このブログでも紹介した本を実際購入して読んでいる.まだ,通読しきれていないが,この本が売れるかどうかは別として,その内容や書き方,考え方など,ほとんど私と同じである.著者の経歴をよく知らないけれども,学歴までは私とよく似ている.

 

この本の中盤(p.124~p.132)からいくつか引用する.

 

・「患者を卒業させる=治すことは収入源につながり,いつまでも卒業させない方が儲かる」

・「(チェックリストによって)人々は不必要に受診に殺到し,過剰に診断が下される」

・「病床の稼働率を上げないと病院経営が成り立たない」

・「診療報酬が優遇される精神科救急病棟が増えた→強制入院患者や身体拘束が増加した」

・「精神病床数が多いほど入院中の生活保護受給者が多い」

・「新しく薬が承認されたら患者が不自然に急増する」

 

医療側は,困った事情を抱える人々が増えたからこのような診療の機会が増大した主張しているが,ここに挙げたように,医療の診療報酬増大を目的とした積極的介入を行っているのは,医療側なのである.これが日本の医療の本質である.

 

精神医療,医療全般に限らず,この現代社会の問題は,結局のところ,どうやって人々はお金を稼いでいくかということに尽きる.お金がなければ,日々の食事もままならないし,食事だけでは満足しない現代人の様々な欲求はお金さえあれば実現できることが多い.

 

お金を稼ぐことは,みんなが豊かになるのなら,問題も生じないし,それが人生の目的としてもよいだろう.「学術研究に人生を捧げる」と言っている人がいても,研究を進めるには予算が必要であるし,1次的,2次的の違いはあっても,お金を稼ぐことは非常に重要なのである.

 

問題なのは,お金を稼ぐ多くの局面においては,限られたパイを奪い合うことになるので,得をする人が出る一方で,損をする人がでることになる.言い方が乱暴かもしれないが,搾取する人と搾取される人が同時に存在するのである.当たり前だが,搾取する人はそれを続けようとするし,搾取される人はそれから逃れようとする.

 

医療の問題は,公金という限られたパイを,医師や病院経営者など医療側と,患者やふつうの人々たちで奪い合うことになる.間違いなく,医師や病院経営者は搾取する側で,患者やふつうの人々は搾取される側なのである.これが,困っている人たちが,何らかの病気で,これを治してより健康にするのなら非常に理想的だが,これが,実際には,病気でもない人を病気として,治療することによりさらに不健康の度合いを強くするから問題なのである.

 

精神医療の場合は,これが非常に目立つというのが,この本を主張するポイントなのだと思う.

 

私は,全くの健康だったが,医師の診断と投薬によって,自動車事故を起こすとか,日中に不意に眠気がくるとか,非常に健康度が下がり,経済的な損失も被った.これが,搾取でなくて何だろう.私の場合は,診断を信用せず,服薬をやめたことによって,健康度が回復し,自動車事故の類が完全に消失した.この本にもあるように,全くの健康な人が命を失ったり,人生がかなり負の方向に進んでいる場合が数多くある.こんなことが許されていい訳がない.

 

医療に限らず,搾取する側と搾取される側の構図は現代社会に多く存在するが,それがトータルの問題として,人類に負の効果をもたらしているのなら,それは解決すべきだろう.搾取する側はそのままにしようとするし,搾取刺される側を解決しようとする.どんなに考えても,解決するのが正しい.

 

それでも医療側は主張する.「このような精神医療の問題は,一部の悪徳医師や悪徳病院経営者の問題で,全体としてうまくいっている」

 

全体としてうまくいっていないのである.しかし,うまくいくようにすると,医師たちの報酬は減るので,このように主張しているのである.