後期高齢者安楽法 2 | 藤花のブログ 詩と

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                        victoria white2010



  20XX年 この国は 65歳以上の高齢者に

  安楽死を認める 法案を成立させた


  役人 多国籍大企業以外の一般国民は 

  日々生きることに精一杯で

  元々 投票すらしないものが大半だったが

  ますます国政に 関心を失っていた

  そんな世情の頃 どさくさに紛れて

  アジテーションの上手い 世襲政治家が現れ

  暗愚な国民の支持を集めだした

  やがて 茶坊主のように擦り寄る議員たちが増え

  政権与党党首となり 人々は希望を託したが

  いつものように 公約は守られず

  逆に SNS ネット掲示板等の 使用を管理規制し

   国民の情報収集を極端に制限して

  政権支持率等 虚偽情報を流し 政府翼賛状態を形成し

  国民を顧みず 海外に国富を流出させ

  自らの権力欲を満足させるためだけの存在と化した


  国は 失政を続け 疲弊を続けた 

『 失われた30年 』 と言われる時代を過ごした 

  就職氷河期に遭遇した者たちは 

  元政府中枢に 巣食っていた

  売国経済学者らが差配する

  派遣業務を行う企業に搾取され

  非正規低賃金で働き 貧しい中年になり

  まともに所得税を納税できるものも 少なくなった


  開発途上国と国際競争するための国策により 

  法人税は 大幅に引き下げられ

  その代わりに 消費税は 毎年引きあげられ

  生活全体に重税を かけられることになった

  必然的に 貧しい老人達も増えた


  官僚 世襲政治家達は 貧しく税金もろくに払えない

  集団自衛権行使のための兵役にも使えず

  国の運営に注文をつける

  かって反政府運動を行っていた世代の

  年取った民間人が長生きするのは

  望ましいとは 考えなくなった


  そして 極東の島国で

  世界的商業主義スポーツ大会が開催され

  マスコミが その報道一色になり

  愚かな民衆が スポーツ観戦に夢中になった頃

  老人を 早期に葬るための法案が ひっそりと提出され

  いつの間にか 可決されていた

     
  一般民間人の老人は 75歳を越えると

  国家から 天国への招待状が 届けられる
 


          続 く




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