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次の日 朝から お城の使いが、
手がかりの ガラスのハイヒールに
ぴったり合う足の女性を探すために 動き出しました
「 朝から あちこちの家を訪ね歩いて
もう うんざり !
疲れてしまったよ
あぁぁ 顔が分かっていたなら
似顔絵の 立て看板でも立てられるのに
一人一人に靴を履かせて探すなんて めんどくさいなぁ
そもそも名前とか 住所とか聞いてなくて ど~すんの ?
王子様はトロくて こまるよ
この時代に 自由恋愛ってどうなのかなぁ ?
もし 王子様が民間から お妃を娶ったら
きっと宮廷内の うるさがた達の
陰湿なイジメに遭いそうだよなぁ
普通の政略結婚なら 国際間の政治力学が働いて
安泰だと思うよ
なんだか この国の将来が心配だなぁ 」
何件も 何件も あちこちの家を駈けずり回り
やがて お城の使いは 娘の家にも やって来ました
「 ごめんください ~ ! 」
「 だ~れ~ ?!
食い過ぎ 飲み過ぎで 動くのいやだわ ~ 」
「 あたしも いやよ ! 」
「 ぐえっぷ ~ ! 」
継母と義姉たちは 膨れた腹をさすりながら言いました
「 ごめんください ! お城から来ました ! 」
「 なんだよ ? あるだけ食ったからって
請求書でも持ってきたんじゃぁ ないだろうね ? 」
「 ちがいま~す ! 」
「 じゃぁ お城の 銀食器くすねたことかしら ? 」
「 シー ! ばか ! 聞こえたらどうするんだよ ! 」
「 お妃候補の お嬢様を探しています ~! 」
「 なっ 何だって ~!
どうぞ おっ おっ お入りください ~♪ 」
継母は喜びました もしも玉の輿に乗れば
一打逆転 権力中枢に喰い込み 一生安泰です
「 さあ娘たち このガラスの靴に足が入れば
あなたたちは あの間抜けなトロイ王子の お嫁さんよ
どうやら 靴しか手がかりがないらしいからね
履けたら しらばっくれて輿入れさぁ ぐぇへへへ ♪ 」
継母は義姉たちに 耳打ちしました
「 はい お母様 ♪ 」
「 無理やりでも 何でも 足を突っ込みなさい ! 」
二人の義姉たちは 小さなガラスのハイヒールに
足を ギュウギュウと押し込みました
「 私も入らないわ こんな靴に入るなんて マヌケの小足よ 」
「 お母様 わたし足がカサカサだから 擦れて血が出てしまったわ 」
「 なによ それくらい 王子をゲットするのなら
足から 血が出るくらい我慢しなさい だらしない ! 」
「 いやよ じゃぁ お母様が履いてよ ! ぷんぷん 」
「 そうよ 冗談じゃないわ ! ぷりぷり 」
「 あたしが履いて どうするのさ !
まぁ あたしも独身だから それでも構わないけどね
年上女房も いいもんだよ 二回りくらい上だけどね いひひひ
まだまだ 熟れた女の魅力が ドバドバと溢れ出しているからねぇ 」
「 そこのマダム 見るからに その足 はいりませんよ
靴の倍以上に 足が でかそうですなぁ 」
「 一応 あたしだって 独身の女なのさ 試したっていいだろ ~! 」
「 あぁ 全然 無理 無理 壊れちゃいますよ ~!
やめてください !
ほんとに あんた バカの大足ですなぁ 」
お城の人は 呆れています
「 壊したら 元も子もない しょうがないねぇ
おまえたち さぁ ほれほれ もう一回 頑張って ! 」
なんなら 靴の形に合わせて 包丁で
肉を 削いでやろうか ~~? 」
しかし どう頑張っても ガラスのハイヒールに 足は入りません。
「 残念ながら、この家には 昨日の娘さんは いないようですな 」
そう言って ガラスの靴を 綺麗に拭きながら
お城の使いが 安堵して帰ろうとした時
作業服姿の娘が 現れて言いました
「 私も 履いてみて いいでしょうか ? 」
それを聞いた継母と二人の義姉たちは 大笑いしました
「 ぶわっはははは !
何を おバカな事を言ってるのさ
身の程知らずも いいところだ ~~! 」
「 そうよ あたしたちにも 入らないのにぃぃ
舐めた口きくと 承知しねぇえぞ ごらぁぁぁあああ ~~! 」
「 このガキは 痛い目に あわせないと分からないのかなぁあ ?
お前なんかにぃ って 、、、
あぁぁあああ ~~っ ! 」
差し出された ガラスのハイヒールを
娘が履いてみると ピッタリでした
「 まっ まさか お前 昨夜の舞踏会で
おっ 王子様と踊っていた娘じゃないだろうね ねぇ ? 」
「 、、、、はい 私です 」
「 なぁにぃぃぃいい ~~~!! 」
「 お前 あたしらに無断で勝手に出かけたなんて
ふざけやがって! 許さないよ ~~! 」
「 夜遊びする悪い娘は フルボッコにして
お外に出られない 二目と見られない顔にしてやるわさ
さぁ 顔をだしな ! こうしてくれるわ ! 」
継母は 激高して 娘を殴ろうと
暖炉の 灰にまみれた
鉄製の太い 火かき棒を振り上げました
「 き ゃ ぁ ぁ ~ ! 」
続 く