宣伝文句に惹かれて読んだ『格差の起源』

 

読みづらい言い回しに難渋し何度も読み返し

考えながら読了しました。

 

人類の祖先であるホモ・サピエンスが出現した

30万年前からの長い人類史のなかで、

僕たち現代人が活きる社会規範が

いかに最近できたものに過ぎないことか

が理解できました。

 

 19世紀初頭以降、人類の歴史の長さに比べれば
 まさに一瞬のうちに、平均寿命は2倍以上に延び、
 1人当たりの所得はもっとも発展を遂げた地域では20倍に、
 世界全体では14倍に急上昇


15万年ほど前に全人類の(女系)祖先である

「ミトコンドリア・イブ」がアフリカで出現し、

狩猟採集生活から農耕定住生活に移行、

人口が増え、寿命が延びることで、

社会階層、格差が生まれて来たということにも納得。

 

そして、裕福か貧困かを分けるのは

地理的要因(環境)が大きいことには驚きました。

 

環境破壊の問題が深刻化する現代。

この遠大な人類史から俯瞰して考えると、

ペストで人口が激減した14世紀、

もっと遡ると、アフリカから世界へ

広がることなく氷河期で絶滅した

ホモ・サピエンスのようなことになるのでは

ないかと背筋が凍る思いも抱きました。

 

打開のカギは、多様性、教育ですね。

 

微力ながら、

想像したくない未来を避けるために

まだまだ働かなくてはならないと感じました。


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・長大な歴史の流れの中で捉えれば、
 人類は事実上一夜にして、
 生活の質における飛躍的向上を経験したのだ

・19世紀初頭以降、人類の歴史の長さに比べれば
 まさに一瞬のうちに、平均寿命は2倍以上に延び、
 1人当たりの所得はもっとも発展を遂げた地域では20倍に、
 世界全体では14倍に急上昇した

・30万年近く前の東アフリカでの
 ホモ・サピエンスの出現

・教育と寛容の男女のさらなる平等が、
 今後何十年にも何百年にもわたる
 人類繁栄のカギを握っている


・人類の脳は、過去600万年で大きさが3倍になった。
 その変化の大半は今から80万~20万年前、
 つまり主に、ホモ・サピエンスが出現する前に起こった

・人間の脳はエネルギーを大量に消費する。
 体重の2%の重さしかないのに、エネルギーは
 全体の20%を消費する

・おそらく最初に狩猟採集を始めた人類種である
 ホモ・エレクトゥスは、今からほぼ200万年前に
 ユーラシア大陸へと広がった。現時点までで、
 アフリカ以外で見つかった
 初期のホモ・サピエンスの最古の化石は、
 21万年前のもの(ギリシアで発見)で、
 それに続くのが17万7000~19万4000年前のもの
 (イスラエル北部のカルメル山で発見)だ。

 だが、最初にアフリカを離れた
 これらの現生人類の子孫は、
 氷河期の厳しい気候条件のために絶滅したか、
 あるいはアフリカへ引き揚げたと見られている


・現在生存しているすべての人間の直近の
 (女系)祖先である「ミトコンドリア・イブ」が
 出現したのは、今から15万年ほど前のアフリカだった


 今日地球上にいる人類は全員、女系の系統をたどると
 アフリカのこの1人の女性に行く着くのだ


・今から1万2000年近く前、最後の氷河期に続いて
 気候が徐々に暖かくなったころ、
 ホモ・サビエンスに劇的な変化が訪れた。
 世界中で人々が移動生活から安定生活へと
 少しずつ移行し、芸術、科学、書字、技術の
 各分野で大きな発展を遂げ始めたのだ


・狩猟採集社会とは違い、
 農耕社会ははるかに多くの食糧を生み出せたので、
 増加する人口養うことができた


・農業共同体の中で交易が盛んになると、
 人々は農民、陶工、織工、工具製造者、商人、
 職人などの専業の職に就けるようになり、
 社会階層の分化が徐々に進んだ

・濃密に絡み合った血縁で結ばれた
 小規模な部族社会は結束が固く、協力や、
 争いごとの鎮静が容易にできた


・集落が大型化し、人口密度が高まり、
 人々の職業が多様になるにつれて、
 血縁の枠組みでは実現できない幅広い協力が必要になった。
 その必要性に応えて出現した
 複雑な政治や宗教の制度によって、
 私たちの祖先は以前よりもはるかに大きな規模で
 協力できるようになり、巨大な灌漑施設や壮麗な神殿、
 いかにも堅固な要塞を築き、強力な軍を作ることができた。

 こうして、支配者、貴族、聖職者、商人、兵士を
 はじめとする、まったく新しい階層が生まれた
 


・人類が継続的に暮らしてきた世界で際立って古い集落である
 エリコは、気全然9000年ごろに拡大し始め、
 聖書の時代に入ってからもずっと存続していた

・人類史上屈指の甚大な被害をもたらした出来事が、
 黒死病(腺ペスト)のパンデミックだった。
 ・・・14世紀に中国で最初に発生し、
 その後モンゴルの軍隊や商人とともに
 シルクロードに沿って西へと広まり、クリミア半島に達した

 1347~52年に、ヨーロッパの人口の40%にのぼる死者を出した



・1労働日当たりの収入は、3000年以上前のバビロンでは
 小麦で7キログラム、アッシリア帝国では5キロ、
 2000年以上前野アテナイでは11~15キロ、
 ローマ帝国支配下のエジプトでは4キロに


・北アフリカや肥沃な三日月地帯の中石器時代の遺跡で
 発見された人骨からは、平均寿命が30年弱だったと推定される

・2500年前にはアテナイとコリントスで
 平均寿命は約40年に達したが、ローマ帝国の墓石からは、
 死亡年齢がやはり20~30歳だったことがわかる

・16世紀半ばから19世紀にかけての
 イングランドの平均寿命は
 30年から40年のあいだで上下しており、
 産業革命以前のフランスやスウェーデン、フィンランドでも
 同じような数値が記録されている

・ホモ・サビエンスの出現から30万年近く、
 1人当たり所得が生存に最低限必要な水準を超えることは
 ほとんどなく、疫病や飢餓が多発し、
 乳児の4人に1人は1歳の誕生日を迎えられず、
 多くの女性が出産時に命を落とし、
 平均寿命が40年を超えるのはまれだった


・19世紀の初め以降、・・・一瞬のうちに
 世界全体で1人当たりの所得は14倍に急上昇し、
 平均寿命は2倍以上になったのだ


・水の「相転移」
 湯沸かしの水分子が全部一度に気体に変わるわけではなく、
 変化は徐々に進み、ついには全体に及ぶ

・農業革命直前の紀元前1万年には、推定で240万人の人間が
 地球上を動きまわっていた。だが、ローマ帝国とマヤ文明が
 最盛期に近づいた西暦元年まではに世界の人口は78倍となり、
 1億800万人に急増
 ・・・
 その1000年後、ヴァイキングが北ヨーロッパ沿岸を襲撃し、
 中国人が世界で初めて火薬を戦闘に使っていたころ、
 人命の数は2億9500万人に達した。
 
 コロンブスがアメリカ大陸へ幾度も航海しているさなかの
 西暦1500年ごろには、世界の人口は5億人に迫り、
 工業化初期の19世紀初頭には、10億人を突破する寸前だった

・16~18世紀にカナダのケベックに入植した
 ヨーロッパ人の50万人近い子孫の家系の膨大な記録
 ・・・
 子孫の数を四世代にわたってたどると、
 最大規模を誇った家系の起源は、出生率が中程度の植民者で、
 子どもの数がさぼと多くはなかった

 子どもの数が少ないと、それぞれの子どもが生き延び、
 読み書きを学び、結婚し、子どもを残す可能性が高まる

・人類の歴史の大半を通して、正式な教育の対象は一握りの
 特権階級の人々に限られていた

・幅広い層に教育が与えられるようになった時代には、 
 教育は主に、文化や宗教、社会、精神、軍事に関する
 目的に役立てられた。
 たとえば、古代のペルシアやギリシアや
 ローマの教育はおおむね、文化や宗教や軍事の目的に向けて、
 知性と身体の訓練によって服従や規律を身につけさせることを
 めざしていた。それとは対照的、儒教と仏教の教育は、
 正しい品行や年配者への尊敬や善良さといった徳を
 教え込むようにできていた


・中世の識字率は、中国、フランス、ドイツ、ベルギー、
 オランダなどでは10%未満

・西暦1800年には、オランダの識字率は68%、
 イギリスやベルギーでは50%、
  西ヨーロッパのほかの国々では約20%になっていた

 人類全体の成人の識字率は1820年には12%にすぎず、
 初めて50%を超えたのが20世紀半ばで、現在は約86%


・2017年、先進国の大半では平均寿命は80年を超え、
 乳児の死亡率は1000人に5人を下回った


・過去2世紀を通じて、
 裕福な国のほうが民主的とであることが多かった

・「金持ちが天国に行くのは、ラクダが針の穴を通るより難しい」
 とイエス・キリストは言った


・もっと根深い要因が文化規範や制度構造の出現を支えていた。
 それは地理と、人間の多様性だ

・出アフリカの道筋によって部分的に決まった各社会の多様性の
 度合いは、人類史全体にわたって
 経済の繁栄に長期的な影響をもたらしてきた。そして、
 技術革新をも誘発する「交雑」と社会の結束の両面で
 スイートスポットをうまく捉えた集団が、
 もっとも大きな恩恵を受けた


・未来志向や教育や技術革新を促し、男女平等や多元主義、
 差異の尊重を進めるような方策こそが、
 普遍的な繁栄のカギを握っている


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すべては、日本の上司を元気にするために。