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アリスは、森の中で 激しく動きまわりました。
長くなった首が あちこちで樹の枝にからまってしまうので、
その都度 止まって こんがらがった首を ほどくからです。
「 あぁぁ めんどくさい ~!
キリンが 密林じゃなくて 草原にいるのがよく分かるわ 」
ふと、自分がキノコの欠片を持っていたのを思いだしました、
「 慎重に、まずは片方をかじって、それから反対側をかじって、
少しずつ調整しながら 大きさを変えればいいのよ、
あたしってば かしこい ~♪ 」
アリスは 手の届くところまで頭を下げキノコをかじり、
大きくなったり、小さくなったりしながら
元々の大きさに戻りつつあったのでした。
「 このくらいのサイズは お久しぶりぶりざえもんだわ、
何だか変な気分、人は意外と変化に順応してしまうものなのね 」
アリスは やっと元々の大きさに戻りました。
「 よっしゃぁぁあ ~! これで 0K!
でも どんな原理で サイズの変化が起きるのかしら ?
もしかすると 人間体から変身すると、
でっかくなる巨大ヒーロと同じ理屈なのかしら ?
体を構成する分子密度が 希薄になるのかしら ? 」
しばらくアリスは その原理を乏しい知識で考えましたが、
当然 合理的な結論はでません。
「 まぁいいや、元の大きさには戻ったぞっと。
次は あの綺麗な花壇や噴水のある お庭に行くことよ。
いったい どうやったら 行けるんだろう ? 」
森を歩きながら、呟いていると、開けた場所にでました。
そこには 高さ120センチくらいの 家がありました。
「 わぁ 大きめのドールハウスみたい、
誰が住んでるのかしら ?
理科ちゃんとか 馬~尾~ちゃんとか ? 」
とアリスは興味を持ちました、
ぜひ 中を見たいものと思いました。
「 多分、20~30センチくらいの住人だわ、
このままでは 怖がらせちゃうかもね、
めんどくさいけど、また サイズを変えなくちゃ 」
右手のキノコの欠片を かじり、
身長を 25センチくらいにしました。
アリスが その家を眺めていると、
いきなりメイド服を着たメイドらしき者が、
森から来ました、その者は魚を思わせる顔でした。
「 魚顔かぁ ~ いるわねぇ そんな人。
あんこうとか ハゼとかね、
あたし そんな顔でなくてよかったわ うふふ 」
つい 差別的な考えをしてしまうアリスでした。
メイドは ドアをノックしました。
ドアが 開きました。
ドアを開けたのは、その家のメイドでした、
丸顔で大きな目をした まるでカエルの顔のようです。
「 いるわよねぇ、カエル顔の人、
お間抜け顔よねぇ、うふふ 」
アリスは自分を棚に上げ 美醜にキビシイのでした。
メイドは二人とも、
髪の毛を もじゃもじゃにカールしています。
「 カーリーヘアは 古臭いわねぇ、
あたしは ゆるふわヘアがお気にいりぃ ~ ♪ 」
アリスは きき耳をたてました。
魚顔メイドは、手紙を取り出し
カエル顔メイドに渡しながら言いました。
「 公爵夫人殿へ~ 女王様より~ クロケーのご招待で~す 」
カエル顔メイドは、言葉の順番を変え繰り返しました。
「 女王様より~、クロケーのご招待~、公爵夫人殿へ~で~す 」
両者は うやうやしくお辞儀をしました、
頭が接近しました、すると
カールした互いの髪の毛が からまってしまいました、
慌てて離そうとすると 余計こんがらがって大騒ぎです。
「 わかりやすいボケね げらげら ♪ 」
古典的なコントのようでしたが
お笑いのレベルが低いアリスにはウケました。
ようやく髪の毛が解け 魚顔のメイドは
丁寧に お辞儀をして帰って行きました。
「 なるほど ここには公爵夫人が住んでいるのね、
どんな顔だか 見てみたいわ 」
カエル顔のメイドが、ドア近くの地面に座り、
ぽっか~んと 呆けたように空を見あげています。
アリスはドアにまで行って、ノックしました。
<< トントントン >>
「 ノックなんかしてもムダだよ~ん ケ~ロヨ~ン 」
と メイドが言いました。
「 ケロヨンとは また古いことを、
イギリス・スコットランドの小説家ケネス・グレアムの
児童文学 『 たのしい川べ 』 の翻訳の、
カエルの着ぐるみの 元祖ゆるキャラ風
キャラクターじゃないの アナクロだわ、
YouTubeに 少しあるわね 」
「 話の途中だけど いい ?
その理由は 二つだよ~ん。
あたしが あんたと同じドアのこっち側にいるだよ~ん、
あんたの姿は見えてるよ~ん。
家の中は 騒々しいんだよ~ん、
誰も あんたのノック音なんか 聞こえやしないんだよ~ん 」
家の中では 騒動になってるようです
誰かが 泣きわめいてクシャミをして、
食器が 割れたような音がするのです。
「 あたしは どうやって家の中に入ればいいのかしら ? 」
と アリス。
「 もし あんたが中にいて、ノックすれば、
あたしが 外に出したげられるんだよ~ん 」
と カエル顔のメイドは空を見あげたままです。
「 だから どうやって入ればいいの ~ ? 」
と アリスは繰り返し聞きました。
カエル顔メイドは言います。
「 あたしゃ ここにいるんだよ~ん、
明日になっても たぶんそうだよ~ん
中には戻りたくないんだよ~ん 」
皿がドアにあたって 派手に割れる音が聞こえてきました。
「 明後日になっても ここにいるかもだよ~ん ケロヨ~ン 」
メイドは 気にせず言いました。
「 どうやって 家に入ればいいのよ ! 」
とアリスは、もっと大きな声で言いました。
「 そもそも あんたが、家に入っていいのかどうか、
まず それが問題だよ~ん ケロケロ 」
「 じゃぁ あなた 公爵夫人に聞いてきたらどう ? 」
「 やなこっただよ~ん ケロケロ 」
でもアリスは、家に入りたいという思いに囚われています。
「 まったく ど頭に きちゃうわよね ~!
このメイドが 偉そうに あたしに口答えするのって
精神状態が異常になりそうよ ! 」
「 あたしゃ ここに座ってるんだよ~ん、
ず~っと ず~っと、何日も何日もだよ~ん 」
「 じゃぁ あたしは どうすればいいの ? 」
と アリス。
「 お好きなようにすればいいんだよ~ん ケロロ軍曹 」
と メイド。
「 あたしは そんな異形の カエル・エイリアンじゃないわよ ! 」
「 ギロロ伍長 ? 」
「 あぁ もう、こんなのと話をしてても埒が明かないわ
鍵が かかってるわけじゃないでしょうに ! 」
「 もう お家に カエルのがいいだよ~ん バハハ~イ 」
「 あなた この家のメイドでしょう 仕事をサボってていいの ?
結果 ボーナスが減らされたりして、
勤務評価の悪さが やがて我が身に カエルのよ 」
と アリスは言い ドアを開け家の中に入っていきました。
「 うわっ ! ゲロゲ~ロ ! 」
続 く