは 

  極東の島国の 太った男達が
        
  税制を優遇されて 利権に胡座をかき

  内部留保金を しこたま蓄えた

  前近代的組織の行う 国技と称される格闘技の

  稽古の名を借りた いじめ しごき等の 隠語です

  説教の名を借りて 

  先輩力士に勝った 後輩力士の頭を

  カラオケの入力リモコンで 

  かち割ることもあるのです

  
  体力自慢の母の 鉄拳は 父も恐れるほどでした

  ストレス発散のために 自然石を割り

  立木に パンチや蹴りを たたき込み


「 これからは 女も強くなくっちゃね 」 と


  少女を相手に 実践的護身術の

  激しいスパーリングをしていました

  母親は 素手で 熊でさえ 

  仕留めることが 出来るかも知れません
  
  少女は母を本気で怒らせると まずいと思いました 

「 はい はい はい 行ってきますよ~だ ! 」

  ブツブツ言いながらも 出かけました


「 返事は 一回で いいの !  」


  赤い頭巾を かぶった少女は 

  おばあさんの家を目指し 

  森に入っていきました

  
  その時 森の中では 

  赤い頭巾の少女を 凝視し

  静かに 忍び寄る 怪しい

  一つの 影がありました


 ☆  ギ ラ リ  ☆


  嗚呼 少女の運命は いかに?

     続 く


☆  教 訓 ☆

 童話の中では 森に出かけないほうが安全です