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女性は 上着の内ポケットから 何かを取り出しました
「 何じゃ それ ? 」
と 継母
「 私たちは 国際犯罪捜査機構 ( 架空 )の 捜査官です 」
彼女は そう言うと身分証明書を見せつけました
男性も 同様に身分証明書を提示しました
「 えぇ !
昨日の女性と男性は 国際犯罪捜査機構の人たち
どういう事なの ? 」
娘は 驚きました
良い魔法使いか 天使かと思っていた彼女たちが
実は 国際犯罪捜査機構の捜査官で
その捜査官が なぜ我が家に来て
自分を仮面舞踏会に出席させてくれたのか
まったく理解できませんでした
「 ふ~ん そうかい
でっ その捜査官が 私たちに何か御用かい ? 」
継母は しらばっくれて言いました
「 え~ぇ ? どなたかと お間違えじゃぁないのぅ ~? 」
「 いやだわ 虫も殺さない 私達なのにぃ ~ 」
義姉たちも とぼけました
「 夫殺しの容疑で 逮捕状が出ています !
今日 朝一番で この国の裁判所に申請し
速やかに受理されました
いままで何度 逃げられたことか
でも もう逃げられないわよ 」
「 年貢の納め時が 来たようだな 」
と 同行の男性捜査官
「 名前を変え めちゃくちゃ厚塗り化粧で
別人のように顔まで変えて
各国で 遺産狙いの殺人を重ね
逃げ回っている 極悪非道の女三人組も
もう これで最後よ ! 」
「 まぁ いやだぁ ~!
こんな見目麗しい 淑女三人なのに
何という言い草かしら とんだ濡れ衣だわぁ 」
と 継母
「 こんな か弱い美女なのに
失礼だわ ! ふん !
私たちの美しさが 妬ましいのね 」
「 冤罪を作るつもり ?
無実の者の冤罪が問題になったりしてるけど
ほんとに そんな事が我が身にふりかかるなんて
信じられなぁ~い ! 」
と義姉たち
「 なんて ケバくて厚かましい 身の程知らずの女どもだ
お前たちからは プンプンと
ドブ川の臭いや 腐敗臭が漂ってくるようだぜ 」
男性捜査官が 吐き出すように言いました
「 あなた方は 金持ちの男を狙い後妻に入り
夫になった者には 毒物を飲ませ死に至らしめて
財産を せしめるという犯罪を繰返していましたね ! 」
女性捜査官が きつく問い詰めました
「 今回も 成功したようだが
思ったほどの財産は無かったようだな 」
と 男性捜査官が言いました
「 今回は 土地家屋が大部分でしたね
あなた方は 財産を処分するまでは
この娘さんを こき使い
処分の めどがついた暁には娘さんの父親と同じように
始末してしまおうと考えていたんでしょう 」
「 だったら どうした ? へへへ~んだ ! 」
継母が うそぶきます
「 私たちは必死に内偵を重ね ようやく探し当て
あなた方が 仮面舞踏会に出席する事を知り
出かけた隙に 家中を捜索して証拠を調べました 」
「 そのため この お嬢さんにも
仮面舞踏会に 出席してもらったんだ
全員の留守の間に 家探しするためにな 」
「 危険毒物や 過去の犯罪に関係する品も見つけました
ずいぶんと几帳面だったようね
財産目録 犯罪日時 場所 手口 被害者名
使用薬物まで書いたノートも 証拠品として押収しました 」
「 しまった ~! 」
と 継母
「 なんで そんなモノ 書いておいたの ? 」
「 そうよ 証拠残すなんて バッカじゃないの ? 」
「 うるさ~い !
いつか手記か ピカレスクロマンを書いて
印税生活しようと思ってたんだよ ~ ! 」
「 あなた方の顔を知る 被害関係者に
舞踏会へ 密かに出席してもらいました
そうとう 飲み食いしたようね
あなた方が 仮面をはずして ばかばかと
意地汚く食べていた姿を見てもらっています 」
「 しっかり 首実検してもらったんだぜ
『 あんな大食いをする下品な人間は
あいつらに間違いない
豚のほうが よっぽど優雅で愛らしい
連中は最低最悪の人間だ 絶対に容疑者に間違いない 』
とさ 」
「 あらぁ 失礼だわ !
わたしの美しい姿を 勝手に見てたのね 」
と 継母
「 んまぁ 私たちのテーブルマナーに ケチつける気 ? 」
「 ちゃんとキレイに 皿までベロベロなめましたよ~だ ! 」
と 義姉たち
「 ふん 下品な 親娘たちだ !
あちこちの不動産関係者から 土地売買の情報を入手し
分析していたんだぜ 早く売れと不動産屋を
ずいぶん すごんで脅かしたらしいじゃないか 」
と 男性捜査官
「 例の不動産屋に あなたの話をしたら
まるで 悪魔にでも睨まれたように
真っ青な顔をして 震えていましたよ
かわいそうに 」
と 女性捜査官
「 今回も まんまと財産を相続したな
結婚から 間もなく夫が死亡するのは
お前らの いつもどおりの手口だな
不況の影響で 物件が売れずにいて助かったぜ 」
「 この家の周りは この国の警吏に包囲されています
もう逃げられません 逮捕します ! 」
「 お前たちには黙秘権がある お前たちの発言は
不利な証拠として使われることがある ! 」
「 ふ~ん だったら弁護士を呼んでもらおうかね
ギャハッハハハ ~! 」
そう言うと継母は 手にしていた暖炉用の
鉄製の火かき棒を ブンブン振り回しました
「 捕まえられるもんなら 捕まえてごらんよ オラオラオラ~! 」
継母は 巧みな棒さばきで 鉄製の火かき棒を高速回転させ
上下左右 ブンブンと音を立て振り回し捜査官たちを牽制します
少しでも触れたら肉が裂け 骨が砕けてしまうでしょう
「 おとなしくしなさい ! さもないと ! 」
と 女性捜査官
「 あたしゃぁ フェンシングの免許皆伝なんだよ
ガキの頃から 暗黒街の連中相手に
修羅場を何度も くぐり抜けてきたのさ
三銃士にだって 負けやしないよ
アラミスや ダルタニアンが相手だって
赤子の手をひねるようなもんさぁ
かかってきな ! ぎゃぁはっははは ! 」
「 往生際の悪い 性悪女め ! 」
と 男性捜査官
「 こうなりゃぁ テメェらのドタマ
カボチャのように かち割って
脳漿や脳髄 飛び散らし ぶちまけてくれるわ ! 」
そう言うと継母は 火かき棒を高く振り上げました
「 幸か不幸か この話を読むものは ほとんどいないのさ
この場の お前らを始末さえすれば証拠隠滅もかんたん
一瞬で始末してやる 覚悟しな ~!
ちゃんと熟れてるかなぁあ ?
季節は もうすぐハロウィ~ン
かぼちゃランタンをつくろうかねぇ 楽しいねぇ
ぎゃ~っははは ~♪ ハッピ~ハロウイン ♪ 」
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「 ぎゃぁぁあ ~ ! 」
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「 あぁぁ 何と いうことを ~! 」
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