偽作 最後の一葉 1 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい





   

      ” 蔦の葉が 全部 散ってしまった時

         きっと 私の命は 尽きるのだわ  ”


              窓の外を 見つめ

         ジョンジーは スーに 語りかけた 


            天気が 悪くなっている

       もう ほとんど 残っていない 蔦の葉は

               今夜の 風雨で 

           おそらく 全て 散ってしまう

         ジョンジーに とって 蔦の 葉は

           自分自身の 命そのものに

              思えるのだろうか


            だが やがて 散る葉を 

              自分になぞらえても

             仕方の無い事 なのに 


         もし 蔦の葉が 散ってしまったら

        彼女は どうなって しまうのだろう

              彼女は 生きることに 

             絶望しているのだろうか


              日々 衰弱していく

          私は どうしたら いいのだろう

          私の はげます言葉は 彼女には

               もはや 届かない

             スーは 途方に暮れた
        
         枯葉は 一枚 一枚と 散っていった

                最後の一葉は





















                散らなかった



           ” 何かが、あの最後の葉を

               散らないようにして

            何て悪いことを思っていたか 

             私に 教えてくれたのね、 

               死にたいと 願うのは

                  罪なんだわ ”






         ジョンジーは 奇蹟的に 快方に 向った

          一人の 老画家の 命と 引き換えに

               彼の描いた 一枚の 

              蔦の 葉の 絵によって






          健康を 回復した ジョンジーは 

                 思い 悩む

             自分の 妄言の ために 

               人一人 亡くなった

             死ぬべき 私の かわりに 

                老画家の 命を

             奪う事になってしまった

                深い 悲しみと 

             後悔の 念に 苛まれた






           友人の スーも 同様だった

             ジョンジーが 蔦の葉と 

                 自分の 命を

             等しく 思っている話を 

                 老画家にした



                そして それを 

           愚かだとでも言う 口ぶりの彼を  

            口汚く 罵ってしまったからだ





            老画家は 雨の降る夜更けに

            壁に 蔦の葉の絵を 描いた

           冷たい雨に打たれた 老画家は
    
               肺炎で 亡くなった



            彼を 死に追いやったのは 

              私にも 責任が ある

        いや 私が 引き金を 引いてしまった



             生きていても 死ぬより 

                辛い事が ある

               此の世は 幸せと

              不幸の 背中合わせ

             決して どちらかだけで 

          成り立っては いないのだ と

                今 思い 至る




         壁に描かれた 1枚の葉の絵を 見る

           やがて 訪れる 季節を考える 

           早く 冬に なれば いいのに

             私は もう 吹雪の中に 

            身を 置いているのだから

                いっそ 心まで

              凍り付いて しまえば 
 
              楽に なれるの かも 

                知 れ な い 






                   続 く




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