偽作 不思議の国のアリス 12 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


 < ピタピタ >

  遠くの方から 小さな足音が聞こえてきました。

  アリスは顔を上げました。

  ネズミの気が変わって、話の続きをしようと

  戻ってきたのかな、と 思ったのです。



「 ありゃ ! 」


  ネズミではありませんでした。

  例の あの白ウサギが 戻って来たのです。

  あたりを見まわしています、何か探しているようです。


「 公爵夫人が、公爵夫人がぁあ ! 

  かわいい 前足 ! 毛皮やら ヒゲやら ! 

  フェレットが フェレットであるくらい 確実に、

  処刑されちゃうよぉおお ~ ! 

  どこで 落としたのかなあ ? 」


  アリスは ウサギが探しているのは

  扇子と 白い子ヤギ皮の手袋だと気づきました、


「 扇子は捨てたけど、手袋は はめているから、

  返さなくちゃ、っと 

  あれぇ ? ないわ !

  泳いだからなのか 脱げて失くしちゃったわ 」


  涙の洪水で 何もかも どこかに流されたようで、

  長い廊下も、ガラスのテーブルや

  きれいな花壇や噴水がある庭に通じる小さな扉も、

  まるで芝居の場面転換のため 

  舞台装置の書割を撤去してしまったように

  すべて消えていました。


「 なんじゃ そりゃ ! どういうことなの !

  今まで あたし 散々苦労してきたのにぃ~、

  ほんとに それでいいのかぁぁああ ~ ? 」


  ウサギがアリスに気がついて 怒った声で呼びかけました。


「 おぃ ! メリーアン、

  お前は、こんなとこで何してるんだ !?

  今すぐに家に帰って、手袋と扇子を持ってこ~い ! 」


  アリスは 怒鳴られたのでので、思わずウサギの指さす方に

「 メリーアンじゃないもん 人違いだってばぁぁ ~ 」

  と言いながら走りだしました。


「 きっとメイドさんと 間違えたのね

  あたしが ウサギの個体を判別しにくいように、

  ウサギも 人間の個体を判別しにくいんだわ きっと 」

  と アリスは考えました。


「 でも 成り行き上 扇子と手袋をとってこないとね、

  もともと あたしにも責任の一端があるのよね、 

  でも見つけられるかしら ? 」


  アリスは 小さい家の前にやって来ました。
  
  その家には 「 白ウサギ 」 と表札がかかっていました。

 
  ノックしましたが、反応がないで家の中に入りました

  一回は居間なのでした、手袋と扇子はありません

  見まわすと階段がありました、アリスは二階への階段を急ぎました。

「 とりあえず 扇子と手袋を探さなくちゃ 

  でも 変なのぉ、あたしがウサギのメイドの代わりをしてるなんて

  メイド風の服を着ているせいもあるのかしら ?

  あたし キュ~トでキャワユイから 

  ジャポ~ンのアキバのメイド・カフェでバイトできるかもね、

  オタクどもに大受けするかも、うふうふうふふふ ♪ 」

  と アリスは つぶやきました。

  とかく女の子は 自己認識が甘く 自惚れが強く、 

  妄想が眼を曇らせ 現実が見えないことが ままあるのです。


「 つぎは ダイナに お使いさせられることもあるかもね 」

  アリスは 妄像をはじめました。


「『 アリス ! 私は 午後のお散歩に行くから 

  ネズミが キッチンでイタズラしないように

  よ~く 見張っておきなさい いいわね ! 』

『 はい 分かりました ダイナ様 行ってらっしゃ~い 』

  でも、ダイナが そんなふうに 人を あごで使いだしたら、

『 この 無駄飯食いの 横柄で尊大な 役立たずの猫め ! 』 といわれ

  きっと お家を追い出されちゃうわね うふふ ♪ 」


  二階の部屋に たどりつきました。窓ぎわにテーブルがあり、

  扇子と子ヤギ皮の手袋が置いてありました。

  扇子に手袋を持ち上げ、部屋を出ようとしたとき、

  鏡の近くにあった 小瓶が目にとまりました。

  こんどは 「 飲んで 」 とは書いてなかったのですが、

  勝手に断りなく コルクのキャップをとって飲もうとしました。


「 毎回、何か 食べたり 飲んだりすると、

  不思議な事が起きるのよねぇ うふふ ♪ 」


  それがトラブルを引き起こすのですが、

  学習能力に欠け 懲りないアリスでした。


「 だから、小瓶の中身を飲むとどうなるか、

  ためしてみようっと、また巨大化するかしら ? 

  こんなミニサイズでいるのは、もう あきちゃったわ 」


    < ゴ ク リ >

  

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