偽作 シンデレラ 4 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



「 泣くのは おやめなさい お嬢さん 」

  物置小屋の入り口の扉を開けて

  娘の 目の前に 一人の女性が現れました


「 だ れ ?  ですか ? 」

「 誰であるかは 詮索しなくてもいいのです 

  とても話が 長く ややっこしくなりますからね 」

「 でも 私は 見ず知らずの人が 信じられなくなって 、、、、 」

「 若いのに なんて可哀想なこと 、、、

  私は あなたの事を 密かに見ていたのです

  酷い仕打ちを 受けながらも

  あなたは いつも仕事を 頑張る とても良い子ですね

  私が 仮面舞踏会へ 行かせてあげましょう 」


「 えっ ? 本当ですか ? 」

「 ええ、本当ですとも 私が 全て用意してあります 」 

「 でも それって もしかして 地下アイドル目当ての人達の

  変な 舞踏会じゃありませんか ? 」 

「 それは オタ芸とかいって 変な踊りをする人達の事かしら ? 」

「 そこで わたし 変態が喜ぶような
 
  コスチューム・プレイさせられてしまうとか ?

  あなたは 変な芸能プロダクションの

  スカウトなのでは ありませんか ? 」 


「 いいえ 私は そんなスカウトでもないし 

  本当に お城で開かれる仮面舞踏会ですよ 」


「 でも なぜ わたしに ? 信じられないわ ? 」


「 人間不信になってしまったのね 可哀想に 

  あなたへのご褒美にですよ 行きたくないのですか ? 」


「 いえ 行きたいです 行かせてください 」


「 では 支度を始めましょう 」


  彼女は 娘の汚れた作業着を  

  シンプルながら 輝く様な 

  純白の美しいドレスに 着せ替えさせました

  髪をとかし 素早くセットし 

  品の良いティアラを飾り 首飾りをつけました


「 まぁ なんて綺麗で 透き通るような白い肌なのかしら

  目鼻立ちも整っていて 軽いナチュラルメイクで充分ね 」

 
  化粧をほどこして 芳しい薔薇の香水をふりかけ

  手が荒れてしまっていたので

  パーティ用長手袋も着用させました


「 まるで さなぎから美しい蝶に 変わったようだわ 」

  思った以上の出来栄えね 

  私の時の 良いシミュレーションにもなったわ 」


「 えっ ? 何のことでしょう ? 」

「 それは まぁいいから さあ 外に出てごらん 」


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  娘が庭に出てみると そこにはカボチャを模した 

  ファンシーな馬車が待っていました


「 御機嫌よう お嬢様 」


  ふとっちょの 馬車の御手が挨拶します

  他に もう一人 精悍な男性もいました


「 もうすぐハロウィーンだから

  カボチャの馬車よ 気に入ってくれるかしら ?

  さあ お乗りなさい おっと その前に 」

  その女性は 箱を取り出しました 


「 これは 何でしょう? 」

  娘は聞きました


「 うふふ その汚いサンダルで 行くわけにはいかないしねぇ 」

  取り出した保温用容器の蓋を開けると そこには 

  まばゆく光る素敵なガラスの ハイヒールがありました

  クリスタルカットされたヒールは 七色に輝いています


「 この靴はガラスと 内側は特殊透明樹脂で出来ています

  予め 熱処理を施してあります

  しばらく履いていると 足の形ぴったりに形成されます

  踊りの途中で 脱げてはいけないからね 

  さぁ 履いてごらん まだ ちょっと熱いかも 」


「 ありがとうございます 

  もしかして あなたは 

  善い魔法使いなのですか ? 」 

「 魔法使い ? なぜ そう思うのかしら ? 」

「 だって普通は ありえないシチューエーションですもの

  それとも これは夢なのかしら ? 」
 

「 さあ どうでしょう ? 

  まぁ それでもいいわ うふふっっ ♪

  では たっぷり夢のような時間を楽しんでおいで

  でも 日の変わる夜中の12時までに

  必ず帰ってきてください 約束を守れますか ? 」


「 はい でもそれは なぜでしょう ? 」

「 約束は守れば良いのです それだけを忘れず行きなさい 」

「 はい ありがとうございます では行ってきます 」

「 これが招待状です 

  これがないと入城できないから それと仮面と 」



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「 急ぎましょう 仮面舞踏会が 始まりますよ 」

  もう一人いた 精悍な男性が 娘に 声をかけました


「 さぁ お乗りください お嬢様 」

  太っちょの御者が 声をかけました

  娘は 馬車に 乗り込みました


「 もしかすると これは夢なのかしら ?

  いいえ夢でもいいわ 夢ならばどうぞ覚めないで 」


  カボチャの馬車は 娘を乗せてお城に向かいました



         続 く