「 王妃様 こちらが 私のフィアンセです 」
「 まぁあまあぁ なんて素敵なレディざんしょ ~ 」
王妃は心にもない うすっぺらな お世辞を言い
値踏みをするように 不躾にジロジロと眺めました
艶やかな髪に 豪華な宝石に彩られたティアラ
大粒の真珠の 首飾り
金銀で作られ 宝石に彩られた仮面
すらりとした身体に 特別に仕立てられたであろう
純白に輝く まばゆいばかりのドレス
ドレープが陰影を作り エレガントさが際立ちます
そして 透き通るような 白く美しい肌
” ドレスは オートクチュールのようね
物が良さそうだわ
ず~いぶんと お金がかかっているようだねぇ
他人が綺麗なカッコしてると 殺意をおぼえるわ
隣国は ずいぶん潤っているようね
その分 もっとパーティの食い物や
デザートも 多くしてくれりゃいいのにねぇ
こんな小娘に無駄な金使いやぁがって
許せないよ !
こんな国 早めに侵略して
蹂躙しなければいけないねぇ ”
王妃は 変態従者に耳打ちします
” 元経済学教授の立場として言わせていただきますと
他人が金持ちだったり 儲けているのを見るのは
精神的に良ろしくないですなぁ
むっかむかと むかつきますなぁ
許せませんな 腹立たしい限りですな
チ ッ ! ”
変態従者も 耳打ちで 舌打ちして答えました
「 ごきげんよう よく おいで頂きました 」
金銀の輝く仮面の少女は 王妃に会釈しました
王妃も 軽く会釈を返します
「 私が 隣国の美人の誉れ高い 新王妃です
初めて お目にかかります
お~ほほほほっ ~ ♪ 」
「 本当に 初めてでしょうか ?
おまけに 自分のこと美人って
慎み深さの かけらも無いのですね
うふふふっ 」
「 あ~ら いやだ
一部の熱狂的マニアには 絶大な人気なのですよ
王妃様 王妃様と 握手会に長蛇の列
ファンが引きも切らず 整理券を配布しないと
いけないくらいですの おっほほほっ ♪ 」
「 それは想像するだけで おぞましい事ですね 」
「 なんなら 優先整理券をさし上げましょう
ほんとは有料なんですよ お~ほほほほっ ♪ 」
「 けっこうです !
まだ 私を おわかりになりませんか ? 」
「 ええぇ~っと ?
どこで お目にかかりましたかしら ?
いちいち どうでもいい女性の顔なんぞ
覚えちゃいないんですのよ
イケメンなら まだしも お~ほほほっ ♪ 」
「 そうとう ボケが始まっているようですね
これで おわかりになるかしら ? 」
優美な姿の少女は 輝く金銀の仮面を取りました
続 く