世界迷作劇場 偽作 三羽の鴉 10 最終話 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



「 おやぁ、まだ しぶとく生きているのかいぃ ? 

  この薄汚いスパイめ、もういい年なんだから 

  私が、あの世とやらに送ってやるよ 、

  これが、地獄行きの片道通行手形さ ! 

  オッホホッホホ ~! 」



  マリスボマーは、老婆めがけ、 

  爆弾を 大きく振りかぶりました。






「 危 な い ~ !  お ば ぁ さ ~ ん ~ ! 」




  ショールが 叫びました 。




















  その時、老婆が 口笛を吹きました。



 < ピィ~ィィィイイ ~! >




「 覚悟しな~ ! お~ほっっほほほほっ ! 」


  マリスボマーは、悪魔のような形相で

  爆弾を 投げつけようとした その瞬間。





<  バサ ッ ! バサ ッ ! バサ ッ ! >



  突然、黒い影が マリスボマーめがけ 飛びかかりました。


  





「 カァ ! 」「 カァ ! 」「 カァ ! 」







  黒い影は 老婆の飼い慣らしていた カラスたちでした。




< ツン ! > < ツクッ ツクッ ! > < ツン ! >




  三羽のカラスが 義母の顔や腕を狙い、

  鋭いくちばしで激しく突付きました。




「 何をしゃぁがる~、ごぅぉぉおおらぁああ ~ !

  このクソカラスども ~~ !

  美しい私を 突っくんじゃぁ無いよ !

  うわぁぁああ ~ ! 鼻がぁぁあ ~!

  目玉がぁぁあああああ ~~ !

  ぎゃあぁぁあああっ ~ ! 」



  火のついた爆弾が 義母マリスボマーの手から 

  ぽろりっと、こぼれ落ちました。




  カラスたちは、それを見ると素早く、その場から飛び去りました。




「 あぶな~い ! みんな~、地面に伏せるんだよ ~! 」


  老婆が叫びました。






  <<<  ズ ド ~~ ン !  >>>




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  転げ落ちた爆弾が、マリスボマーの 足元で爆発し、

  その衝撃が、マント内の沢山の爆弾を 誘爆しました。





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  <<<<  ゴ ォ ォ ォ オ オ オ ~~~~ ン ! >>>>













  地鳴りのような大音響と、衝撃波、爆風、

  巨大な火柱が 天空めがけ、高々と立上がりました。

























  やがて、辺り一面を覆っていた爆煙と土埃が薄れると、

  その場には、地面に大きな穴ができ、

  そして、マリスボマーの姿は 消え去っていました。














  
 「 やれやれ 人を呪わば 穴が、何とやら 、、、 」



   土埃の、もうもうと立ち上がる様を見ながら、

   老婆が うんざりしたように呟きました。



 「 ずいぶん派手に たくさん穴を開けたもんじゃわい ごほごほ ! 」















 「 ショールよ、すまなかった、

   長く連絡が取れなかった、

   父上にも心配させてしまっていた 」



 「 戦争が長引き 戦地から戻れぬため、

   頻繁に 手紙を出していたのだが、

   どうやら 敵との内通者によって、

   廃棄されてしまっていたようだ 」



 「 ショール、お前にも心配をかけてしまった、

   この森の老婆からも 話は聞いている 」

  
   オニキス。ジェット。オブシディアン。が言いました。



 「 わたしも、あの女の策略のために、

   仕方なく、あの森の家を出たのさ ごほほっ 」

   老婆が言いました。



 「 それで、家が無くなっていたのですね 」


   ショールは あの日の事を 思い出しました。




 「 そう、急に出城を建てるという話で、

   あの地から、無理やりに追い払われたのだよ。

   他国の鉱山技師が密かに送り込まれていた、

   マリス、ボマーが 企んでいた

   鉱山開発のためだったのだろう

   既に、すべての者を捕らえている。 」



 「 あの爆弾を 作るためだったのですね ? 」




 「 そう、破壊力は凄いものだ、

   自分をも、吹き飛ばしてしまったがね 

   まさか 身につけていたとは思わなかったよ 」




 「 、、、、、、、、、 」




 「 そして新しい住処に移ったら、

   赤ん坊を捨てに来た お城の召使を 偶然見つけて、

   わたしが その赤ん坊を引き取ったのさ 」



 「 子供達三人とも 召使に連れて行かれましたから  」



 「 命令されて、やむなくだったのだ、

   責めてはいかんよ、召使も良心の呵責があったのだろう、

   捨てることに悩んで困っていた。

   わたしが 引き取ると言ったら、おとなしく渡してくれた。 、

   それから 次の年、また次の年と、わたしの所に預けに来た、 

   自分の給金から 多額のミルク代も置いて行ったのさ 」


   老婆が 事の顛末を 話しました。
 


 「 今は、家の庭に色々作っているよ、 

   幼子を育てるには遊び場も必要だからね。

   砂場やブランコや滑り台もあるし、

   アスレチックジムも作った。

   情操教育に、ぬいぐるみも どっさりあるよ、うふふ ♪ 」



 「 子供達の育児と世話を、今まで、ありがとうございました 」

   ショールは、深々と頭を下げお礼を言いました。



 「 なんの、私には何人も子育て経験のある配下がいるからね。

   まぁ カラスたちも 通信の手伝いをしてくれたから、

   お前さんの子供達への心配も、幾分か少なくてすんだろう、

   召使は、本当の事は言えなかっただろうからねぇ  」

   


   城主バイロンは妻ショールが、

   カラスと遊んでいるという話に 納得がいきました。



 「 なるほど カラスを 通信手段に使っていたのだね 」


 「 はい、お婆さんに子供達の様子を

   文書で知らせてもらっていました 」


   ショールは、声を出して 夫に答えました。


 「 しかし、お前の声は、なんと愛らしいのだ。

   これからは沢山、話しをしておくれ 」


   バイロンは微笑みました。




   三人の子供達は、派手なアトラクションを喜ぶように、

   ケラケラと楽しそうに笑っていました。

   老婆は どんな子育てを していたのでしょうか、

   ものに動じない、ず太い神経に育っているようです。







 「 あの森からは、良質な爆薬の材料の鉱石が取れる、

   それは我々も知っていたのだ、

   戦局の打開のため 戦地から、その事を

   知らせようとしていたのだが、手紙は届かなかった、

   あの女が、情報を握りつぶしていたのだろう 」



 「 手紙から 鉱石のことを知ったのかも知れない

   あちこちと 秘密裏に 試掘をしていたのだ 」




 「 幸い、戦争は痛み分けで、かろうじて休戦になったが、

   本格採掘も始まり、大量生産する手前だったようだ 」




 「 生産が進んで 敵の手に渡っていたら、

   間違いなく、戦局を左右したに違いない 」




 「 もしも、この地が敵に併合されてしまえば、

   国そのものが、存亡の危機だっただろう 」




 「 あの女が 敵国の傀儡として、

   我が国全土を 支配していたかも知れない 」



   三人の兄達は 妹に語りかけました。




 「 何と、恐ろしいこと、でも、もう安心ですね。

   恐ろしい野望は、本人と共に吹き飛んだのですものね 」 


   妹ショールは言いました



 「 いやいや、まだ油断は出来ないのだろうて、

   内通者は他にも たくさんいるのさ 

   戦争を 金儲けのチャンスと考える、

   金次第で どちらにも 転ぶ奴らは多いのさ 」


   老婆は苦々しく言いました。



 「 これからも、気を引き締めなければいけない 」


 「 その通りだ 」


 「 そうとも 」


   三人の騎士たちも頷きました。






 「 爆音のせいで耳鳴りがするよ、

 『 こんなもんじゃ、まだまだ終わらさないおぉぉおお ~! 』 と 

   何処かから、あの女が 怒鳴っているようじゃ 」


   老婆が、耳を押さえながら言いました。

   

 「 マリス ( Malice ) 悪意の

   ボマー ( Bomber ) 爆弾魔、

   そのまんまの名前だったんだねぇ 」
 



 「 平和な世の中を望むのは 難しいのでしょうか ? 」


   ショールは呟きました。



 「 我々が 努力して創り上げよう、

   憎しみ、悪意ではなく、

   優しさ、寛容さ、愛を持って 」


   バイロンが、育ちの良い、理想主義的な、

   夢見るような顔で言いました。




 「 爆薬は殺戮のためでなく 人々の暮らしに、

   役立つように 使ってもらいたいものじゃ 」


 「 カァ 」「 カァ 」「 カァ 」


   老婆の言葉に、三羽のカラスも 同意しているかのようです。



 



   城主バイロンは、三人の騎士を召抱えました。

   老婆の配下の者も、乳母として城に置きました。

   これからは自国のために、

   爆薬の原材料の確保、管理もしなければなりません。



   

   ショールの父は、オニキス。ジェット。オブシディアン。

   三人の息子たちが無事、戦争から帰還し、

   おまけに、突然現れた三人の孫を見て、

   狂喜乱舞しました。



 「 うははははっ ♪

   ワシは いきなり三人の孫の おじいちゃんだ、

   子孫繁栄、ばんざ~い ! 」



   森の老婆は、身内からマリスボマーに、

   子供達の動向がバレないように、
 
   あえて、ショールの父親カラーレスに、

   孫の存在を教えていなかったのです。






 「 森の老婆よ そなたは この城には来てくれないのかい ? 」


   城主バイロンが尋ねました。



 「 カァ 」「 カァ 」「 カァ 」



 「 それは、とても有り難い御言葉ですが、

   今まで通り、私は森に住みます。

   ほら、あのように連中も、

   騒がしく鳴いていますので、



























   カラスと、いっしょに 


   帰  り  ま  す 、、、、、 」

   

     


 
 


 「 カァ ♪ カァ ♪ カァ ♪ 」














   



































「 ちきしょぉぉおおおお~~!

  おぼえてぇぇろぉぉぉおおおお~~~!

  こんなもんじゃ、まだまだ

  終わらさないぞぉぉおおお ~~~~~! 

  グワァ グワァ グワァァァアアア ~~~~! 」






  大爆風に飛ばされた 誰かさんが 

  はるか上空を 高速度で 遠ざかり 

  みるみる 小さくなっていくのに気付く者は

  誰一人として いませんでした。










      お し ま い








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