偽作 不思議の国のアリス 21 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



 「 この赤ちゃんたら、どうしてやったら 機嫌よくなるんだろう ? 」

   と アリスが思ったとき、赤ちゃんは また鼻を鳴らしました。


 <<< ぶぅ~ぶぶぶび !! ぶびぶびびぶび ~!! >>>


   アリスは イラッとしながら

   赤ちゃんの 頭にかかっているベビー服のフードを上げて

   その顔を しっかりと覗きこみました。


「 あんた うるさいわよ ! ブタじゃあるまいし ~! 




















  って こいつ 本物のブタ じゃ~~ん !!

  なんなのよ ブタの赤ちゃん じゃないの ~ ! 」


  アリスは これ以上 ブタをあやすのは無意味だと思い、

  ブタを地面に下しました。


「 ぶ~ ぶ~ 言うのも無理ないわねぇ 」


  ブタは 「 ブヒブヒ ! 」 と森に向かい歩いて行きました。


「 あのまま 人として大きくなったら、

  目も当てられないほど みっともない子どもになったでしょうね。

  でもブタなら まぁまぁかな、美味しく育ってほしいな ♪ 」


  アリスは友達の中でブタになったほうが容姿を気にせず 

  お気楽に生きていけそうな子たちを頭に思いうかべました。

「 あの子たちを ブタに変えるアイテムがあればいいのにね、

  ぶふぶふ ぶひひひ ぶひひひひ ♪  」

  アリスは 自分のことは棚に上げ

  友達の容姿を嘲笑う いけない女の子なのでした。


  ふと気配を感じ 見上げると、 

  木の枝に チェシャ猫が座っていました。


「 き ゃ っ ! 」 と、 


  アリスは びっくりしました。

  極東の島国に棲むという

  トト□という 化け猫に似たチェシャ猫は、

  ニタニタしています。


「 大口開けて笑って 気色悪いけど

  べつだん 襲ってくるわけでもなさそうだし、

  悪い猫じゃ無いのかな ? 」

  とアリスは思いました。しかし、


「 長いツメと、大きな口に 

  あんなに たくさんの歯を むき出しにしてるわ、

  油断して 狩られないように気をつけなくっちゃ 」

  そうも思いました。


「 チェシャ猫さん 、、、 」


  アリスは、声をかけました。
 
  チェシャ猫は ニタニタ笑って振り向きました。


「 まぁまぁ そこそこ機嫌が いいのかもね 」


  アリスは思いました。


「 ねぇ 教えてちょうだい ! 」


「 何だい ? 」


「 あなたは 高い木の上に座っているでしょう 」


「 ふん ふん 」


「 あたしは 綺麗な花壇と噴水のある お庭に行きたいの、

  もし あなた そこから辺りを見回して手がかりがあったら、

  ここから どっちへ行ったらいいのか教えて 」


「 それは、あんたが どこの方向へ行きたいかによるよなぁ 」

  と チェシャ猫。


「 どこの方向でも 庭に行ければいいんですけどね 」

  とアリス。


「 なら どっちへ行っても関係ないね ふふん 」 

  とチェシャ猫。


「 でも綺麗な花咲く お庭には ど~うしても行きたいんです、

  今まで さんざん苦労したんですもの 」

  と アリス。


「 まぁ、いつかは辿りつくよ、

  う~んと あちこち隈なく歩けばね 」


「 だめだ こりゃ 」

  と アリスは思ったので、

  別の質問をしてみました。

「 ここら辺りには、どんな人が住んでるんですか ? 」


「 あっちの方向には 帽子屋が住んでる。

  それと あっちの方向には *三月うさぎ が住んでる。

  好きな方を 尋ねるといいよ、

  どっちも まともじゃないけどね 」


「 まともじゃないなら 行きたくないわ、

  例えば、作曲偽装して釈明会見して逆ギレしたり、

『 ステテコ細胞は ありますぅ ~ 』 と言って

  国費の無駄遣いをしていた研究者だったり、

  若くして成功して有頂天になり

  長年 シ▼ブ 決め放題だった某有名歌手とか、

  またもや シ▼ブで捕まった エッチな元グラドルとか、

  記者会見で大泣きしてバカを晒した

  政務調査費詐欺の市議とか、

  遺産目的で再婚 次々に亭主をXXした後妻業の女や、 

  偽装万引きをネットにアップする反社会性向のある人とか、
 
  偽作といって原作を貶める

  おバカな駄文を書いたりするブロガーとか、

  そんな人たちじゃないでしょうね ? 」
 
  と アリス。


「 世間には いろんな変な奴がいる、それは仕方ないよね。

  標準的な型に嵌った工業製品じゃ無い、

  それぞれが それぞれの異差を持つんだよ。

  だから、ここいらの連中 まともじゃないんだ。

  ぼくも まともじゃない、あんたも まともじゃない ~ 」


「 どうして あたしが まともじゃないのよ !? 」

  とアリス。


「 残念だが あんたは まともじゃないのさ、

  そうでなきゃ まともじゃない ここには来れないのさ、

  ここに存在すること事態が まともじゃない。

  不思議だなぁ どうしてそれに気づかないんだい ? 」

  と チェシャ猫。


「 じゃぁ、あなたは どうして まともじゃないの ? 」


「 ここにいる以上 僕はまともじゃないのさ そういうこと 」


  アリスには理解できませんでした。


「 そうそう 公爵夫人は 女王様と今日、クロケーをするの ? 」

  と アリス。


「 そのようだねぇ、でも ぼくは招待されてないのさ、

  でも 後で そこで会おうね 待ってるよ 」

  と 言って、チェシャ猫の姿は消えました。


「 なによ それ ?

  招待されてないのに勝手に行けってこと ? 」


  アリスは チェシャ猫の消えた場所を見ていると、

  また、いきなり現れました。


「 聞き忘れたが ところで、

  公爵夫人の抱いていた赤ちゃんは どうなった ? 」

  と チェシャ猫。


「 あれは ブタの赤ちゃん だったわ 」

  と アリス。


「 そうだろうと思ったよ、ブヒブヒ 騒いでいたからね、

  なぜ 伯爵夫人がブタの子守をしていたのか不思議だよね 」


「 そう言えば そうよね 」


「 でも答えは無いんだよ 疑問は投げっぱなしで

  回収されないんだ、それが ここのルールなのさ 」


「 変なの ? 

  世間じゃ それは許されないわよ、

  疑問は解決しないと 気持ち悪いじゃない ? 」


「 それは ジグソーパズルの
  
  足りないピースを探すことに似ているよね。

  でも見つからないほうが多いかもしれないよ、

  人生に何らかの意義を見出そうとしている人も 

  本当はそんなことは無意味だと気づかない人が多いよね 」

「 人生に意義を求めてはいけないの ? 」

「 意義は結果として 後からついてくるものさ、

  意義のために生きる事は 意義に縛られて

  ろくな結果にならないものさ、

  君に異議はないよね、そんじゃぁねぇ ~ 」 


  チェシャ猫は、また消えました。

「 はぁぁぁ ~ やれ やれ ~

  何を言っているのか ちっとも分からないわ、

  猫と人は きっと思考回路が違うのかもね 」

  アリスは ため息をついてから、

  三月うさぎの住んでいる方角に歩きだしました。


「 帽子屋さんなら町にもあるし 見たことあるし、

  紳士淑女の行くお店だから 普通でしょうね、

  三月うさぎ とやらのほうがいいかもね 」
  
  こう言いながら、ふと目をあげると、

  またチェシャ猫が 木の枝に座っていました。

「 あの赤ちゃんを ブタって言った ?

  それとも 煮豚 酢豚 焼き豚 まぶた なべぶた うらぶた ? 」

  とチェシャ猫。


「 ただの 仔ブタよ ! 

  調理したら きっと柔らかくて

  味も染み込みやすくて美味しいわよ !

  それと、そんなに頻繁に出たり消えたりしないでくれる ? 

  点滅してるみたいで 

  子供が ショック症状を起こしたらどうしてくれるのよ 」


「 あぁ はぃ はぃ むかしアニメで問題になったよね ~ 」

  と チェシャ猫。


「 ちょいと あんた !

  化け猫アニメ映画のキャラクターのパクリじゃないのぉお ? 」


「 ちがうよ 向こうが ぼくをパクってるのさ

  こっちが 正真正銘 由緒正しい 本家本元 」


  そして こんどは、ゆっくり消えていきました。

  シッポの先から消え始めて、最後はニタニタ笑っている顔。

  最後まで笑っている口周りが残っていました。

   アリスは 思いました。


「 笑わない猫なら よく見かけるけれど、

  でも 猫なしの 笑う口とはねぇ、 

  今までの人生の中で 最高に変なものだわ 」


  アリスは 三日月うさぎのいる方角に向かいました。

  しばらく歩くと、三月うさぎの家が見えてきました。

  家の煙突が うさぎの耳の形で、

  毛皮を貼った屋根だったからです。

 
「 想像通りの家だわ。

  想定内だけど やっぱ変な家、

  一見かわいいけど 近くで見て よく考えると

  毛皮を張った屋根なんて ちょっとグロイかも ~! 」

  そして こう思いました。


「 やっぱり まともじゃないのかも ~

  バッグス・バニーみたいなら良いけど、

  皮を剥ぐような猟奇的な やっすいホラーみたいだと嫌かも ~

  帽子屋さんの方に行ったほうが 良かったかも ~ 」



      続 く





  * 三月うさぎ

「 精神に異常をきたしている 」 と評される三月ウサギは、

「 三月のウサギのように 気が変になっている 」

  という英語の言い回しから生み出されたキャラクターである。

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