すずめの戸締まり(ネタバレ含む) | ごめんそれほど好きじゃない

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好きだけどそれほど熱中してるわけじゃないんです。

書こう書こうと思いながら、まとまらず今に至る。

今回の「すずめの戸締まり」は、「君の名は。」と「天気の子」のように登場人物がリンクすることは無い。

強いて言えば、「秒速5センチメートル」のコスモナウトの抄と同じ景色を見たような気もするが、定かではない(笑)

 

あと、君の名は。で三葉が髪に結んでいた組み紐を穂高に渡し、3年間穂高の手首に巻かれていたそれと同じようなものが、すずめを東北まで連れて行った芹澤の手首にあった。

その意味を考えてみたものの、まとまらない。

 

いろんな場面でいつもすずめの周囲を飛んでいた2匹の蝶は恐らくすずめの亡くなった両親の魂を表しているんだろうと推測してみた。母子家庭の設定で母親しか映画には出てこなかったが、震災で母を亡くした時点で姉が引き取ったということは、恐らく父親もどこかの時点で亡くなっているんだろう。見守りの蝶として導く役割を持っているのかもしれない。

 

要石という概念も、古事記や日本書紀の頃からのもの。

地震は巨大な鯰が地面の下で暴れているととらえられており、それを鎮めるための人身御供や要石の存在がある。

映画では鯰の存在を「ミミズ」に例え、要石を猫で表現したが、そもそもこのダイジン、サダイジンという2匹の猫たちはもともと猫だったのか。日本のあちこちに出没する姿は猫のままだが、神戸のスナックに現れた時、すずめ以外の人には落ち着いた紳士に見えていた。もしかして要石はもともと人だったのかもしれない。人身御供の役割で要石として何十年もいたが、すずめに抜かれて自由になる、すずめの事が好きですずめと遊びたい一心で一度は草太に要石の役割を押し付けようとするも最後は自らが要石に戻る、その可愛さや健気さで私はまた涙がちょちょぎれた訳だ。

人柱の役割は、「天気の子」でも描かれていた。災害を鎮めるには生贄が必須、という概念はここでも健在。

 

すずめの戸締まりではミミズの頭と尾の二か所を要石で押さえないと地震はおさまらないとされている。すずめが偶然抜いてしまった要石のダイジンを追いながら北上していくロードムービーだけど、各地ですずめが出会った人たちのところを訪れながら帰路につく、その回収をエンドロールでやっちゃうあたりが、最後の最後まですずめの戸締まりの旅になっていてホッコリした。

長い旅路のようでいて、これってたった5日間の出来事。

 

これは私だけの感覚だけど、最近の日本の地震の起こり方の流れがこんな感じ。最初は日向灘、その後熊本、神戸、関東、東北。映画を観ながら、現実とのリンクを感じた。

 

新海誠という人は原作から脚本から作画から、もともと全部ひとりでやっちゃうのだけれど、ここまで作品として成り立ちにくそうなテーマでもって、まっさらな状態から3年かけて一つの壮大な物語として作り上げてしまう、その物凄いエネルギーには本当に恐れ入る。

15か月かけて一人で絵コンテならぬビデオコンテを完璧に作り上げてから制作に入るという手法も、無駄がないっちゃあないが、一人でそこまでもっていく労力たるやとんでもないもので想像すら出来ない。

一本仕上がる度に、なんだか一回りちっちゃくなってる気がするけれど、さすがにそれはないか(笑)

 

エンドロールを眺めていたら、スペシャルサンクスの欄に、

新津ちせちゃんの名前を発見した。

ちせちゃんは、ついこの前までFoorinとしてパプリカ歌って紅白にも出場したし朝ドラ「カムカムエヴリバディ」にも出ていた名の知れた子役でもあり、新海誠の実の娘さん(笑)

ビデオコンテの声のお手伝いをしたんだっけか。

七光なんて全然受けず、実力で売れっ子になってるから、

新海監督の娘というのはホンのオマケのような肩書き。

 

面白いなと思ったのは、先日、宮崎駿監督がまた、オリジナル作品を作る宣言をしたこと。もう引退します宣言をした筈だが、恐らく負けず嫌いな宮崎駿監督のことだから、千と千尋の興行収入を新海誠監督にスコーンと抜かれた辺りからウズウズしていたに違いない(笑)もともとがクリエイティブな人だから、いろんな刺激を受けてイメージが降りてきたのかも知れない。私もそろそろ、ジブリの、宮崎駿制作の完全オリジナル作品を観てみたい。やっぱり唯一無二だもの。

 

すずめの戸締まりの最終的な興行収入は、もう「君の名は。」を超えることはないだろう。年末年始を挟んで120~130億ぐらいで打ち止めかなあ。新規客というよりリピーターばっかりだもん(笑)外野からは新海信者扱いだしさ。

ま、3回も観に行けば立派な信者の仲間入りだろうが。

 

ここまで一連の世界感での作品を完成させてしまうと、次回作が難しいだろうなあと思ってしまう。でもやっぱり、私は新海作品が好きなので観てみたい。

 

あとの細かい考察は、君の名は。天気の子と同様に、DVDが発売されてから何百回も観つつ。これはもう書かないが(笑)