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みんなは ドードーの周りに郡がって、
はぁはぁ ぜぃぜぃ しながら、聞きました。
「 それで、だれが 優勝 ? 」
この質問は、ドードーとしても
熟考しないと 答えられませんでした。
ドードーは 言いました。
「 う~ん み~んな 勝ったんだよ たぶん 」
「 じゃぁ 全員が 賞品をもらわなきゃな 」
「 賞品 賞品 ♪ 」
「 でも、誰が賞品を くれるのさ ? 」
みんなが いっせいに聞きました。
「 そりゃ この子に決まってるだろう
賞品の概念は ヒトが作ったものだ、
我々 動物じゃない。
ヒトは強欲だからな 何かと貰いたがるのだ、
愚かにも 身の程をわきまえずにな 」
とドードーは、アリスを指さしました。
すると みんながアリスの周りに群がって、
口々に 叫びます。
「 賞品 ! 賞品 ! 」
アリスは どうしたらいいかわからず 困惑しました。
「 賞品 ! 賞品 ! 」
「 うるさい連中ね あんたらも強欲よ ! 」
アリスが ポケットに手をいれると、
「 おっ おやつが あったわ 」
食べ残しのキャンデーの箱が出てきました。
「 皆さんに 賞品を 授与します ♪ 」
そしてキャンディを 賞品として渡してまわりました。
ちょうど みんなに 一つずつ渡りました。
「 この子だって、賞品をもらわないと不公平だぞ 」
と ネズミが言いました。
「 もっ もちろんだ 」
ドードーは 動揺しました、
アリスから キャンディを貰うことを考えていても、
彼女に何か与えるという 発想がなかったからです。
ドードーは 何かないかと周りを見渡しましたが、
特に目ぼしいものがないので、
「 ねぇ お嬢さんのポケットには 他に何か入っていないかい ? 」
と アリスに聞きました。
「 えぇっとね 指ぬき 一つだけ 」
アリスは ポケットを さぐりながら言いました、
指輪の形をした 裁縫道具です 。
「 では それを渡しなさい 」 とドードー。
アリスから その指ぬきを受け取り、
「 これから 結びぬきの授与式を
ニギニギしく 執り行うこととする ~! 」
ドードーが 宣言しました。
「 がやがや 」 「 どやどや 」
動物たちは、またアリスの周りに郡がりました。
そして うやうやしく ドードーはアリスに授与しました。
「 我ら一同、この 指ぬきを
貴殿の功績に対しての褒章として
お受け取りいただきたく、
心から御願い奉るものでありまするぅ 」
アリスは 何を言っているのか分からなかったのですが、
「 、、、、 では ありがたく お受けいたしますわ 」
おじぎをして、なるべく真面目なように、
差し出した指ぬきを また受け取りました。
” 何なのかしら この茶番劇は 誰得なの ? ”
アリスは、一連の行為が、
「 バカバカしく 下らないわ 」 とは思ったのですが、
みんなが 真剣な様子だったので、
笑うわけにもいきませんでした。
どこの国でも 記念品授与の行事が行われることを知っているからです。
コンサートで 授与された勲章を取り出し
ふざけてオークションの真似をした ある有名歌手が非難されて
形だけの謝罪をしたということもあったのでした。
シャレの分からない権威主義者たちに
つまらない批判されたり 嫌がらせを受けるのも癪なので
アリスは一応 空気を読んだのです。
そして、ドードーによる 指ぬきの授与式が終わると、
みんな歓声をあげました。
「 おめでとう 」 「 おめでとう 」
アリスは思います、
「 おめでたいのは あんたたちよ、
何が有難いのかわからないわ 」 と。
次は、皆が キャンデーを食べる祝賀会です。
これは 騒がしい混乱を起こしました
大きな鳥は、
「 こんな 小さなキャンデーでは
満足に 心ゆくまで味わえないじゃないか ! 」
と 文句を言うし、
小さな鳥は 喉にキャンデーを詰まらせて、
「 うげげげ ~ うげぇええ ! 」
目を白黒させて 羽をばたつかせて大騒ぎです。
他のものに 背中を叩いてもらっていました。
騒ぎが収まると、ヒマを持て余したみんなは 車座になって、
ネズミに 何かもっと話をしてくれと頼みました。
「 そう言えば ご自分の話を してくれるって言ってましたね、
『 ネ□ 』 や 『 イX 』 のとかが
何故 嫌いなのか聞きたいわ 」
アリスは 言いました。
「 オイラの身の上話は、長くて悲しいお話なのだ 」
とネズミは しっぽを振りながら ため息をつきました。
「 なるほど、なが~い お 話 ですか 」
と アリスはネズミの 尾 を見ました、
「 猫や犬とは ずいぶん違い グロイのね
好きになれそうもないわ 」 と思いました。
「 でも、どういうところが悲しいんですかぁ ? 」
と アリス。
「 実は オイラ 、、、 」
続 く