ふと アリスは空を仰ぎました。
すると宙に変なものが 浮いているのに気がつきました。
「 おぉっ ! UFOか ?
ファンタジィーから SFに 大胆にチェンジか ? 」
最初は ぼやけていて判別がでませんでしたが、
しばらくすると、それがニタリニタリと笑う
チェシャ猫の顔だとわかりました。
「 あらら、なんだ、チェシャ猫じゃないの 」
「 やぁ どうだい ?
まだ 君の首は つながっているようだね 」
「 おかげさまでね、
でも一度 首切りを宣告されたわ 」
「 ふ~ん よく生き延びてるねぇ 」
「 王様が とりなしてくれたの 」
「 それは良かったね、
『 首がつながった 』 ということだね 」
「 そして クロケーのゲームに誘われたの 」
「 女王のゲームは 命がけだよね ふふふ ♪ 」
アリスはフラミンゴを地面において、
試合の様子を話しました。
「 みんな、血の気が多いのかケンカばかりで、
やかましいったらありゃしないわ 」
「 はっは 」
「 ぜ~んぜん、ルールに則ってゲームしてないと思うわ 」
「 ひっひ 」
「 ルールが テキトーなのかもね、
ここの ローカル・ルールなのかしら ? 」
と アリスは、愚痴りました。
「 ふっふ 」
「 それとも、誰もルールを守ってないのか どちらだわ 」
「 へっへ 」
「 それに、道具が生きてる動物だったりするから、
も~う,めんどくさいのよ 」
「 ほっほ 」
「 あたしが 玉をくぐらせるはずの兵士のアーチは、
勝手にサボって 定位置を離れ、
クロケー場の端の方を行ったり来たりしていてるし 」
「 ぷっぷ 」
「 それに あたしの玉のアナグマったら、
女王様の玉のアナグマに当てる前に
敵前逃走しちゃったんだから ! 」
「 君は 女王様を 気にいったかい ? 」
と チェシャ猫は聞きました。
「 う~ん それは 、、、 」
と アリス。
気づくと、女王が すぐ後ろで聞き耳を立てていました。
「 それは 、、、
もう 女王様は クロケーが お上手で、
ぶっちぎりでゲームに勝つに決まってるわ、
試合を最後まで やらなくてもいいくらい 圧倒的よ 」
と 慌ててアリスは おべんちゃらを言いました。
「 むふふふ ♪ 」
女王は、満足そうに微笑んで その場を離れていきました。
「 結構単純で、御し易いかもしれないわねぇ 」
と アリスは チェシャ猫に言いました。
「 誰ぞと 話をしておるのかな ? 」
と 今度は王が アリスの側に寄り尋ねます。
「 あら 王様、
あたし、チェシャ猫と お話をしていたところです 」
と アリス。
「 首だけが空中に浮かんでおるのう、
この猫も 妃に 首を刎ねられたのかのう ?
でも、落ちてこないのう ? 」
王はチェシャ猫の頭を とても不思議そうに眺めました。
「 ご紹介いたしますわ、
彼は、あたしのお友だちの チェシャ猫なんですよ 」
「 どうも 不思議な猫じゃのう、
しかし、強く望むのであれば、
我が手に接吻する栄誉を与えてつかわす、
苦しゅうないぞ、
ブチッと して良いのじゃ うほほほほほ ♪ 」
と 王が言いました。
「 けっこう 」 と チェシャ猫。
「 何じゃ ? 」
「 結構 毛たらけ 」
「 何じゃ ? 」
「 結構 毛だらけ猫 灰だらけ 」
「 何じゃ ? 」
「 結構毛だらけ 猫灰だらけ おしりの周りは◆▽だらけ 」
「 うぅ~ん ?
この猫は 何を申しておるのじゃ ? 」
「 えぇっと チェシャ猫は 猫の分際では恐れ多くてと、
どうやら 遠慮しているようです 」
「 その割には 大口を開けて、
たくさんの歯を むき出しにして、
ニタリ ニタリと 笑っておるのう、
まるで 人を小馬鹿にしているかのようじゃ 」
「 チェシャ猫は いつもそうなんですよ 」
「 そう言われても初対面じゃ、気になるのう、
コラ、わしを そんな卑しむような目で見るな ! 」
と王は、アリスの後ろに隠れてしまいました。
「 猫だって 王様を見るくらいはできる。
好奇心は 猫も殺す。とか、
どっかで そんな事を読んだことがあります、
どんな本だか忘れましたが 」
と アリス。
「 だが 王を笑うのはイカンぞ、
一応 第一権力者じゃ、
王が笑われておると、国の権威が失墜してしまうのじゃ。
残虐な首切りテロリストが跋扈するかも知れぬ。
どこかの国のように クーデターで政権が変わり、
他国へ併合されてしまうやも知れないのだ、
明日は我が身だ、それ故、チェシャ猫は、
ここにいること まかりならん ! 」
と 王。
でも チェシャ猫は意に介さず、
そのままニタニタ笑って 王様を眺めています。
女王が 通りかかりました。
「 妃よ ! あの猫を どうにかしてもらえんかのう ? 」
女王の 問題解決の手段は 一つです。
「 首を ちょん切れ ~! 」
女王は チェシャ猫を見もせずに叫びました。
「 あのぅ チェシャ猫は今の状態で 顔だけで
首を刎ねる事は 出来ないと思うんですけど 」
と アリス。
「 構うものか ~! 首を ちょん切れ ~!! 」
と 女王。
「 まぁ とりあえず よきにはからえ 」
と 王は、テキト~に言うだけなのでした。
続 く