偽作 シンデレラ 9 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



 
 次の日 朝から お城の使いが、

 手がかりの ガラスのハイヒールに

 ぴったり合う足の女性を探すために 動き出しました


「 朝から あちこちの家を訪ね歩いて

  もう うんざり ! 疲れてしまったよ 

  あぁぁ 顔が分かっていたなら 

  似顔絵の 立て看板でも立てられるのに

  一人一人に靴を履かせて探すなんて めんどくさいなぁ 

  そもそも名前とか 住所とか聞いてなくて ど~すんの ?

  王子様はトロくて こまるよ

  この時代に 自由恋愛ってどうなのかなぁ ?

  もし 王子様が民間から お妃を娶ったら 

  きっと宮廷内の うるさがた達の

  陰湿なイジメに遭いそうだよなぁ 

  普通の政略結婚なら 国際間の政治力学が働いて

  安泰だと思うよ 

  なんだか この国の将来が心配だなぁ 」


  何件も 何件も あちこちの家を駈けずり回り 

  やがて お城の使いは 娘の家にも やって来ました


「 ごめんください ~ ! 」

「 だ~れ~ ? 

  食い過ぎ 飲み過ぎで 動くのいやだわ ~ 」

「 あたしも いやよ ! 」

「 ぐえっぷ ~ ! 」

  継母と義姉たちは 膨れた腹をさすりながら言いました 

「 ごめんください ! お城から来ました ! 」

「 なんだよ ? あるだけ食ったからって

  請求書でも持ってきたんじゃぁ ないだろうね ? 」

「 ちがいま~す ! 」

「 じゃぁ お城の銀食器くすねたことかしら ? 」

「 シー ! ばか ! 聞こえたらどうするんだよ ! 」

「 銀食器は くすねてませ~ん 」

「 あのぉ~ お妃候補の お嬢様を探しています ~! 」

「 なっ 何だって ~!

  どうぞ おっ おっ お入りください ~♪ 」


  継母は喜びました もしも玉の輿に乗れば 

  一打逆転 権力中枢に喰い込み 一生安泰です



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「 さあ娘たち このガラスの靴に足が入れば

  あなたたちは あの間抜けなトロイ王子の お嫁さんよ 

  どうやら 靴しか手がかりがないらしいからね

  履けたら しらばっくれて輿入れさぁ ぐぇへへへ ♪ 」

  継母は義姉たちに 耳打ちしました


「 はい お母様 ♪ 」

「 無理やりでも 何でも 足を突っ込みなさい ! 」

  二人の義姉たちは 小さなガラスのハイヒールに

  足を ギュウギュウと押し込みました


「 私も入らないわ こんな靴に入るなんて マヌケの小足よ 」

「 お母様 わたし足がカサカサだから 擦れて血が出てしまったわ 」

「 なによ それくらい 王子をゲットするのなら
 
  足から 血が出るくらい我慢しなさい だらしない ! 」

「 いやよ じゃぁ お母様が履いてよ ! ぷんぷん 」

「 そうよ 冗談じゃないわ ! ぷりぷり 」

「 あたしが履いて どうするのさ !

  まぁ あたしも独身だから それでも構わないけどね

  年上女房もいいもんだよ 二回りくらい上だけどね いひひひ

  まだまだ 熟れた女の魅力が グシャグシャ

  ドバドバ ビタボタと 溢れ出しているからねぇ 」


「 そこのマダム 見るからに その足 はいりませんよ 

  靴の倍以上に 足がでかそうですなぁ 」

「 一応 あたしだって独身の女なのさ

  試したっていいだろ ~! 」

「 あぁ 全然 無理 無理 !

  壊れちゃいますよ ~! やめてください !

  ほんとに あんた バカの大足ですなぁ 」

  お城の人は 呆れています


「 壊したら元も子もない しょうがないねぇ 

  おまえたち さぁ ほれほれ もう一回頑張って ! 」

  なんなら 靴の形に合わせて 包丁で 

  肉を 削いでやろうか ~~? 」

「 そいだ肉はどうなるの ? 」

「 後で のりで付けてやるよ 」

「 バカな事 言わないでよ ! 」

「 この際 何でもありだよ ! 」

  しかし どう頑張ってもガラスのハイヒールに足は入りません。


「 残念ながら、この家には

  昨日の娘さんは いないようですな 」

  そう言って ガラスの靴を 綺麗に拭きながら  

  お城の使いが 安堵して帰ろうとした時

  作業服姿の娘が 現れて言いました


「 私も 履いてみて いいでしょうか ? 」

  それを聞いた継母と二人の義姉たちは 大笑いしました

「 ぶわっはははは ! 

  何を おバカな事を言ってるのさ 

  身の程知らずも いいところだ ~~! 」


「 そうよ あたしたちにも入らないのにぃぃ 

  舐めた口きくと承知しねぇえぞ

  ごらぁぁぁあああ ~~! 」


「 このガキは 痛い目にあわせないと

  分からないのかなぁあ ? 

  お前なんかにぃ って 、、、

  あぁぁあああ ~~っ ! 」


  差し出された ガラスのハイヒールを

  娘が履いてみると ピッタリでした


「 まっ まさか お前 昨夜の舞踏会で 

  おっ 王子様と

  踊っていた娘じゃないだろうね ねぇ ? 」


「 、、、、はい 私です 」

「 なぁにぃぃぃいい ~~~!! 」

「 お前 あたしらに無断で勝手に出かけたなんて 

  ふざけやがって! 許さないよ ~~! 」

「 夜遊びする悪い娘は フルボッコにして 

  お外に出られない 二目と見られない顔にしてやるわさ

  さぁ 顔をだしな ! こうしてくれるわ ! 」  


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  継母は 激高して 娘を殴ろうと

  暖炉の 灰にまみれた 

  鉄製の太い 火かき棒を振り上げました


「 き ゃ ぁ ぁ ~ ! 」



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