愛の星地球への感謝
ー そそがれ来る愛のエネルギー ー

「若見え」の秘密、とのタイトルに二番めに応えているのが
この項目かもしれない。
 

「年には見えない 秘密」追加項目
「愛の星・地球 への感謝」
 

あるべき地上を実現する為には・・

大宇宙に遍満するエネルギーは

求める者に注がれきたる。
 

地球50億年、愛の星・地球の開闢への感謝、日本文明への感謝。

西洋文明の源流を石の文明と位置づける歴史観の誤謬。ミノア文明・クレタ島から伝えられた法隆寺のエンタシスとは。日本文明が世界を救う必然とは。あるべき世界を地上を実現する為には・・
大宇宙に遍満するエネルギーは、不肖の者にも注がれきたる。

そして、腹の底から力が湧いてくる。

 既に、 『長寿の秘訣・セレニウム』において、
「現在、日本人は世界でも最も長寿を誇る民族である。この原因は食事にあり、食べ物の重要な部分を魚によっているところに長寿の秘訣があると言える。魚は日本人に他の国の国民より多くのセレニウムを供給しているのである。この事実こそが人間の寿命を考える時、今後とも重要なテーマとなってくる。」
と記したが、この点を更に掘っておきたい。

日本の稲作・漁労の文明は、 畑作牧畜の文明と異なり、狭い土地の中で可能な限り多くの者が豊かに平和に生きる、美を伴う愛他・利他、慈悲と智慧の文明ともいえるのではないか。

その様な参究のなかで、次の様なメッセージをホワイトハウスへ届けることとなった。 : トランプ政権への手紙

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■日本の自然環境
 

 かつて日本列島は大陸的で乾燥した気候に覆われていた。最後の氷河時代の最寒冷期、二万年前の海面は現在より100m以上低く、日本海は湖に近い閉塞状態にあったともいわれている。大陸的気候が緩み、日本列島が独自の海洋的風土へと変わるのは、対馬暖流の日本海流入以降となる。寒冷・乾燥した氷河時代から温暖で湿潤な後氷期への移行期にあたる1万3千年前以降、日本列島は世界に先駆けてブナの森が形成され、その中で森の文化が生まれる。

 

 環境という言葉がまだ馴染みのない昭和の高度成長期にあって、日本は工業化による激しい環境破壊を自ら経験した。

その時代の負の遺産の精算について依然、完了を見てはいないものの、諸規制、諸技術、国民への環境意識の浸透などにより、徐々に生存に適した国土へと歩みを進めつつある。自ら苦しみ、育んだ環境保全技術等の蓄積によって、世界の環境保全へ、貢献可能な大国となりつつある。

 この30年程の間に日本を中心に、研究進展顕著な「環境考古学」が存在する。自らの未来を考察する為に歴史に学ぶ必要があるのと同様、自らの立つ国土を理解する為に必須な、有効な情報を、この「環境考古学」は、この日本にもたらす。

 

 植物の花粉は強固にその姿を保つ特性を持ち、その時代の環境の有り様と変遷を伝えるものとなる。特に湿地でのボーリングによる堆積層採取によって、その中の花粉の分類同定と年代解析を加えることで、過去の環境の変遷を余すところなく示すことができる。

環境考古学の研究と解明によれば、この日本の国土には気候変遷の歴史があることと、それに応じた地域毎の樹木相の変遷があること、気候変動に仏教伝播などの文化的要素が加わり、変化に富んだ歴史をもつことが明らかとなった。

 

さらに環境考古学の研究フィールドは日本だけに留まらず、世界の中での日本の位置づけをも明らかにしつつある。
環境史の解明によって「西欧人による歴史」の再検証、見直しが必要になりつつある。

 

 現在、我が国土に見られる樹木相の多くは、ここ百年の間に成立したものであって、局地的に見れば人間による森林破壊によって土壌劣化を被った地域では、照葉樹、落葉広葉樹が繁茂する「天然の果樹園」から、主に赤松等の生育する環境への樹木相の変遷を来たし、同時に菌糸類による土壌の疎水化へとつながってきたことが明らかにされている。

 

 一方、この数千年の日本の環境史を俯瞰するならば、小規模な家畜を伴う農耕地拡大による森林破壊が起きていたことが明らかとなっている。

 

 しかしながら、稲作の伝播に際しては家畜を欠如し、、主に沖積平野を居住地とし、平地林は破壊しつくされたものの、周辺の山地や丘陵には再び二次林が回復。はげ山に至る再生不能に至る迄に森林破壊が進む事なく、稲作漁撈文化によって森林(とその土壌層)が維持され得たことが先人に感謝すべき国土遺産となっている。
 

 自らの国の自然環境と変遷を理解し、それぞれの地域特性に応じた適切な環境保全政策を採択し、実行することが国家の繁栄と安定へと繋がる。為政者は、この事が国際関係の中でも重要な要素であり、その国の国民の幸福な生活の礎を確かなものとなり、次代の繁栄と永続性へと繋がることを肝に銘じねばならない。
 

 

■仏教伝来以後の日本の自然環境
 

 六世紀の中国仏教伝来以降、主に仏教渡来以前からのアニミズムと仏教思想とが融合し、日本的なる仏教思想へと展開する。

そこには「山川草木悉有仏性」(さんせん そうもく しつう ぶっしょう)という言葉に表現される、人間を含めた多様な存在にも仏性が宿るが故の愛他、利他の心を生む素地が醸成され、再生不能に至る環境破壊への道を押しとどめ、歯止めとして働いたと言える。

 

現在殆どが人工林となった我が国土であっても、明治に至るまでにも様々な形で森林の保護が試みられてきた史実が存在する。
仏教伝来後の一千年に渡って、我が国に森との共生の歴史が存在した事は、世界にとっても幸いな事である。
仏の利自即利他の教えが、日本の国土をかろうじて保全し続けてきたことを環境考古学は明らかにしたとも言えるのである。

 

■喫緊の国土修復保全から発展へ
 

 戦後、林野行政のスギ植林推奨は、浅薄で稚拙なものとなった。

スギ植林は斜面や高地にも及び、高度成長経済のなかで放置され、光りの届かなくなった人工林は自己崩壊を始め、森は生命の多様さを支えることが出来なくなりつつある。この林野行政の失敗によって、800万ha.とも1000万ha.とも言われる日本の人工林は今、崩壊の危機に晒されているが、豊かな落葉広葉樹林への転換・再生も不可能ではない地力を辛うじて保持している。この国の国土は、宝の山としての潜在能力を依然保持している。

 

 そして日本人の心に受け継がれてきた自然への思い、こころの力によって、これら瀕死の人工林も、森林作業の低コスト化改善、間伐促進の動きなど現場の民間レベルの努力により、蘇りの端緒につきつつある。行政は之を謙虚に捉え、必要最小限の有効な支援を用意する責務を負っている。

  

早急に必要なものは、

人工林の再生と改善に必要最小限の、間伐・伐採の為の運搬路・軌道の補修・維持・新設であり、間伐作業や現場を支える人財の育成養成であり、一大分野である。

 

更には国土を食いつぶす林野行政機構の改編も待ったなしである。農林水産省、林野庁は、国有林のみならず、民間の手が入りずらい山岳地帯、私有の自然林(広葉樹林)を伐採し、ヒノキ等の針葉樹の植林を最近まで行ってきた。

まさに林野庁幹部OBの高給涵養組織、独立行政法人「緑資源機構」が行っていた官の植林による「森林破壊」は、山奥の自然林を伐採し、そこに針葉樹を植林する。さらにはそこへ「水分涵養林」の立て札を立てるなどの、破廉恥なる税金による森林破壊を行ってきた。

 

この緑資源機構による植林は、当然災害復旧という「治山事業」へもつながる。台風や大雨の度に山や道路が崩壊する為である。
後述する「広葉樹林」の持つ環境保持能力を破壊し、需要を考えない、「官僚涵養」植林は国家的資源の詐欺的窃盗であり歴史的国家資産損壊行為であった。その総括は成されねばならない。

 

緑資源機構は事実上既に解体されたが、2010年に「植林(国有林野事業)」を別の独立行政法人を設立し、再活動が目論まれた。
国益を損なう「自然林破壊植林」は断固阻止せねばならない。

 

近年、三重県の宮川流域における山崩れは、伊勢神宮のお膝元で起きたことから注目を集めているが、戦後の自然の無視した単一針葉樹植林による山林崩壊は国民の命を奪い始めているのである。

 

地方行政へ移管された「分収造林特別措置法」による林業は、国家にとって屋台骨となる森造りとは言えない。

森造りと林業は峻別されなくてはならない。

林業(=木材生産)を森造りと呼び(詐称し)、血税投入を続ける隠れ蓑とすることは、もはや許されない。

これを阻止せねば、このままでは日本の美しい国土は北朝鮮の禿げ山の二の舞となってしまう。

熊本、球磨川流域、不知火海の異変は早急に総括されなくてはならない。

 

実は我が国最大規模での「自然再生事業」が神奈川の丹沢山地で進んでいる。様々な施策と膨大な原資が投入されているが、水質の低下、アオコ発生の克服、海岸の喪失が続いている。県は新たに「水源環境税」を導入したが、県民の負担にふさわしい成果が得られたとは言い難い。

 

戦後、丹沢の山地も、いわゆる拡大造林により広葉樹林が一斉に伐採され、スギ、ヒノキなどの針葉樹が植林されている。
全ての問題の最大の根源はここにある。

 

日本の国土には、様々な照葉樹広葉樹が本来存在する。

 か弱く見える樹木であっても、驚く程に根張りを行い、急傾地の保全に役立つ樹種も存在する(コナラ)。http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/fagaceae/konara/konara.htm
 

また放線菌と共生し、空中窒素の固定能力があり、

畑作地では防風林にもなる常緑照葉樹種が存在する(ヤマモモ)。

http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/myricaceae/yamamomo/yamamomo.htm
 

 ブナはいままで役に立たない樹木とも言われて来たが、木材加工技術の進展によって、家具に使える様にもなってきている。ブナの水分涵養等の能力は当に国家の宝であることを忘れてはならない。

 

 

■あるべき方向性 1

 

早急に必要なものは; 山岳、森林、水源、食糧生産と国防に係わる土地の所有は国の三権の承認を要す法体系を整備、遡って適用されるものとする。 (横須賀基地を監視可能な高台の土地(ロシア入手)、韓国資本による対馬に於ける自衛隊施設周囲及び港湾の買収、沖縄八重山先島尖閣等の島嶼港湾、森林水源の外国資本による買収に対応)

 

・国土・河川・港湾・交通・沿岸・農林水産畜産・食品加工・医療・厚生・労働の関係省庁を統括する政治機関(a1)を置き、諮問機関として大学・民間の植物研究機関を結ぶ横断的な「国土研究所」設立により、土壌流出、山岳地の崩壊阻止施策、アオコ発生による上水道資源保全対策等の以下の諸課題策立案、実行を急ぐ。

この設立作業の中で関連独立行政法人の総点検改廃を行う。

(a1 : 「国家戦略委員会」)

 

・林野庁業務の民営化(林野庁解体)。

 

・森林法、国土利用計画法の現社会情勢に基づく総点検により、地下資源(地下水含)、国土環境の永続的保全と次代継承に必要な法整備。
昭和26年施工の現森林法は、林野庁による植林=森林破壊の後ろ盾となっており、改廃を進める。
また京都議定書に盛り込まれた、「植林」規定は、林野庁存続の為の官僚組織温存の策略であり、これを離脱する。  

 

・木材生産=林業は山岳地帯を避け、搬出し易い限定的な地域に縮小し、民営による需要・供給コントロールへ切り替える。

 

・人工林の再生改善(広葉樹林帯域を針葉樹人工林から広葉樹林へ復元)に必要な、間伐、伐採、運搬軌道の補修・維持・新設、現場を支える人財の育成養成の推進施策。林野庁によって針葉樹となった荒廃域・砂防施設・森林保全に害悪となる林道の廃止・森林への復元等を進める。
 

原則;単一針葉樹林では、段階的に伐採を進め、自然放置することで自然林を復元させる。土壌流失につながらない、シカ等の野生動物の牧場となる事を避けつ、広葉樹林化への補修プログラムを進める。基本は適宜間伐、巻き枯らしなどでの広葉樹自然萌芽による放置林とする。高温多湿の降雨量の多い日本でのみ導入が可能。(上記に限らず より良い方策を見極め 導入する)

 

・人工林の再生改善は災害(人災)復旧とし、「国土研究所」には自衛隊、警察庁等の人材を元に「国土保全組織」を創設付属させ、広葉樹保全レンジャーによる調査・国土パトロール・広葉樹林帯域の針葉樹の広葉樹への植え替えを促進しつつ、森林保全と河川域、汽水域海岸の保全を一体管理すべくPDCAを廻す。
 

・森林、河川、湿地、汽水域・沿岸の一体的環境保全により、農水産食糧生産力は飛躍的に向上する(後述)。国土保全組織は外国船による水産資源永続破壊を防止するなど、厳しい自立国家としての領域警備・沿岸警備を自衛隊・海上保安庁と連動し高度化・推進を図る。

 

 

・大量の重油を使う現在の遠洋漁業は、有限資源石油の観点から遠くない将来に継続困難となる。
国土の一部である排他的経済水域、就中沿岸、汽水域を最重要視し、豊かな沿岸牧場(海洋牧場)化する。

 

・天然資源は地球上に偏在しており、土壌のミネラル組成も様々である。地域ごとにある種のミネラルの過不足は普遍の事柄である。
特定地域の家畜にミネラル不足による心臓病などの病気が発生し易いことは既知の事柄でもある。
必須ミネラル不足の土地もあれば有害重金属の多い土地もある。経済活性上の「地産地消」は安全性視点ではベストではなく、世界中からあらゆる食品を輸入している現在の日本の状況は、リスク分散上「より安全」と言える。この事を踏まえ、国土の「栄養状態」の見える化、および食糧生産輸出国との国際協力・食糧安保の構築、それらの諸国との軍事同盟構築の課題は重要視されねばならない。

 

 

この喫緊の国土保全と同時に、円滑で潤沢な食糧生産の為に、森林の生産能力増強を推進し、山も河川も海も一体の国土として捉え、行政縦割りの害を廃しつつ、自然の科学と政治の融合による発展への後押しが必要とされている。これについては後述する。


 

■神仏尊崇の背骨をもった「世界のリーダー国家へ」の気概が国土を変える
 

この小さな島国の中に1億人以上が暮らし、依然として国土の7割が森林に覆われ、高度の文明で世界を牽引できる可能性に溢れている。畑作牧畜の文明であれば国土は既に禿げ山になっているのである。

 

畑作牧畜の文明と異なる、この日本の稲作・漁労の文明は、狭い土地の中で可能な限り多くの者が豊かに平和に生きる、美を伴う愛他・利他、慈悲と智慧の文明といえる。

 

中東・ヨーロッパ文化の特徴とも言える拡大を必然とする畑作と牧畜の姿を取ることなく、我が国土が稲作漁撈による文化・生産生活様式であったことが、幾多の森林破壊を経ても尚、森林の再生を経て現在に至っている。これは、環境と食糧を考える時に、世界のモデルとなるのである。

 

 西洋文明の源流は5000年ほど前の、地中海に栄えたミノア文明へと辿り着く。

海運交易の支配権を背景に通貨の原型になる経済制度を構築したミノア文明の中心地クレタ島は、日本同様に森の文明として発展したことが近年確認された。日本と同根の基盤を持つ、この文明がどの様に変遷を辿ったのかを学ぶ事は、国家を繁栄へ導く科学として、必須の要件となる。

 

生態系の中で人間だけを特別なものとする思想と伝統が引き起こしてきた歴史の積み重ねが地球の環境問題という苦い果実を生んだのであり、人間と文化に縁起・根源をもつものである。

 

偏った人間中心思想の上に立ち続ける限り、有効な解決策を見いだす事、人類の未来を描き出すことはできない。

文明の競い合いの中で、自信と勇気と気概を持って日本の文化を提示し、地球を繁栄への方向へ導いてゆく必要がある。

 

 

■緑の重要性と人類


-安田喜憲著「森と文明の物語」に学び、歴史を再点検せよ-

 

賢者は歴史に学ぶ。 しかしその「史実」が客観性に欠け、科学的検証にも堪えないのなら、より良い結論へ繋がる事はない。
以降では地球の特質を科学的に理解し、環境史的認識を深めてゆく。

森はなぜ人類生存と文明維持にとって大事なのか。

 5000年前、地中海に浮かぶクレタ島は、ナラ属などの広葉樹のうっそうたる森に覆われた、緑豊かな島であったことが、日本人研究者の手により、ここ10年ほどの間に解明された。「環境考古学」の偉大な功績である。

 

 クレタ島クノッソスに残るミノア文明の宮殿跡には表面が赤く塗装された木製の柱が復元され、訪れる者を迎えている。クノッソスの宮殿は四階建ての木造建造物であった。遺物には、造船に使われた青銅の工具、大きな瓶などが多数出土し、豊かな森林資源が、船の材料に、金属道具・又瓶を焼く為の薪燃料となることで、繁栄の基礎となっていたことが推測されている。

 

 宮殿の壁画や土器にはイルカ、魚、タコや貝が描かれ、豊かな海産資源がミノア人の食卓を飾っていたことを伝えている。しかしながら、いまからおよそ半世紀前、スエズ運河から地中海への航路を進んだ和辻哲郎の指摘どおり、現代の地中海は海の砂漠であり、沿岸地方には漁業や魚食や海草食がさして発達しなかった事の意味を、「環境考古学」はいま問いかけている。

 

 ミノアの繁栄を支えたのは、地中海の海上交易の支配であり、その為の強力な海軍と商船を維持するには樹木資源が不可欠であった。しかし文明の繁栄と人口の増大のなかで、島の森は次第に消失してゆく。

 

 クレタの森の文明は、植林などによる森の維持再生を伴わなず、森林資源枯渇によって衰退。風雨等による土壌流出によってはげ山となった森、植物の芽や樹に登り木の若芽すら食べ尽くす家畜の存在によって、更に森の復元への道は閉ざされてゆく。この流れは、後世のギリシャ周辺地域の文明においても同様であり、その環境破壊のすざまじさはプラトンによっても書き留められている。

 

 シュリーマンによって伝説から史実へと解明されたトロイ戦争も、実は現在トルコにあたる小アジア・地中海沿岸域に豊かな森が残っていた事に由来した、木材資源争奪戦争であったことも「環境考古学」は明らかにした。

 

森の文明、ミノアの神殿に存在した木の柱は、時代を経てシルクロ-ドを渡り、ギリシャ・ヘレニズム文化の影響の元に作られた日本の寺院にもエンタシスとして伝わってゆく。エンタシスの原型は木の幹の膨らみのであり、根元から幹への自然木の変化が大理石にも受け継がれ、エンタシスという様式を生んだが故であった。

 

 樹木だからこそ生じた柱の膨らみは樹木故のものであり、森林資源の枯渇したギリシャ時代には大理石がその代役を果たしてゆく。エンタシスの起源は木の柱であり、エンタシスは森の文化の象徴であったのだ。クレタ島に始まり、ギリシャに受け継がれた繁栄とは、実は森の力に基づくものであった。

 

 

■砂漠とユダヤ・キリスト教の闇 緑を収奪する文明
 

  しかし、ギリシャ文化を石の文化とみなし、近代ヨーロッパ文明の原点とする多くの文明史家はこの事実に気づく必要がある

 マケドニアの地においても、森林破壊によって流出し、劣化した土壌によって穀物栽培は不能となり、やせた大地にも栽培可能なオリーブ栽培によって、文明維持が成されていたと考察される。(これも「環境考古学」の成果である。)

そして、沿岸の森林を失った海は、豊饒たる魚介類を提供し得ない、死の海へと成り下がってしまう。

 

 イエスの山上の垂訓の舞台となった草の丘陵は、かつてレバノン杉の茂げる豊かな森林であったことも同様である。香木として、神殿の床材や柱、格好の船舶マスト材にと、大量に伐採され続けたレバノン杉は、今はキリスト教の一宗マロン派の土地等に僅かに遺されているに過ぎない。

 

 カエサルのガリア戦記に登場する深きゲルマンの森も、一神教の特質とも言える人間を中心に見る文明思想によって、キリスト教宣教師を中心とした開墾の名のもと、壮絶なる森林喪失がヨーロッパ大地にもたらされる。同様に、新世界アメリカの地においても、森林の大規模な喪失という環境破壊をもたらしてゆく。

 

 耕作地に生まれ変わった地には 灌漑による地下水位の低下、塩類集積等により、次第に地力喪失、土壌流出・劣化がじわじわと進みつつある。

 

 しかし、世界には環境保全が成されている事例がある。南米への日系移民による、アグロフォレスティと呼ばれる樹木と耕作地の共存であり、日本に失われて久しい里山の文化を地球の裏側の熱帯雨林で継承し続けた人々の農耕・生産活動である。

 

 西洋文明の源流であったクレタ。その日本との共通点はどちらも森の文明であり、東西の文明が融合するこの日本の地には、環境史の学びに基づいた新文明建設が求められている。

 

 地球の火薬庫となった地中海沿岸諸国の抱える環境的貧困、その方向性も明らかにされたと言える。状態と原因のみえる化が出来れば、改善への道筋発見は容易である。愛のこころで真実を求め、反省を経て発展繁栄を追求するときである。愛と知と反省と発展である。

 

 人間はなぜか、緑豊かな山河に、豊饒の海に、開放感を味わい、心を遊ばせ、生命が涵養される様にできている。
森林をはじめとする自然の存在を必須の前提条件として、人類はこの地球上において生命の糸を紡ぐことができている。

これまで森林についてその事実を縷々述べてきた。
 

次の「鉄の惑星」以下の節において、四日市大学 松永勝彦教授らの研究を引用しつつ、その意味をさらに深めてゆく。

 

■鉄の惑星地球


地球は、水の惑星とも言われている。だが地表の3/4は海に覆われているものの、質量に於ける水の割合は0.03%ほどにしか過ぎない。

 

まず押さえるべきは地球50億年の歴史である。地球を構成する物質で最多なものは鉄であり、30~40%の存在量と推定されている。地球創世記に表面近くにあった鉄は重力によって次第に沈み込み、地球内部の核に多く存在する。

 

地球創製期の大気は主に水蒸気、二酸化炭素、塩化水素、窒素で構成されていた。地球誕生数億年の後、地表が冷えてくると、塩酸を含む強-酸性の降雨により、地表には酸性の「海」が誕生する。鉄の多い若い地球の「海」には、酸に溶けた鉄が大量に含まれていたと推定されている。

 

 酸性度の強い雨は岩石との化学反応により中和され、二酸化炭素は炭酸カルシウム(石灰)として海底に沈み取り除かれてゆく。海へ流れ込んだナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属の中和作用によって海は弱アルカリへ変化したと考えられている。そしてその後の大きな変化は、光合成の機能をもった細菌やバクテリヤの働きによってもたらされた。

 

 窒素と炭酸ガスの大気に酸素が次第に増え、海水中に溶けた鉄は酸化鉄へと変化、粒子となり海底へと沈殿する。海に大量に溶けていた鉄は激減、海の生物にとっての環境は常に鉄不足状況へと変化してゆく事となる。

 鉄は酸素との結合で三価となり、酸素を放するとニ価となる。
酸素の受け取りと放出によって化合物の構造が変化しない特性を鉄は持つ。鉄は酸素の運搬に何度でも使える安定した物質であり、生命維持に必要不可欠な存在、悠久の時のなかでリサイクルされてきた存在でもある。

 

 

■なぜ植物が、就中落葉広葉樹林が生命をもたらすのか

 

 森林とはなにか。海から陸に生物が上陸したのは、今から6億年前、胞子によって繁殖するシダ植物だといわれている。
 その後、種子で繁殖する樹木によって、乾燥した陸上での森林形成が可能となり、この星は緑の惑星へと変貌を遂げることになる。
 これは単なる偶然では決して起こり得ない、根本仏の意図が隠された愛の星・地球の開闢(かいびゃく)なのである。



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 Music break  光の惑星


 


- 恍多 kouta


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上記テーマに対して、「海と海洋汚染」 松永勝彦・久万健志・鈴木祥広共著 三共出版 他より以下紹介する。

 

 森林には、針葉樹林と広葉樹林とがある。針葉樹は一般に常緑で針のような葉を持ち、温帯、亜寒帯、寒帯に分布する。現在の日本では、マツ、スギ、ヒノキが一般的である。広葉樹は幅広で扁平な葉を持ち、亜熱帯から熱帯にかけて常緑広葉樹が、亜熱帯から寒帯にかけて落葉広葉樹が分布している。

 

森林と人間とのかかわりの中で、森林が果たしている役割の一つに環境保全がある。身近な例に、防風林、防雪林、防砂林、山崩れ防止、騒音防止などがある。

 

しかし森林の最も大切な役割の一つに水分涵養がある。この惑星の乾燥した陸上に森林が形成されたときから、これは変わっていない。

 

森林地帯では、枯れ葉などが堆積し、分解を受けた腐植土層があり、この下には鉱物土層が存在する。
 

森林伐採が行われると、風雨によって腐植土層が流出、雨は一気に表層を流れ下り、地下への水の供給は著しく減少する。したがって大雨には水は一度に河川へ流入し、河川水量を著しく増加させ、時に氾濫によって多くの被害を生む。河川流域の生物が生息する為には、一定の水量が必要であり、渇水になれば生物はやがて死滅してしまう。

 

森林は陸上にのみならず、亜熱帯や熱帯の波打ち際に多く生息する常緑樹の群落がある。マングローブと呼ばれる群落を構成する樹木は100種以上あり、日本での北限は伊豆半島である。干潮時は陸に、満潮時は幹の下部まで海水に浸るマングローブは、魚、海老、蟹など多種の水棲生物が生息する魚礁となる。加えてマングローブは防波堤の役割を果たし、土砂の海への流入を防ぎ、珊瑚礁への影響を少なくする。

陸同様、マングローブの伐採は、水産資源の枯渇化へと繋がる。

 

 

 鉄の惑星地球で述べた様に、酸素の存在によって、海水中の鉄は粒状物質として存在している。

光合成生物はこれを直接利用できないので粒子鉄と溶解平衡で存在している鉄イオン(Fe(OH)2+)を摂取している。

 

 岩石や土壌中には酸化鉄が含まれている。酸化鉄は非水溶性であり、大きく、そのままでは植物は利用できない。植物は根から酸を分泌し、鉄を吸収している。

 

 一方腐植土中には枯葉、動物の遺骸など種々の有機物が混ざっている。これらは昆虫類や微生物によって分解され、腐食物質となる。このうち、水に溶解する物質はフルボ酸と呼ばれ、分子量が1,000程度、水酸基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基など多くの官能基を有している。多くの金属はこれらの官能基と化学結合して錯体を形成する。

 

地殻岩石の風化粒子と広葉樹等の落ち葉が堆積した腐植土層は保水層でもあり、空気を遮り、酸素のない嫌気な状態下、三価の鉄は還元されてニ価の鉄となり易い状態が形成される。

 

無酸素部位で生成した鉄イオンはフルボ酸と結合してキレ-トを作るが、これは極めて安定していて離れる事はない。酸化される事なく、稲を育て、やがて海へと注ぎこみ、植物プランクトンや海草に吸収され、海に豊饒をもたらす。

 

光合成生物はフルボ酸-鉄錯体を無定型の粒状鉄よりも5~10倍以上速い速度で吸収することができる。また窒素、隣、珪素の栄養塩類も腐植土中での有機物の分解や岩石の風化により海に流入する。従って、森林からは多種の栄養素が河川や沢水を通して海へ運ばれている。このことがプランクトンの増殖や海藻の成長に大きな影響を与えている。

 

なお針葉樹の葉は広葉樹の葉とくらべ、フルボ酸生成は1/10程度とされている。水分涵養機能についても同様傾向とされる。

 

生体に取り込める鉄に不足するという環境的運命を背負い、酸素無しに生存し得ない地上の殆どの生命は、体内に鉄を貯蔵し、リサイクルする機能の獲得が生き残る術となっている。

 

貧鉄の海に、葉緑素・生命が乏しいことは衛星解析によっても確認されている。

 

 なお森林からの栄養塩類、栄養供給の役割を人為的に作り出すには、一つの河川だけでも人件費を入れずに年間約10億円かかるという試算がある。到底人間の手で森林の代替えをすることは困難である。また、まだ判明していないだけで、鉄以外にも重要な役目を果たしている元素あるいは化合物が森林には存在するかもしれない。

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「コラム:日本における森林の保水機能は2000億トンと推定されている。これだけの水を貯水するためには、1km×1km×100mのダムを2000個造成しなければならないし、森林が消失すれば、土砂の流入でダムは数十年で埋まってしまう事になる。森林自体が持っている機能を全て人為的に行うことは不可能であることを私たちは認識しなければならない。標高に合った適切な自然林を保護するだけで、森林はあらゆる機能を発揮し、海の生物を豊かににし、間接的にそれが人間にも返ってくるわけである。」
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 フルボ酸鉄は「健康な森林」によって、「健全な湿地」によって誕生する。従って、(よかれと思っての)森林伐採、単一針葉樹の植林、湿地を邪魔者扱いし、河川や海岸を道路などコンクリ-トによって遮断する行為は、見直されなくてはならない。蔓延する磯焼け。国土の縦割り行政の生んだ不自然な自然。生態系の狂った地域とそうでない地域の差はもはや明瞭である。責任を取ることのない行政が生んだ環境破壊の格好の代表的標本例には、各所に見られるに至っている。

代表例に狂った地域には広島、そうでない地域には気仙沼が挙げられる※。

 

※ 広島の海には、大田川が流れ込む。
 

大田川下流は水流も豊富だが、上流に行くにしたがって水が少なくなる。支流はがらがらの石ころ。上流にはダムがあり、行けども行けどもの状況。広島の上流の山はマツクイムシで真っ赤。川の水をダムで止め、大田川水系だけでなく、いろいろなところに水を分流している。大田川は死にゆく。

 

広島カキは三万トン採れていた。それは全国のカキの生産量の65%。全世界のカキの生産量の約20%は広島湾で採れてていた産地。今は15,000トンを切る。

 

 三陸海岸は比較的乱開発はなく品質良好。築地で一番高いカキは気仙川が来ている広田湾産。10kg3万円程。

海が豊か故ふっくらと見事に成長する。養殖魚の様に餌を与える事はない。福島でいえば、阿武隈川が宮城県に流れてホッキが採れる、アカガイが採れる。

宮城県は川が良い具合に配置されている。気仙沼の地は養殖漁民の反対によってダム建設計画撤回があり、水源域での広葉樹の植樹が続いている。

 

(以上 「海と海洋汚染」 松永勝彦・久万健志・鈴木祥広 共著 三共出版 他より引用)
 

続く

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名刺代わりに2 私の「若見え」の秘密 綴ってみた
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