SNSの上でよく見かけるのですが、真面目な人ほど、フレーズというものの練習に取り組んでるみたいですね。
頻出コード進行のフレーズを、コピーしたり、フレーズ集から探したり、自分で作ったりして準備する。
なるべく12キーで練習。
スタンダード曲のカラオケを流しながら演奏できるようにする。
みたいな感じですよね。´д` ;
でも、多くの人がかなり手こずってて、「弾こうと思った時には、そのコード進行部分は過ぎ去ってた。」というようなボヤキをよく見かけます。
発想としては、どんなコード進行が来ても困らないように、あらゆるパターンをあらかじめ想定して、たくさんのフレーズを12キーで覚えておけば、ペラペラとアドリブが演奏できるようになるはず!と思ってのことなんでしょうね。
しかし現実はそうならないことが多いわけです。
いわゆるトランスクライブ譜面や、フレーズ集を一生懸命練習したのに、「なんで自由自在にアドリブできるようにならないんだ〜!こんな教材は詐欺じゃないのか?」と内心の苛立ちと焦りが募りながらも、いつの日か突然に花開くことを信じて練習し続けているという人も、けっこういらっしゃると思います。
自分自身も過去を振り返れば、そういう練習に夢中になった時期も確かにありました。
そこで得たノウハウというのも、もちろんあるにはあるのですが、今回はそれを公開するのはやめときます。
というのは、乗り越えねばならない壁としては、初心者・中級者にはあまりにも高すぎる。いや、僕自身はそんなに苦とは感じませんでしたが、生徒さんの様子や、SNSで見かける意見で推し測るに、挫折する人の方が多いようです。
また、これをある程度できるようになった上級者のソロの内容がいいかどうかというと、実は「間違っちゃいないけど、面白くない」というものになりやすいとも思うのです。
となると、練習方法としてはどうなんでしょうか?「プロになりたい!」と頑張っている人はともかく、アマチュアとしてジャズを楽しみたいという人には、また別な道がある気がするのです。
そこで、僕の教室ではこういうやり方を提案しています。「枯葉」で前テーマの直後、2コーラスのアドリブを行うと仮定して、説明してみましょう。
この場合において、フレーズを使ってクオリティを高めたい最重要な箇所とはどこなのでしょうか?とまず考えるのです。
僕は、1にテーマが終わって1コーラスに入る間際の2小節、2に2コーラスに入る間際の2小節、3にアドリブを終わる8小節と思うわけです。
そしてそのフレーズに「目的」を設定します。
1は、「どんな雰囲気でアドリブを始めたいのかを共演者に伝える」だし、2は「2コーラス目もやりますと宣言すると同時に、どう変化したいかを伝える」、3は「もう終わるので、次の人どうぞを伝える」です。
そしてその目的に合致するフレーズを探し出し、ひたすら練習するのです。目的を達成すればいいので、複雑なフレーズである必要もありません。それ以外の部分は、まあどうでもいい、とにかく最初は間を埋めるだけでいいと割り切ってみましょう。
こうすると、もちろん難しいには違いないが、2コーラスをフレーズで埋め尽くすよりか、また行き当たりばったりにやるよりかは、かなり明確な意図を持って演奏できると思います。
またフレーズを設定していないプライオリティの低い部分は、何かしなきゃいけないけど、そこまでクオリティを求めず、ある意味気楽にできます。逆に気持ち的には「休んでいる」くらいでやらないと、フレーズ設定箇所でとちったりすることになることを学ぶことになるでしょう。
そして最終的に、共演者を巻き込んで、果たして自分の望んだ状態に持っていくことができたかどうか?目的が明確なので、後で聞き返したりしても、自己評価もしやすく、達成感も得られやすいのです。さらには、最初の設定を達成できるようになったら、他の箇所に目的及びフレーズを増やしていってもいい。
フレーズ、あるいはリックを練習するのであれば、このようなやり方を試してみてはいかがでしょうか?