偽作 不思議の国のアリス 34 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい




  公爵夫人が 兵士に連れて来られました、

  しかし、チェシャ猫は 消えてしまいました。

  公爵夫人は アリスを見つけました。


「 あら 家に来てた お嬢ちゃんじゃないの 」


「 公爵夫人 ! 」


「 まぁ また お目にかかれて、

  私が どれだけうれしいか、分かるぅ ?

  この可愛らしいお嬢ちゃんったらぁ、

  うふうふうふうふ ♪ 」

  と公爵夫人は、妙に優しくアリスに語りかけました。


「 この間の剣幕はどうしたのかしら ? 」

  アリスは不思議に思いました。


「 うふうふ、やっぱり 娑婆はいいわね、

  牢獄は 精神衛生上もよろしくないわ ~

  肌荒れしちゃうし、飯も不味いしぃ ~

  もし、冤罪で48年も入れられたら、

  私 どうなっちゃうのかしら ~

  公権力は 恐ろしいわね、

  拷問で自白させて、証拠捏造しても、

  適当な判決出しても、

  警察も、検察も、裁判官も、誰も責任取らないんだもの、 

  自責の念なんて これっぽっちも無いんでしょうね、

  どうせ賠償金は税金だし、お気楽なものよねぇ、

  そんな話が極東の島国であったようねぇ いやねぇ。

  取り調べは録音録画で可視化してほしいわね 」


  牢獄から開放されて夫人の機嫌が良いので、

  アリスも ほっとしました。

  公爵夫人の家の台所で会ったときに、

  あれほど、異常な言動だったのは、

  二重人格の片面が

  コショウのせいで出たのかも、と思いました、

  まぁ そんなことは 時々 アリスにもありんす。


「 あたしが 公爵夫人になったら、

  台所には 絶対、コショウを持ち込まないわ。

  あたしには スープはコショウなしでも美味しいし、

  人がエキサイトするのは、香辛料のせいなのかもね、

  スパイシーな味は、ひとを ヒートさせるのね 」

  
  思わず ダジャレを言ってしまいました。

  
「 この論理を展開すれば、人が苦々しくなるのは、

  きっと ニガリのせいよ。

  渋くなるのは、多分、渋茶のせいね 、、、 

  でも、どうすれば公爵夫人に なれるのかしら ? 」

  アリスは色々考えていたので、

  公爵夫人のことは 忘れてしまいました。


「 あぁら ちょいと お嬢ちゃん、上の空だったわ、

  何やら、考えごとをしていたでしょう ? 」


「 あぁ はい 」


「 人と お話をする時は 上の空ではいけませんよ。

  人の話は ちゃんと聞かないとね、

  いつの間にか 詐欺にあっちゃうわよ 」

  
「 それは教訓ですか ? 」

  と アリス。

「 そうよ、お嬢ちゃん、

  どんなことにも、教訓はあるですよ、

  私も いろいろ 悪徳業者に

  インチキなもの 買わされちゃったわ 」


「 何を買わされたの ? 」


「 そうね、開運間違いなしの壺とか、

  一週間で異性が手に入る魔法のペンダントとか、

  なんとか還元水とか、

  超強力磁石入り健康ふとんとか、

  値下がり確実の未公開株式とか、

  高額なコンピューター付きミシンとか、

  業務用水フィルター掃除機とか、

  月や火星の土地の権利書とか 、、、 」


「 バカじゃん ! 」


「 人は自分が思うほど賢くないのよ、

  慢心が自分自身を裏切り 人を悪い方向に追いやるのよ、

  どこかの国の首都の首長も きっと、そうでしょうね 」


  こう言い、公爵夫人はアリスに身をすり寄せよせました。

  アリスは、公爵夫人に密着されるのは嫌でした。

  公爵夫人はコショウや牢獄のすえた臭いがキツく、 

  おまけに、ブサイクだったのです。

  とんがり突き出したアゴが、アリスの肩に食い込みました。


 < グリ グリ >


 ” いたたた 往年のアントニオ猪木のアゴ攻撃か ! ”


  でもアリスは、痛いけど失礼になるからと我慢しました。


「 試合は ちゃんと進んでるのでしょうか ? 」

  と アリスは話題を変えました。


「 いいえ、全然 知らないわ、

  だって 牢獄に繋がれていたんだもの 」

  と 公爵夫人。


「 どうして 牢獄に繋がれたんですか ? 」


「 私は 時間ピッタリに行ったのよ、

  でも 女王様は遅刻だって言うのよ、

  でも時間は 相対性理論によると相対的なものなのだから

  私の時間と 女王の時間は微妙に違うのよ、

  白ウサギが ポケットから時計を取り出して

『 遅刻ですよ 公爵夫人、大した度胸ですなぁ、ふふふ 』

  と 女王の肩をもって私を なじるものだから

  頭にきて ぶん殴ろうとしたら、

  脱兎のごとく、『 だっと 』 逃げ出して

  私の腰の入った 空気を切り裂き 唸りを上げた掌底が

  後ろに立っていた女王様の顔を張り飛ばしちゃったの 」


「 やれやれ 白ウサギはトラブルのもとね 」


「 女王の顔は ビョ~ンビョ~ンと揺れたわ、

  まるで 扇子をパタパタ扇ぐようにね 」


「 きゃ~ぁっははは ♪ 」


「 私の代わりに お嬢ちゃんがクロケーに参加してるのね 」


「 そうなのかしら ? 急にさそわれたんですよ、

  それで、このフラミンゴ、マレットの代わりなんですよ 」

  と アリス。

「 そうなのよ ここのルールでフラミンゴを使うのよ、

  ちょうど ドタマがスティック状だからかしら ? 」

  と 公爵夫人。


「 動物虐待と 動物自身が言ってますけどね 」


「 動物愛護に うるさいエゲレスだからこそ面白いんじゃない ?

  何だかこの国、人の命は それほど大事に思わないのよねぇ、

  戦闘行為には積極的に参加、人質は見殺し、

  まるでブラックジョーク、

  なんたって、*モンティ・パイソンの国だもの うふうふうふ ♪ 」

  と 公爵夫人。


「 エゲレスは 何事も、そうやってパロディにするのよねえ 」

  と アリス。


「 もちろん、それが大人の国っていうものなのよ、

  たくさんの植民地の人を 人命を軽視し、搾取して

  世界に君臨した国だもの、

  ブラックユーモアが 好きなのよぉ、

  ロイヤル・ファミリーだってパロディにしちゃうものね、

  極東の島国じゃ危なくて、とても出来ないわね うふうふうふ ♪ 」


「 極東の島国では 権威を貶めるのを好かない人もいるのね、

  街宣車で、がなりたてたり、殺人予告が届いたり、

  ネットが炎上したりするでしょうね 」

 
「 私が その気になったら、

  モンティ・パイソンなんか目じゃないわよ ウヒョヒョヒョ ♪ 」

  と 公爵夫人は、うれしそうに言いました。


「 お願いだから、問題発言はしないで、

  ジョークを理解出来ない 頭の硬い人も 山ほどいるから 」

  と アリス。


「 おやまあ、それは残念だわぁ、

  皆が豚鼻を鳴らして 腹を抱えて悶え苦しみ

  痙攣するほどのジョークがあるのにねぇ 、、、 」

  と 公爵夫人。


「 そう言えば、あの赤ちゃん ブタ 、、、 」

   と アリスが 言いかけると、

  公爵夫人は、ガタガタ震えはじめました。

  顔を前に向けると、女王が立っていてました、

  うで組みして、鬼の形相をしています。


「 良いお天気でございますわね、女王陛下 」

  公爵夫人が言いました。


「 さぁて、公爵夫人よ 」

  と 女王は言いました。


「 何で ございますかぁ ? 」


「 おまえの飼い猫の チェシャ猫とやらが、

  首だけで現れて、大問題だったんだよ ! 」


「 チェシャ猫は 人に危害を加えませんが 、、、 」


「 あの下品な笑い顔を 王様が気に入らないとさ 」


「 そう言われましても、チェシャ猫は笑うものなのですよ、

  そう言う、ことわざがあるほどでして 」


「 言い訳をするな ! 公爵夫人よ !

  きっちリ始末をしてやろう !

  おまえの首を今から ちょん切ってやるわ 」


「 ちょっとお待ちください 」


「 ならぬ、おまえは わらわを ひっぱたいたではないか ! 」


「 いやぁ それは 、、、

  そうそう、蚊が女王様の頬に止まっていまして 、、 」


「 その首を差し出すか、

  もしくは おまえの存在自体を消すか、

  どっちが 望みだ ? 」


「 ぇえ~とぉ じゃぁ 存在を消します 」

  と言うと 胸の前でマレットを握るように手を組んで、


<<  ど ろ ん ! >>


  公爵夫人は一瞬で姿を消しました。


「 えっ ! 消えたわ。 

<  どろん ! > て、なんて古臭い表現なの、

『 ココらへんで ドロンします 』 って前世紀の死語でしょう。

  でも公爵夫人は チェシャ猫みたいに姿を消せるのね、

  猫に教わったのかしら ?

  それとも、姿の消し方をチェシャ猫に仕込んだのかしら ?

  でも、どうやって消えるの ?

  魔法 ? 透明人間 ? 光学迷彩 ? 

  それとも 亜空間に自在に潜り込めるのかしら ?

  それなら牢獄から 簡単に逃げ出せそうなものよねぇ ? 」

  アリスは 乏しい知識で回答を探そうと思いましたが、

  当然、合理的な答えは出ません。


「 まぁ いずれ賢い人が研究して

  科学的な説明をつけてくれるでしょう、

  今、子供の あたしが考えることじゃないわね 」
  

「 さぁ クロケーの試合を続けるが よいよいよい 」

  と 女王に言われたアリスは、

  女王と いっしょにクロケー場に戻りました。



      続  く



  * モンティ・パイソン

  モンティ・パイソンは、イギリスの代表的なコメディグループ、

  1969年から始まったBBCテレビ番組

『 空飛ぶモンティ・パイソン 』 

  で人気を博し、その後もライブ、映画、アルバム、

  書籍、舞台劇等で活躍の場を広げ、

  その爆発的なインパクトはメンバー個人を

  スターの座に押し上げた。

  モンティ・パイソンは、

  グレアム・チャップマン、ジョン・クリーズ、

  テリー・ギリアム、エリック・アイドル、

  テリー・ジョーンズ、マイケル・ペイリンの6人で構成される。

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