を読みました。

常々、僕たちが「人が育つ現場」づくりにまい進する中で

理論的裏付けを学ばせて頂いている太田肇教授から

最新刊を献本頂きました。

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・マズローによれば

 承認欲求は「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれ

 

・人は認められれば認められるほど、

 それにとらわれるようになる。

 世間から認められたい、評価されたいと思い続けてきた人が

 念願かなって認められたとたん、一転して承認の重圧に苦しむ

 

・承認によって得られたプラスの効果が、

 あるきっかけでそのままマイナスに転化していく

 「山高ければ谷深し」

 

・大きな権力や経済力があっても、

 力づくで承認を引き出すことはできない

 他人に依存する欲求

 とりわけ人間関係が濃密で、人々の共有する「空気」が

 濃い日本の組織・社会では、呪縛もいっそう強くなる

 

・「承認欲求の呪縛」は「日本の風土病」

 

・親は子に、教師は生徒に、上司は部下に、

 よかれと思って行っていたことが結果的に相手を呪縛していないか、

 冷静に振り返ってもらいたい

 

 

・「承認欲求」という心の中に潜む"モンスター"

 

・社会動物である人間は、他人や周囲から承認されなければ

 自分を認めることは難しい

 

・父親や母親の存在感があまりにも大きいと、

 いくらがんばっても勝てない

 

・偉大な親をもった子は、承認される機会が乏しい

 

・口論になったとき、「相手がカップルなら気をつけろ」

 

・ある民間の病院

 MVP(最優秀職員)

 なぜか受賞者の多くが受賞後、比較的短い期間に辞めていく

 

・僕は入試に落ちたことより、周りを落胆させたことのほうが

 はるかにつらかった

 

・場合によっては叱るより、ほめるほうが危険

 

・効果があるだけに副作用も大きい

 

・叱られたら反発する子も、ほめられたら否定することが難しい

 

・本人がその期待をどれだけ意識しているか

 「認知された期待」

 

・「認知された期待」から受けるプレッシャーこそが

 「承認欲求の呪縛」

 

・「期待に応えなければいけない」

 というプレッシャー

 

・「勝って当然」というプレッシャー

 

 

・それを理解しているベテラン講師は、テストの際には

 「この問題は手強いぞ」とか、「これは解けなくて当たり前だから」

 などと言って、生徒が解けなかったときのために

 「保険」をかけてやるそうだ

 

・「実力があっても評価されないのは幸せだ。

 私のように実力以上に評価されることがどれだけ苦しいか」

 

 

・華々しく賞賛され、大きな名誉や名声を得た人ほど、

 その反動も大きくなりやすい

 

 

・日本生産性本部 新入社員の意識調査

 2018年の回答

 「どのポストまで昇進したいか」

 「社長」10.3%で過去最低になる一方、「どうでもよい」が17.4%で最多

 

・行動経済学者のR・セイラー

 「保有効果」

 

・他人からの承認を失えば、自分の存在価値すら感じられなくなる。

 極端な言い方をすれば、自分が自分でなくなるわけである

 

 

・あらかじめ自己防衛の行動をとる人

 過大な評価を受けないよう、わざと自己評価を下げようとする行為

 

 「セルフハンディキャッピング」

 

・若者に嫌われる「期待しているよ」

 

・子育て中のある女性は、終業時刻が近づくと、

 どのタイミングで「お先に失礼します」と切り出すか頭が

 いっぱいになって仕事に集中できないし、胃がチクチク痛む

 

・G.C.ホーマンズやP.M.ブラウンなど 

 「交換理論」

 

・本田由紀

 「やりがいの搾取」

 

 

・認められ、期待されることを意気に感じる心理を利用して

 報酬と不釣り合いな責任をもたせたり、貢献を引き出したり

 するのは「承認欲求の搾取」

 

 

・H.テレンバッハが唱えた概念

 「メランコリー親和型」

 まじめ、几帳面で秩序を重んじるといった特徴

 ストレスを招きやすい

 

・自我関与の高い人、すなわち

 自分自身の問題と受け止めやすい人ほど、

 期待に応えたい、信頼を裏切りたくないという意識が強く働く。

 

・共通するのは外からの期待や自分の行動基準を

 容易に下げられないこと

 

 容易に開き直れない人、「ちゃらんぽらん」になれない人が危ない

 

・「認知された期待」と「自己効力感」のギャップ(開き)が

 プレッシャーの大きさを左右する

 

 

・(認知された期待-自己効力感)×問題の重要性

 =プレッシャーの大きさ

 すなわち「承認欲求の呪縛」の強さ

 

 

・エリートこそ「承認欲求の呪縛」の最大の犠牲者であり、

 それが転じて加害者にもなる

 

・自分の評価が低いのは、

 活用できない会社や上司に問題がある

 

・受験秀才の誇ってきた能力が、

 ことごとく競争上の強みを失ってきた

 

・勘やひらめき、直感、感性、ならびに

 それらを結実させる独創性、あるいは独特な個性

 

 どうすれば形成されるかわからないそれらの能力を

 求める「ハイパー・メリトクラシー」化が進んでいる

 本田

 

・大衆化した官僚たちにとって、もはや省庁や部局

 といった疑似共同体のなかでの評価゜や評判こそが最大の関心事

 

・自殺学者の布施豊正

 ほんとうの大物より部長や課長といった中間管理職が

 自殺するケースが多い

 

・「責任を感じて命を絶った」とか「詰め腹を切らされた」 

 などといわれるが、

 むしろ事件が暴露されたときに自己崩壊が起きるのが自殺する原因

 

・外国人留学生

 なぜ日本人はその場でおかしいとか、やめてほしいとか

 言わないのか

 

・「認知された期待」を下げる

 「自己効力感」を高める

 「問題の重要性」を下げる

 

 

・大阪府摂津市 吉寿屋

 君の過去に感謝したいだけだ。

 将来の貢献を期待」期待して表彰したのではない

 

・希望降格制度の活用

 

・敗者復活の容易な人事制度

 

・周囲と同次元で勝負しない

 

 

・目の前の目標よりはるか先に目標を置くことによって、

 目の前の目標を相対化

 

・組織や集団への依存度を下げれば、

 たとえ「認知された期待」と「自己効力感」のギャップが

 大きくても、強いプレッシャーを感じなくてすむ

 

・リアルとバーチャル

 二つの世界がかぶらないこと

 

 

・決め手は一人ひとりのプロ化

 

・「能力の汎用性」

 

・これまでのような共同体組織は、

 遅かれ早かれ崩れていくに違いない。

 だとしたら、組織にとっても個人にとっても、

 変化を先取りしてプロ化を図っていくのが

 得策ではなかろうか

 

・「友だち代行」

 

 

・グローバル化が進むなか、わが国では

 逆に狭い共同体にとらわれる傾向がむしろ強まっている

 

・ここまで「認められなければならない」という

 プレッシャーを与える社会は、やはりおかしい

 

・認められるためにやらなければならない、

 というのは本末転倒

 

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うすうす感じていた問題の謎が解けました。

 

人材育成を支援し続けている僕たちFeelWorksは、

上司をはじめとした周囲が期待することの大切さ、

認めることの重要性を説き続けています。

 

一方で、行き過ぎたハラスメント意識、

気分を害するとメンタル不調に陥ったり、

異常な攻撃性を見せるなど

他責意識の強い人の増加が組織課題にもなってきています。

 

この背景には、働く人の多様化、特に若者を中心とした

フィルターバブルの広がりによって、

承認することの難しさとハレーションがあると感じていました。

 

そのため、承認欲求研究の権威である

太田先生の鋭い主張には、終始膝を打ちながら、

僕たちが最近感じているぼんやりとした危機感の正体が

はっきり見え、感動すら覚えました。

 

まさに、承認欲求を数十年にわたり研究されてきた

モチベーション研究の権威が

初めて解き明かす「承認欲求の負の側面」

とでもいうべき傑作です。

 

献本のメッセージとして

「精魂込めた書下ろし」とありましたが、まさにその通りです。

 

ちょうどこの本を読んでいるとき、

NHKスペシャルでノーベル賞を受賞した

田中耕一さんへのロングインタビューが放送され、

食い入るように観ました。

平成史スクープドキュメント 第5回

“ノーベル賞会社員” ~科学技術立国の苦闘~

 

田中さんは、この中で繰り返し、

ノーベル賞受賞後の16年間の苦悩、

マスコミを遠ざけ続けてきた胸の内を明かしました。

 

修士でも博士でもなく、かつ自分の専門外の研究で、

たまたまの実験ミスから生まれた成果が絶大な評価をされ、

期待されるものの、その期待に応えられない苦しさ。

 

また、先般、気の置けない50~60代の友人3人と

懇親していたところ、家族の話になり、

なんと、僕以外の全員の子どもたち(高校生~25歳)が

不登校、もしくは引きこもりでした。

 

口をそろえて話すのは、みな親としては

とても子供を愛しており、

ひいき目に見ても、優れたところがあるとします。

 

ところが、子どもたちは共通して、

友達と比べて自分が劣っている点ばかり気にするというのです。

 

感じたのは、

親からの愛情・期待に応えきれない苦しさ。

 

 

これらも、まさに、太田教授が指摘する

「承認欲求の呪縛」です。

 

これと同じような葛藤が

すべての働く人たちに起こっています。

 

経営者や人事は、

承認欲求が高まり過ぎて、

振り回されてしまう人が激増している現実を理解し、

承認欲求を制御しうまく付き合う能力開発を人材育成に取り入れて

いかなければならないと思います。

 

若手を中心に学ばせるべきは、

以下の3つが大切だと思います。

➀自分以外にも多様な正義があることを知る

②異なる意見は自分を責めているわけではないと理解する

③違う意見から学びを得る

 

また、現場で部下を育て活かす上司に対しては、

以下の3つを学んでおいてもらうことです。

➀褒めることのリスクを理解する

②丁寧に期待値のすり合わせをする

③劣っている点から優れている点に目を向けさせる

 

インターネットが登場してから四半世紀。

承認欲求の呪縛を促進させてきたSNSが広まったのは

ここ10年ほど。

 

一緒にしてはいけないのかもしれませんが、

その昔、カルト教団に入信した娘である飯星景子さんを救うべく

火だるまになって仁義なき戦いを続けた

父・飯干晃一さんのエピソードを思い出しました。

 

読売新聞記者でもあった飯干晃一さんは

持てる知識と人脈を駆使して、

娘のマインドコントロールを解き、取り戻すことに成功しました。

 

もちろん、人によって程度の差はあるでしょうが、

承認欲求の呪縛を解くのも

10年、20年という長い年月がかかるかもしれません。

 

パワハラ、隠ぺい、過労死、メンタル不調etc.

現場に頻発し続ける問題の本質をとらえ、

人と組織をより善く変革していくうえで

読んでおくべき一冊です。

 

 

すべては、この国に「人が育つ現場」を取り戻すために。

 

 

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