「 おばぁちゃま おしばい みたわ 」
「 あら~ 千秋楽に よく来てくれたねぇ 」
「 えへへ ♪ 」
「 ねぇぇ 今度の 偽作ホワイトスノー姫は どうだった ? 」
「 おうじさまと ホワイトスノーひめの キスが なかったね 」
「 そうね 脚本書く人が 性格がひねくれていて
そうとう 偏屈 変人だから
原作と だいぶ変えているのよ
世の中 そんなに甘くない
愚かな学習能力のない
何度も騙されて 死んでしまった姫が
王子様に キスされただけで 生きかえって
何とかなって ハッピーになる訳ない
ジェンダーフリーの精神にも反する ってね 」
「 おばあちゃま こんどの おはなし
でばん すくなかったね 」
「 しかたがないのよ お話によって
配役がちがうからねぇ 」
「 あたち おばあちゃまが
かつやくするの たのちみなのにぃ 」
「 でも 物語の重要なアイテムの
毒りんごを 持っていく大切な役なのよ 」
「 でも わるい ひとでしょう ?
いつもは もりの おばぁちゃま いいひとよ 」
「 そうね でも 悪役も いなくては お話が進まないのよ 」
「 ふ~ん 」
「 でも 若い頃は 主役のお姫様を 演じたこともあったのよ 」
「 へ~え すごい ~ ! 」
「 ホワイトスノー姫や 半魚人姫 灰かぶり姫 眠れる森の醜女 、、、、 」
「 あたちも おひめさま やりた~い 」
「 そうねぇ おまえは 可愛いから
きっと お姫様役が 良く似合うだろうねぇ 」
「 おうひさまは こわくて いじわる ~ 」
「 あの人も 若い頃は ばりばりと
主役を はっていたのよ
でも歳をとったので 義母役になったの
元々は とっても綺麗だったのよ 」
「 へ ~ え 」
「 あの人も 振り込め詐欺や 和牛商法詐欺や
未公開株詐欺やらで 全財産を失くしたり
度重なる離婚で 実生活で苦労したから
きっと 人生の機微や 辛酸を味わって
演技の幅が広がっているのよ
意地悪な役が 板についていたわ
自分自身が 本物のサディストで
レイシストで 性格破綻者みたいだったわねぇ
鬼気迫る 演技だったわね 助演女優賞ものね 」
「 ふ~ん でも あたち きら~い !
めじりに こじわも あるし~ 」
「 こら ~ !
小皺が 何だって ~!
隠れて聞いていたんだよ !
てっきり 私の 美貌と演技の素晴らしさを
褒めたたえてるのかと思ったら
なんだよ ! 私への批判は 許さないよ !
ガキだって 容赦しないよ ~!
毒りんご 食わしちゃる ~!
がるるるぅぅ ~! 」
「 きゃぁ ~! でた ~! さでぃすとぉ ~! 」
「 わたくしめも いますよ ~!
かわいい お子ちゃまも大好きなので
鏡の裏から お嬢ちゃんの姿を
舐めるように 覗いてましたよ ~ うひひひひ ♪ 」
「 ぎゃぁぁ ~! へんた~い !
ろりこん きも~い ! 」
おちまい