偽作 不思議の国のアリス 10 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい






  みんなは ドードーの周りに郡がって、

  はぁはぁ ぜぃぜぃ しながら、聞きました。


「 それで、だれが 優勝 ? 」

   この質問は、ドードーとしても

  熟考しないと 答えられませんでした。

  ドードーは 言いました。

「 う~ん み~んな 勝ったんだよ たぶん 」


「 じゃぁ 全員が 賞品をもらわなきゃな 」


「 賞品 賞品 ♪ 」


「 でも、誰が賞品を くれるのさ ? 」 

  みんなが いっせいに聞きました。

「 そりゃ この子に決まってるだろう

  賞品の概念は ヒトが作ったものだ、

  我々 動物じゃない。

  ヒトは強欲だからな 何かと貰いたがるのだ、

  愚かにも 身の程をわきまえずにな 」 

  とドードーは、アリスを指さしました。

  すると みんながアリスの周りに群がって、
 
  口々に 叫びます。

「 賞品 ! 賞品 ! 」

  アリスは どうしたらいいかわからず 困惑しました。


「 賞品 ! 賞品 ! 」


「 うるさい連中ね あんたらも強欲よ ! 」


  アリスが ポケットに手をいれると、

「 おっ おやつが あったわ 」

  食べ残しのキャンデーの箱が出てきました。


「 皆さんに 賞品を 授与します ♪ 」


  そしてキャンディを 賞品として渡してまわりました。

  ちょうど みんなに 一つずつ渡りました。


「 この子だって、賞品をもらわないと不公平だぞ 」

  と ネズミが言いました。


「 もっ もちろんだ 」

  ドードーは 動揺しました、

  アリスから キャンディを貰うことを考えていても、 

  彼女に何か与えるという 発想がなかったからです。

  ドードーは 何かないかと周りを見渡しましたが、

  特に目ぼしいものがないので、

「 ねぇ お嬢さんのポケットには 他に何か入っていないかい ? 」 

  と アリスに聞きました。

「 えぇっとね 指ぬき 一つだけ 」

  アリスは ポケットを さぐりながら言いました、

  指輪の形をした 裁縫道具です 。


「 では それを渡しなさい 」 とドードー。

  アリスから その指ぬきを受け取り、

「 これから 結びぬきの授与式を

  ニギニギしく 執り行うこととする ~! 」

  ドードーが 宣言しました。

「 がやがや 」 「 どやどや 」

  動物たちは、またアリスの周りに郡がりました。

  そして うやうやしく ドードーはアリスに授与しました。


「 我ら一同、この 指ぬきを

  貴殿の功績に対しての褒章として

  お受け取りいただきたく、

  心から御願い奉るものでありまするぅ 」 


  アリスは 何を言っているのか分からなかったのですが、


「 、、、、 では ありがたく お受けいたしますわ 」

  
  おじぎをして、なるべく真面目なように、

  差し出した指ぬきを また受け取りました。


” 何なのかしら この茶番劇は 誰得なの ? ”


   アリスは、一連の行為が、

「 バカバカしく 下らないわ 」 とは思ったのですが、

  みんなが 真剣な様子だったので、

  笑うわけにもいきませんでした。

  どこの国でも 記念品授与の行事が行われることを知っているからです。

  コンサートで 授与された勲章を取り出し

  ふざけてオークションの真似をした ある有名歌手が非難されて

  形だけの謝罪をしたということもあったのでした。
  
  シャレの分からない権威主義者たちに 

  つまらない批判されたり 嫌がらせを受けるのも癪なので

  アリスは一応 空気を読んだのです。

  そして、ドードーによる 指ぬきの授与式が終わると、

  みんな歓声をあげました。

「 おめでとう 」 「 おめでとう 」

 
  アリスは思います、

「 おめでたいのは あんたたちよ、

  何が有難いのかわからないわ 」 と。

  
   次は、皆が キャンデーを食べる祝賀会です。

  これは 騒がしい混乱を起こしました

  大きな鳥は、

「 こんな 小さなキャンデーでは 

  満足に 心ゆくまで味わえないじゃないか ! 」

  と 文句を言うし、

  小さな鳥は 喉にキャンデーを詰まらせて、

「 うげげげ ~ うげぇええ ! 」

  目を白黒させて 羽をばたつかせて大騒ぎです。

  他のものに 背中を叩いてもらっていました。


  騒ぎが収まると、ヒマを持て余したみんなは 車座になって、

  ネズミに 何かもっと話をしてくれと頼みました。


「 そう言えば ご自分の話を してくれるって言ってましたね、

『 ネ□ 』 や 『 イX 』 のとかが

  何故 嫌いなのか聞きたいわ 」

  アリスは 言いました。


「 オイラの身の上話は、長くて悲しいお話なのだ 」

  とネズミは しっぽを振りながら ため息をつきました。

「 なるほど、なが~い お 話 ですか 」

  と アリスはネズミの 尾 を見ました、

「 猫や犬とは ずいぶん違い グロイのね

  好きになれそうもないわ 」 と思いました。


「 でも、どういうところが悲しいんですかぁ ? 」

  と アリス。


「 実は オイラ 、、、 」




     続 く