私たち現代人は、DXやインターネット・テクノロジーが進化すれば

生活は便利になり、幸せになると思い込みすぎていないだろうか。

 

ここ数年来、仕事や生活を通じて感じているモヤモヤ。

 

あくまで個人的な感慨ですが、些細なことから重たいものまで

日々感じる違和感を10個あげて、その背景を考えてみます。

 

① 人の視野は狭くなった

 

 2000年前後、一気にインターネットが浸透し始めた当時。

 僕は雑誌の編集長からWEBサイトの編集長に異動。

 

 「世界中の情報にこんなに簡単にアクセスできるなんて、

 世界は近くなり、人の視野は一気に広がるに違いない」

 

 そう思いましたが、そこから四半世紀。

 現実には人は視野狭窄になりました。

 

 ネット検索やネットショッピング履歴から、

 同じようなものばかりがレコメンドされる。

 SNSでは同質の価値観の人が空間を飛び越えて繋がり、

 お互いに「いいね」とやり合ううち、

 狭いコミュニティ内で自己過信が進むフィルターバブル現象。

 またエコーチェンバー現象も。

 世界で戦争が起こり広がっていることにも影響したと感じます。

 

 

➁ 街中でタクシーがつかまらない

 

 タクシーアプリが出来て、すぐ呼べて便利!と思ったものでした。

 が、最近は出張先ビジネスホテルで

 「明日の朝7時にタクシー呼んでもらえますか」

 とフロントで頼むと、

 「すみません。来てもらえなりました。ご自身でお願いします」。

 

 街中でタクシーに手をあげても、流しのタクシーは通らず、

 ほぼ予約先へ移動するタクシーばかり。。

 

 

➂ 電話かけでもいいかLINEで確認する二度手間

 

 電話はスマホになり、情報端末になりました。

 手軽に色々調べられて便利なものの、

 いざ知人に電話しようと思うと、迷惑かもしれないので、

 「いまから電話してもいい?」とLINEしてからが礼儀に。

 

 20年前までは、普通に電話をかけたものですが。。

 

④ いじめが陰湿化

 

 子供たちのいじめが、SNS上で行われることが多くなり、

 大人が気付けなくなっています。

 

 昔のようなわかりやすい悪ガキやヤンキーは減り、

 表面的には、みんないい子ちゃん症候群なので、なおさら。

 

 

⑤ 職場のコミシュニケーションのすれ違いが増えた

 

 40~50代の上司は、大切な報告であれば、

 部下は直接話しにくるだろうと思いがち。

 

 ところが、デジタルネイティブなZ世代の若手部下は

 「忙しい上司に自分のために時間をとらせるは申し訳ない」

 と慮り、かつ

 「大切な報告だから祖語のないよう文章で」

 とメールで済ましてしまう。

 

 

⑥ 孤独が蔓延

 

 コロナ禍で済一揆に浸透したテレワーク(リモートワーク)。

 在宅なら、満員電車に乗らず時間を有効に使える、

 上司や同僚の目を気にせずマイペースに働ける

 というメリットは確かにありました。

 

 が、それも長引くと

 ちょっとした同僚との雑談もできにくくなり、

 業務上の必要最低限のコミュニケーションのみになっていく。

 

 結果、若手や独身者は、

 狭い部屋でずっと一人で働く人も急増。

 孤独にさいなまれ、メンタル不調に至る人も。

 

 

⑦ 監視社会で息が詰まる

 

 自動車のあおり事故や接触事故、

 街中での犯罪や窃盗などが、あらゆる監視カメラ、

 菩提に蓄積されたデータ分析で

 捕まりやすくなった安心社会。

 

 と思いきや、常にだれかに見られている監視社会。

 在宅勤務していたも、パソコンのログ記録や

 どんな仕事をしているかも、すべて会社側がデータ把握。

 

 スマホを持って移動すると、自分の居場所や

 移動履歴もすべてデータを吸い取られていく。

 

 しかも、国はマイナンバーカードで

 国民すべての財産を把握しようとしています。

 

 息が詰まると感じる人も少なくないでしょう。

 

 

⑧ 詐欺にあう

 

 国も仕掛ける投資ブームの現代。

 有名人を使った詐欺広告被害の話題が沸騰しています。

 

 オレオレ詐欺も、アジアにアジトを作る悪党たちによって

 手法は巧妙化し、警察などの啓もう活動も虚しく

 被害者となる高齢者が後を絶ちません。

 

 タイパ思考の若者の出会いはリアル合コンではなく、

 出会い系アプリに移行し、孤独に付け込んむ輩も増え、

 ロマンス詐欺・結婚詐欺も深刻化しています。

 

 

⑨ 情報格差でデジタル弱者が生まれる

 

 買った家電の使い方がわからない、

 パソコンが壊れたので対処法を知りたい、

 ネット決済の仕方がわからない。

 

 そう思い、カスタマーサポートに電話しようと思うと、

 説明書にもWEBサイトにも電話番号の記載が見つからない。

 

 WEBサイトの階層の深いところで、やっと発見した

 電話番号にかけたところ、自動音声でたらいまわし。

 

 チャットを勧められて、入力してみるも、

 AIが対応してくれるも、どうも要領を得ない。

 ぐるぐる同じような回答が続き、

 結局WEBサイトの中を回遊させられるだけ。

 

 デジタルに長けた人はそれでいいのかもしれませんが、

 慣れないアナログ世代や高齢のデジタル弱者は

 どんどんおいていかれます。

 

 

➉ 広告の情報洪水から逃れられない

 

 

 タクシーに乗ると、目の前に掲げられたパッドから

 デジタル広告がバンバン流れて、無理やり見せられる。

 いちいち画面オフを押さなくてはならない。

 

 ネットで記事を読もうと思うと、

 バナー広告が煩わしい、ポップアップがどんどん出てくる。

 ×を押しているつもりが、指がずれたのか

 その広告サイトに無理やり連れていかれる。

 

 YouTubeで動画を楽しもうと思うと、

 どんどん広告が出てくる。

 

 これらを遮断しようとすると、

 別途費用を払わなくてはならない。

 

 ネットフリックスやAmazonプライム、

 noteなどがヒットしているのも、

 うざい広告に煩わされず、読みたい・観たいコンテンツを

 読めるからでしょう。

 

 ただし、既にランニングコストとして負担している

 スマホや通信使用料とは別に、

 コンテンツ利用料を払わなくてはならない。

 

 

 

いかがでしょうか。

私たち人間は、便利さを追求するために

技術を進化させ活用してきたはず。

ところが、不便さや高コストが増している。

 

さらには、どうにもこうにも生きにくい社会

 

なぜDX・インターネットで人は不幸になったのか。

 

背景には、便利さに慣れてしまったため、

待ち時間などにイライラする傾向が強まり、

心の余裕を失い、違いを許容しづらくなり、

人や社会に包摂性が失われてきたことがあるでしょう。

 

また、自分の個人情報が搾取されているのは

うすうす気づいているものの、どれだけ誰に

持っていかれているのかわからないため、猜疑心、

疑心暗鬼にさいなまれる傾向が強くなっていることも大きい。

 

くしくも、映画「オッペンハイマー」が話題になりましたが、

技術によって生まれた原爆は人を幸せにしたのか。

 

もっと時代を遡れば、ノーベル賞を作った

スウェーデンの化学者、アルフレッド・ベルンハルト・ノーベルは

ダイナマイトを作ったことも有名です。

 

 

幸福やウェルビーイング研究で活躍されている

慶応大学の前野隆司教授は、もともと

メーカーの技術者だったものの、

「テクロノジーの進化と人の幸福が比例していない」

ことに強い問題意識を覚えてキャリアチェンジされたと言います。

 

■『幸せのメカニズム』「人との比較」「地位財」による幸せは長続きしない

 

 

 

ジャーナリストの堤未果さんは、

デジタルテクノロジーが国家間の奪い合いに使われており、

無知な一般人は搾取されていると警告しています。

 

■『デジタル・ファシズム』DXで国民一人ひとりの

 財産が政府に補足され剥ぎ取られる!?

 

 

 

 

 

DXの弊害に気づき、抗おうと、

オフの日は、スマホを見ずに過ごす

デジタルデトックスを意識する人も目立ちます。

 

もはや、デジタルやインターネットの無い時代に逆戻りは

できないものの、どうすれば

人間らしい暮らしが取り戻せるのか。

 

一人ひとりの工夫が求められます。

 

 

 

すべては、日本の上司を元気にするために。